EPISODE:01 【遭遇】

AWC 003 3/12 AM 09:15 富士駐屯地演習場内

・・・チチチ・・・ピピ・・・
その日は天気もさわやかに晴れ渡たり、鳥が囀る穏やかな日差しの降り注ぐ午前
彼は四角い洞穴の中、薄暗いシートに座り眼前の四角く切り取られた晴れ渡った空を見上げながら呟いた・・・

「ふぅ、めんどくせぇ・・・こんな日は散歩にでも出かけるのが正しい人の在り方ってもんだぜ・・・」
そうぼやきながら彼は何本目になるのか判らない嗜好品に火をつけ紫煙を深く吸い込み
深く吐き出しながら

「しっかし、いい天気だな、こんな日に新型のテストだなんてもったいねぇ、バチがあたらぁ」
そう言いながらタバコをシート脇のダストボックスに捻じ込んだ

・・・ツー・ツー・ツー・・・
電子音が狭い洞穴に響き、目の前のコンソールに仄かに赤ランプが点滅した
彼の座っていたシート、それは戦後から3年経ち新たに設計された[新型特機]のコクピットシートである

ツー・ツー・ツー・・・ツー・ツ・・・ッカチ
鳴り響いていた電子音が不意にやみ代わりに先程までぼやきながら紫煙を燻らせていた男が少々眠そうな声で答えた
「はい、こちら涼風」

「おぉ、涼風君待たせてすまなかったね、予定が多少ずれ込んでしまったが09:30に起動試験を開始する」
と、柔和な声の持ち主が言った
その声の持ち主は誰であろう、彼の有名な光粒子学及び材料力学の権威、由月教授だ
続いて無線機に別の声が割り込んできた

「涼風君、いいかね、支援機との合体テストは今日は無しだ、まだ合体プログラムに幾分不安が残るのでね、
合体試験は、次に見送ることになった、今日は支援機とのコンビネーション試験のみだ、すまんな」
と、一気にまくし立てた後に
「なーに、今日のプログラムが半分になったんだ、時間が余ったら天気も良いし散歩でもしてくると良い」
ガッハッハと大きな声で笑った
その声の持ち主も矢張り日本のロボット学の権威、特に新エネルギーや宇宙線利用の分野の第一人者でもあり
さらには合体の権威でもある五月女(さつきめ)博士である

「ッげ、聞いてたんですか?!博士達も人が悪いなぁ・・・ふぅ・・・
了解しました、引き続き運用試験開始まで待機します」
と、バツが悪そうに返事する涼風とは別にオープンチャンネルで別の男が聞こえてきた

「や〜れやれ、新型のテストってのはエテシテこんなものですかねぇ?、ねぇ隊長?」
間延びした声で話し掛けてきた男の声は涼風の機体と200メートル程離れて対峙した
AM(アームズモジュール)小隊長のJJであった

「まぁそういうなよJJ、今日のテストは半分になったんだ、さっさと終わらせりゃ午後からはのんびり出来るぞ」
「とは言っても隊長、結局はテスト終わった後もデータ取りだ何だで基地からは出れないじゃ無いっすか」

ブツブツとぼやくJJを他所に涼風は目の前のコンソールに刻まれた時計を確認した
時刻は九時はとうに過ぎてはいたが、試験プログラム開始まではまだ幾分か時間が在った

「ふん、これならもう一服出来そうだな」・・・と、懐から愛用のジッポを取り出すとタバコに火をつけた


数分後、何本目かもう判らなくなった吸殻をダストボックスにねじ込み

そろそろ準備をしておこうと俺は機体の各種チェックを始めた
各動力部良し・・・補助動力用バッテリ良し・・・各センサー良し・・・次々と機体各所を手際よくチェックしていく

レーダー・・・コンバットレンジ良し、ミドルレンジ・・良し、ロングレンジ・・・

ピーピーピー!!!
コンソールから盛大に警戒音が鳴り響き、レーダーには多数の光点が一直線にこちらを目指している事が判る
「なにい!!、高熱原体多数!!」

言うが早いか、涼風は無線のスイッチを入れた
「コントロール!、聞こえるか!?こちらのレーダーで高熱原体多数確認!、着弾まで60!!
 JJ聞こえるか!!、コンディションレッドだ!、二時の方向高熱源体多数、可能な限り打ち落とせ!」

「なんだって、っち!こちらでも確認した野郎ども装備を模擬弾から実態弾に変更!片っ端から撃ち落とせーー!」

涼風の正面の機体が次々と武器を換装し熱源体群に狙いを定めていく



「博士達は至急地下退避壕へ!、俺はJJ達とこいつで可能な限り打ち落とします!」

だが、無線機からは怒号が帰ってきた
「馬鹿を言うな!敵の正体も不明なんだぞ!、おまけににその機体には長距離砲が無い!」

「大丈夫です今日はBLUEとの連携がメインだ、俺がBLUEの眼になり、BLUEに砲撃させます!
こちらにBLUEの指揮権を!、後はこっちで何とかします!」

そう言い切ると指し物早乙女博士も黙り込み、次いで由月教授から通信が入った

「わかった涼風君、だが無理はするなよ、いざとなったら機体を捨てて君は脱出したまえ」

言い終わると同時にBLUEとの連携プログラムが指揮所から超高速回線でダウンロードが開始され
数秒で[DOWNLOAD・OK]の文字が出る
「よし、これで、こちらの思い通りに動くはずだ」

涼風は開き放たれていたハッチを閉じるとパシュンと小気味良い音を立てハッチが閉じたのを確認すると
機体の立ち上げシークエンスに入る

目の前のコンソールは物凄い勢いで機体の各部状況を伝えていく
3・・・2・・・1・・・0!!

Errer・Errer・Errer・・・
[Output shortage・possible to start](出力不足・起動不可)

「っち、矢張りメインエンジンでの機動は無理か、しょうがない、バッテリー駆動に切り替えだ」
そう言うが早いか、今度は機体の駆動システムを切り替え、再び機体を立ち上げた
3・・・2・・・1・・・0!!
SYSTEM READY to STAND BY

DEEP・CRIMZON・WAKE UP

ウォンウォンウォン・・・と低い唸りと共に全長18M程の日の光を紅黒く照り返す巨人が立ち上がった
と、同時にフォーーーとホバー音を鳴り響かせ空の様に蒼いデルタ翼の飛行物がDEEPのすぐ横に来ていた

DEEPはホバーで浮いている[三角形]に飛び乗ると徐々に大きくなる点に見えるミサイル群に機体を向けた

正面ではすでに換装を終えたJJ小隊の砲撃が始まってはいるが、如何せん数が数だ
早々すぐに全てを撃墜出来るはずも無く目に見えるあちこちで着弾が始まっていた

「JJ聞こえるか!、お前達はもういい、後はこちらで何とかする、お前達は退避壕に入れ!」
「ですが隊長!、、、」

「良いから入れ!、こっちは試作機、きっとこの後に本体が来る!その時に試作機じゃ不十分だ!
 お前達は本体に備えて戦力を温存しろ!」

「・・・っく、了解、、、野郎ども避難だ!」
爆音の中JJのAM隊が退避壕に入っていくのがレーダー上でもはっきりと見て取れる

「さて、っと、こっからが本番だまさかいきなり実戦とはなぁ・・・まぁ、めんどくせぇ事にゃ変わりねぇか」
涼風は軽く毒づきながら攻撃態勢に入った

BLUE、砲門形成展開、目標前方ミサイル群、音声入力でBLUEに次々と指示を出していく
その指示に答えるように、DEEPの乗るBLUEと呼ばれる三角形の底辺に当たる辺りがグニャリと
まるで液体か粘土の様に形を変え砲身が形成されていく
いや、正確には生える・・・と表現した方が良いだろうか
これこそが、新型兵器SKY・BLUEの特徴の一つMWS(マルチウェポンシステム)だ
従来の携行兵器と違い、液体金属を特定のパターンに変形させ兵器して運用する
兵器・道具としての進化系である

BLUEは次々とCRIMZONの足元に砲身を形成しその数4門になると、DEEPに[REDY]のコールを出す
遠目から見るとまるでCRIMZONの足元に四本の剣が刺さっている様にも見える

DEEPのコクピットに座る涼風のヘルメットから特殊バイザーが一枚降り網膜投射で次々とミサイルをロックしていく

〔◎〕LOCK   〔◎〕LOCK  〔◎〕LOCK
 〔◎〕LOCK       〔◎〕LOCK       〔◎〕LOCK
〔◎〕LOCK    〔◎〕LOCK    〔◎〕LOCK
       〔◎〕LOCK    〔◎〕LOCK 〔◎〕LOCK
 
俺は素早く降り注ぐミサイル群に目をやり次々とロックオンしていく
と、全ての標的をロックし終わると同時にコンソールに

【LAESER CANON FULL LOCK READY to TORIGGER】
(レーザー砲全砲門ターゲットロック完了、トリガー待ち)

と、表示された、それと同時に涼風は引き金を引き絞った
DEEPの足元から幾条もの閃光が迸り、迫り来るミサイル群に向かって瞬時に幾条もの光の矢を放つ・・・刹那・・・

轟音と共にそのミサイルの全てが砕け散った

其の余りの大音量の為一瞬間感覚がずれ、数秒か・・・それとも十数秒経ったのか・・・
爆炎により薄暗くなった空を風が洗い流した

視界がクリアになると同時に又警告音が激しく鳴り響いた!
今度は、ミサイルなどではなく、近距離からの質量兵器(恐らくは剣かそれに類する類の物だろう)だ

「なに!?」
涼風は驚愕しつつもBLUEに回避運動をとらせた

『オヤ、意外とすばしっこいですね?これはカンプクカンプク、あれだけのミサイルをほぼ全て撃墜、
それに乗じた私の一撃も避けるとは、中々やりますねぇ』

そういうと、パチパチと手の様な物を叩いて見せた

そこにはAMとも違うどちらかと言うと生物的なフォルムを持ったモノが立っていた
だがその全長は優に60Mはあるだろうか、そして、一番不可思議なのは
ソレは確かにヒト型はしている、だが人型をしているだけだ

「あ、あれは?」

DEEPのもつあらゆる機体データとも一致しない何かがそこには立っていた
ソレは確かに人の形はしているのだがその頭部に当たる場所には
兜を被った人の様な様相、其の兜には大きな角の様な物が一対ある
首から下は西洋の鎧に包まれた様にも見えるが、硬質と言うよりは生物的な
奇異の様相を呈していた

その状況を意に介さずか、彼?は兜の口を開きこう言った

『ワレはヒトの世に破壊と混乱を齎(もたら)す者、ワレは次元の壁を超えし物
 ワレはヌシらの言う所である、神であり悪魔であり、ヒトにガイを成す者であり物でありモノだ!!』

彼?彼女?その良く判らないソレは男の様であり、女の様な声で一息に
芝居がかった口調でソレは歌う様に淀みなくコロコロと鈴の様に言い放つ

そしてソレは続けて更にこう言い放った
「ヌシらはヒトとして余りある力を、強大な力を持ちすぎた
 故に、ここに神であり悪魔であるワレがヌシらの存在を否定する!
 先ずは、その手始めに新たに生まれしその機械を破壊する所から始めようぞ」

ソレは眼の様な物を細めるとさも楽しそうに、まるで子供が新しいオモチャでも見付けたか様に
踊り始めた

すると、ソレの周囲の空間が歪み、まるで水を通過してくるようにミサイルの雨が周囲の施設に降り注ぐ
もちろんDEEPに近距離から放たれたその全てのミサイルを打ち落とす事も叶わず
僅か十秒かそこらで施設があったであろう場所にはまるで隕石でも堕ちたかの如く
大地を大きく穿ったクレーターが出来上がり、博士達が非難したであろうシェルターが剥き出しになっていた

「ッチ・・ふざけるな!、JJ聞こえるか?!」

「はっきり聞こえますぜ隊長!、ですがヤバイです、今の攻撃で施設から外に出るハッチが故障
 現在復旧作業をしていますがいつになるか・・・」

JJがヤバイという時、それは本当に危機的状況という事を涼風は知っていた
だから涼風はJJにこう命令した

「JJ聞こえるか!、博士達を連れて脱出しろ!繰り返す、博士達を連れて脱出しろ!これは命令だ!」
「ですがそれじゃ隊長は!」
明らかに狼狽するJJを尻目に

「命令だ!」
JJは涼風が普段絶対に[命令]という言葉を使わない事を知っていた、だからJJ素直に従った
「こちらJJ了解!、御武運を!」
そういうと、無線機が切れスピーカーは無音になった

「さて、これで邪魔は入らない」
そう良いながら涼風はソレに対峙しながら祈った・・・(無事に逃げろよ・・・)

すると、ソレはやんわりと、子供を諭すように、だが冷たく言い放った
『おやおや、言ったでしょ?マズは貴方だと!!』

そう言うと、そのソレは想像も出来ないスピードで近づきながら手にした巨大な剣を無造作に振り下ろしてくる
「ほーら、貴方なんかペッチャンコですよ!!」
狂信的な怒声と共に巨大な剣が近づきDEEPを破砕しようと襲い掛かってくる
が、間一髪、DEEPはBLUEと分離しその剣を逃れるが逆サイドに逃れようとしたBLUEは剣の切っ先から完全に逃れられず
DEEPとBLUEを繋ぐコントロールユニットを破壊された
コントロールの切れたBLUEは差し詰め糸の切れた凧の様にそのまま穿たれ地面に突っ込んだ

『っち、運がいいですねぇ』
ソレは残念そうに冷徹に言い放った


涼風は冷静に機体の各部チェックランプを確認する
BLUEのコントロールユニットを潰されたか、これでは遠隔誘導による多次元攻撃は無理か・・・
さて・・・どうするか?
一通り思案した挙句涼風は一つの決断を出す

「っち、やっぱアレを使うしかねぇよなぁ・・・一発勝負だ!」

そう言うと涼風は先ほどErrerを起こしたシステムを呼び出した
「所詮バッテリじゃ大した動きは出来んしな、、、腹ぁ括るか!」
目の前の本来のDEEPの機動スイッチを睨みつけ
気合一閃、そのスイッチを押した!
「うぉぉぉぉぉぉ!!MDS、起動!!」

[Mental・Drive・System・START!]

目の前のコンソールには真っ赤な文字で無機質にシステムの起動を告げる
刹那、コンパネのエネルギーゲインは[∞]の文字が表示される

・・・ヴン・・・空気が変わる、自分の気力と共にコクピットに、機体に、その全てに力が溢れるのを感じた

『コシャクナァ・・・!!!』
ソレの手にアル巨大な剣が真っ向から振って来るのを、視覚でも感覚でもない見えないプレッシャーによって感じる

・・・シュン・・・
一瞬・・・それよりも疾い紅い光が線となり虚空を斬った

ドガァァァァァァァァァンン!?!?!?!?!?!?!
次の瞬間DEEPの居た場所で数十万トンとも思える火薬が一斉に爆発したかのような爆発が生じる

ソレの振り下ろした剣が大地を大きく穿ち直径100Mはあろうかという巨大なクレーターを作っている
だがそこにはDEEPの姿は無い・・・
「ックックック、威勢の良い事を言っていた割には・・・ナニ?!」

・・・ウォンウォンウォン・・・・
大地を大気を振るわせる低い音が響いていた
ソレは振り向くとそこには一回り大きくなったDEEPが仁王立ちしていた
いや、形がオカシイ、確かに見た目はDEEPなのだが背中には大きな翼を持ち
身長15M程だった機体は今は優に20Mほどはあろうか・・・

『ソ、ソレハ・・・』
ソレは明らかに狼狽しながらも聞いてきた

「これが本来の俺の機体DEEPxBLUE」
DEEPの背面に合体したBLUEのMWSにより体躯を増したDEEPはさらに出力を増大していく
「これがこの機体の本来の力!これが真の姿!・・・
 これが!!、ブライムクロウだ!!!!」

『ックックック、ナニがブライムクロウですか、粋がった所で所詮たかだか30m程じゃないですか
 そんなオモチャでほんとに勝てるとお思いですか!!』

ソレはそう言うとその大剣を再び振り下ろした

「今の俺にそんな物は無駄だ!」
叫ぶと同時に黒ずんだ紅色の機体は真紅の色に染まり、光り輝いた!!

大剣切っ先が音速を超えブライムに襲い掛かる!
刹那、凶刃の大剣はブライムの居た地点を正確に襲った


その剣激は正に激しく、隕石でも堕ちたかの様な衝撃波が半径数kmに渡り走り
土は濛々と舞い上がりDEEPが居たとおぼしき所を中心に半径数百メートルに及ぶ浅いクレーターが出来上がっていた

『クククク、粋がってはいても所詮はヒト、ワレに適う筈も・・・・・ナニ?』

確かにそこには巨大なクレーターは出来上がっていた
確かに機体は潰れ爆砕されていたはずであった・・・
だが、そこには巨大な刃を片腕で掴んで支えるブライムの姿があった

「言っただろ?、無駄なんだよ!!!!!」

そこには潰れず、燦然と紅く光り輝く機体があった
「ウ、ウソダウソダウソダウソダ、ワレに壊せぬモノが在る筈が無い!」

ソレは取り乱した様に叫んだ
「っち・・・幾分機体に負担が掛かりすぎたな、悪いが決めさせて貰うぞ!
 MDSフルドライブ!!!」

目の前のコンソールには
[Limiter OFF](リミッター解除)
[Mental・Drive・Engin・Full DRIVE](メンタルドライブエンジン・全開)
と、表示され、次の瞬間、機体は更なる真紅に染まり、見る者を圧する輝きを放った

ゴギン!

巨大な刃はDEEPの掴んでいた部分を軸に真っ二つに砕け折れた

「ナ、ナナナ何だと?!」
それは激しく動揺し、結果それは大きな隙を生む
「隙有りだな、フン!」
涼風の気合と共にブライムはその姿を消す
正確にはスラスターを全開に噴かせ一気にソレの頭部と思しき所まで跳ね上がった
それは毛先程もない一瞬であった

次にソレが気づいた時、ブライムは自分の眼前に紅い機体を見せつけていた

ブライムの肩アーマーは無く変わりに右腕が妙に大きく盛り上がっていた、
腕には砲身の様な穴が開いている、穴の奥は機体よりも更に紅く光っていた

コツン、、、

そのブライムの右腕が奴の額を軽く小突いた
「エ?」
奴は何故自分の目の前が紅く染まっているのか理解できなかった
奴は自分こそが絶対と信じていたからに他ならない
奴は自分の敗北と言う物を味わった事が無かった
そして涼風の声が響き渡る!

「必殺!! パイルクラッシャー!!!」

ブライムの大きく盛り上がった右腕はMWSにより肩アーマーを右腕に集中し巨大な杭撃ち機を形成していた
奴が見た紅く光る穴は砲身ではなく巨大なエネルギー塊を打ち出す杭撃ち機の射出口だったのだ

フルパワーで穿たれたその輝く鉄杭は寸分違わずソレの眉間を貫通し
そのままそのエネルギー塊を縦に薙ぎ払った

「グ、オォォォォォォォ、こ、こんな・・ワレは負けぬ!、キサマ如きに・・・」
脳天から真っ二つになったソレの身体からとてつも無い程のエネルギーが迸り
ソレの背後の空間が割れて行く

次の瞬間、キュバ!と言う様な音と共に真っ二つになったソレと自分がその裂け目に吸い込まれるのを感じる
そして、MDSを使い心身共に疲れ果てた涼風は自分が暗闇に落ちて行くのを感じた・・・
(ふぅ・・・疲れたぜったくよぅ・・・)


・・・・・数時間後・・・・・

無事に退避壕から脱出したJJ達の眼前には、
大きく穴の開いたクレーターがいくつか、それ以外にも無数の破壊の後
大破壊の嵐が通り過ぎたと言ってもまだ生温い様な破壊の後を目にした

誰もが其の惨状に目を疑い、誰もが悲痛の面持ちをする中JJは叫んだ
「野郎ども!隊長を探せ!、ゼッテェそこいらに居る筈だ!
 なーに、隊長の事だ俺達を騙そうとして隠れてるに違いない、意地でも探し出せ!
 チーム01・02は付近の捜索及び瓦礫の撤去、03〜06は付近の捜索07は怪我人の救護だ!」

日も大分暮れかけた頃、施設の大半を捜索を終え事態も収束し始めた頃いくつの報告がJJの元に入った
一つは、退避壕への退避が早期に行われた為怪我人は居る物の死亡者等は居なかった事
近隣周辺への被害は皆無であった事

そして、監視カメラの一つが事の終止を監視していた事
それは富士山山頂の監視カメラからの超望遠映像であり、画像も電磁波や爆煙等で所々見難くはあったが
何とか其の終止を見ることは出来た。

だが其処には巨大な人型と単機で挑むブライムの姿、
そして必殺の一撃の直後、唐突に消えてしまった両者の姿であった・・・

「・・・嘘だ、ぜってぇ信じねぇぞ!、あの隊長が、あの人が!こんな事で死ぬわけねぇだろ!」
JJはそう叫ぶとその場に崩折れた








・・・サァァァァァ・・・・


風が吹いている・・・

涼風は自分の鈍く頭痛のする頭を何度か振り、意識を覚醒しようとした
眼前のハッチは開放され、DEEPの足元には自己修復中のBLUEが見えた

「こ、ここは」
辺りを見渡し、通信機のスイッチを入れ、レーダーを確認する
(俺は、確か・・・突然現れた化物を倒して・・・それから・・・)
「なに?!」
声に出す気は無かった、だが声に出さなければやってられない状況であったのは確かだ

半径数十kmに人の街も無く、さっきまで居た戦場は草原に、何より、目の前には何かの遺跡の様な物が在る
「ここはいったい?」

カサッ・・・サク、サク、サク・・・
草を踏む音、足音が近づいてくる・・・

涼風は訓練された一連の動作で音も無くシートに設えられた愛用のハンドガンを手にする

サク・サク・サク・・・足音が止まる
涼風は気配を殺し、相手の出方を待った

外から声が聞こえた、其れは凛とした張りのある声で、優しくこういった
「お待ちし取りました・・・」
その声は女の声だった、若い女性の声だ、その声の主は
開放されたDEEPのコクピットハッチから見えるギリギリで止まった
見える範囲ではその女性は純白の真っ白いローブを目深に被っている
女は女性・・というよりは少女の様な華奢な体つきをしている
声も少女のソレであった
少女は再び凛とした声で言った・・・

「ようこそ、貴方がいらっしゃるのを御待ちしておりました」

そう言うと彼女はにっこりと微笑んだ・・・・

To Be NEXT Episode・・・