尖晶石 Spinel
産地:いずれも Burma(Myanmar) Mogok
硬度:71/2〜8
等軸晶系 化学組成式:MgAl2O4
上 :高さ6.5mm 幅4.5mm
右下:高さ9.5mm 幅9mm
左下:高さ10mm 幅11mm
写真の一番上は典型的なスピネルの正8面体の結晶で、螢石を購入したときにおまけ(ちゃんとラベル付き)でついてきたものです。
左下はスピネルの破片のようにも見え、角度によっては8面体のようにも見えるものです。
右下はスピネル式双晶と呼ばれる結晶です。結晶が2つ接合しています。
購入元の出展社によると典型的なスピネルの双晶とのことです。
スピネルは赤い色のものが普通で、ルビーと同じ産状で出るために赤い色のスピネルはルビーと混同されてきました
(ルビーの一種と思われてきたと書かれている本もある)。
ヴェネツィア出身のマルコポーロの旅行記「東方見聞録」に、スピネルが「バラスルビー」という名で出てくると参考文献にあったので調べてみました。
青木一夫訳の校倉書房版では52ページだそうです。
私が持っているのは平凡社の東洋文庫版、愛宕松男訳注です。1巻の99ページに「バラス紅玉」の名で出ていました。
102ページの訳注三によると「バダクシャンの紅玉はBadakhshi rubyの名で著名であり、俗に"Al Balaksh"と称せられた。
『バラス紅玉』"Balas ruby"はこの転訛である」とあるだけで、スピネルに関してはなにも書かれていません。
東方見聞録によると、当時の「パラス紅玉」の採掘は王室による独占採集が行われており、一般の採集は禁止していました。
違反者は死罪に処せられました。採集した「パラス紅玉」は「部下に託して諸外国の王侯貴族のもとにもたらさしめ、
あるいは貢物・贈り物としての用途にに充てしめる一方、売却して金銀に交易」していました。
一般の採掘を禁じたのは大量採掘による価格の下落を防ぐためだったと書かれています。
私見ですが、この当時のバダクシャンでスピネルは「Badakhshi ruby」の名で著名であったことから、
ルビーと混同されたというよりもルビーの一種として採集されていたのではないかと思われます。
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