フォルセナで




ある日の昼下がり、デュランとアスカはフォルセナに帰ってきていた。

ここフォルセナはデュランの故郷。


彼はここで魔導師ルカに負け、リベンジを果たすために修行のたびに出ていた。

リベンジを果たすまでは家に帰らない、そう誓って。

アスカはそんな一人旅で出会った仲間。

はじめは距離を置いていた二人だが、次第に打ち解けてきていた。

ふと、デュランが、一軒の家の前で足を止める。

「どうしたの?具合でも悪いの?」

少し心配そうなアスカ。そんなアスカにデュランは笑って言う。

「大丈夫だ。ここ、俺の家なんだよ。」

「…そうだったんだ。」

「ウェンディとステラおばさん元気かなって思って。」

「心配なら見てきたら?」

少し遠い目をしたデュランにアスカが言う。

しかしデュランは家を見つめながら言った。

「そうもいかねえ。俺はルカを倒すまで帰らない…。そう決めたから。」

「そうだったね、ごめん。」

「いや、謝るな。お前が悪いわけじゃない。」

………。

重苦しい沈黙が流れそうな気がしたその時、家の方から少し高めの女性の声がする。

「あれえ、デュランじゃないか!帰ってたのかい?」

「ス、ステラおばさん?仕事じゃないのか?」

「今日は休み。ウェンディはまだ寝てるは…」

「おばさん、お兄ちゃんが帰ってるの!?」

二階の窓から子供の声がする。

「おばさん!ウェンディおきてるよ!」

デュランの目は丸くなっている。

アスカは何がなんだか分からない顔をしていたが、すぐにその顔には笑みが浮かんだ。

「デュランだとー?あの日以来旅に出てたんじゃないのか?」

「まじかよ?いつ戻ってきたんだよ?」

わいわいがやがや。次々と町の人や衛兵達が出てくる。

そんなにこの国はイベントがないのか、はたまた、デュランが人気者なのか。

終いには、その日の城の警護に当たっている衛兵まで出てきた

「人気者だね、デュラン君。」

「いや、そんなわけではないと思うんだが…」

「その様子を見てみると馬鹿やって大怪我したわけではなさそうだな。」

デュランと似たような体格の兵士が声をかけてきた。

「おうブルーザーじゃねえか。手前こそ馬鹿してんじゃねーだろーな。」

「もちろんだ。ああ、英雄王は今、国際会議に出席中でここにはいないぜ。」

「そっか…。そういやお前ロー…」

「おにーちゃーん!!」ドカッ!

見事にウェンディのとび蹴りがきまる。そこら辺の兵士を二、三人踏んできたようだ。二、三人うずくまっている。

「あのね、そのお姉ちゃんだーれ?ウェンディのお姉ちゃんになってくれるのー?」

デュランは頭に疑問符を浮かべながら聞き返す。

「はあ?お前なんて言…」


「おー、そうかいそうかい。あのデュランがねえ…。

こいつの一番の問題は女っ気の無いことだったからねえ。

でもやっぱりロキの子だねえ。こんなきれいな娘連れてくるんだから。

これで天国のシモーヌも心配の種がとれたろう。シモーヌよかったねえ。」

デュランの言葉も聴かずに天を仰ぐステラ。

周りの衛兵もデュランに話す間を与えずに騒ぐ。

「そうか、その娘とはそんな関係だったか。」

デュランも懸命に否定しようとする。

「違う!アスカとはそんな仲じゃねえ!!ただの旅仲間だ!!」

「そうか、アスカちゃんていうのか。」

が、あまり意味を成さなかった。

「ははは、仲間と描いて恋人と読む仲か。こんな美人どうやって落としたんだよ。」

「今度テクニック教えやがれこの色男!」

周りの兵士たちも次々と騒ぎ出す。

「で、どこまでいったんだ?ん?ほれ、言ってみ?」

「どこまでもいってねえ!アスカもなんかいってくれよ!」

アスカに助けを求めた。その時、アスカの頭に豆電球が見えた気がする。

アスカはにっこり笑って穏やかに問う。

「私は嫌じゃないけど、デュラン君は嫌?」

「そ、そんなわけ無いだろ…………。」

真っ赤な顔をして、語尾を濁しながらデュランは答える。

「ははは、やっぱりそんな仲なんじゃねえか。式の日取りはいつなんだよ!?」

ブルーザーが笑いながら聞く。

「よーし、今夜は盛大に町を上げてのパーティーだ!

 子供も夜更かしオーケーだぞう!」


「ははは……いーぞいーぞ。わはははははははは…………」

こうしてデュランの里帰りは、盛大なものとなったようだ……。








あーおわったー。これ文化祭に出展する予定で書いて、トラブルでだめになったほうなんだよね。

とりあえず疲れた。

あ、この絵をお描きになられたのは紫葵様ゆえ、お間違えの無いようよろしくお願い申し上げまする。

なお、登場人物はパラレルのためコピー元とは、一切似ておりません。

特に、紫様のオリキャラのアスカちゃんとは外見が同じだけで、中身はまったく別人です。

本当のアスカちゃんは、紫様のサイト『紫幻想部屋』の、『哀しみの唄』にてお確かめください。(なくなりました。)



                                        Fisher man