「ガッシュ、ティオが風邪で寝込んだってさ。」

「ウヌ、明日お見舞いにでも行くのだ。」



ガッシュの看病



ピンポーン。

言葉どおり、ガッシュはティオの見舞いに来ていた。

「ティーオー、おるかー?」

返事はない。

「ヌ、入らせてもらうぞ。」

幸いなことに鍵は開いていた。

家の中に、恵の姿もない。

「ヌゥ、無用心だの。」

そうこうしているうちに、扉にかかったプレートを見つけた。

『ティオの部屋』

「ヌ、ここだの。」

そっと戸を開けて入る。

「ティーオー。」

思ったとおりティオがベッドで寝ている。

いや横になって起きていた。

「ガッシュじゃない。どうしたの?」

ガッシュを視認して体を起こす。

「ヌ、寝ておるのだティオ。じっとしていないと治るものも治らぬぞ。」

慌ててティオを寝かそうとするが、

「大丈夫よ、だいぶ熱は下がったんだし。」

その手を解くティオ。

「ヌ、本当か?まだ顔が赤いぞ?」

「大丈夫だって。」

引き下がるガッシュを説得するように言う。

「ウヌ、ならよいのだ。

ガッシュは、納得したのか、ほっと一息。

ティオは布団に入る。

「ヌ、心配するほどでもなかったかの。」

枕元に合った洗面器に気づき、水を換えに行った。



「ねえ、ガッシュ。」

しばらくして、ティオが布団から顔を出した。

少し息が荒くなっている。

「ヌ、どうしたのだ?」

ガッシュは換えてきた水をタオルに含ませている。

「一人で来たの?」

ティオの問いにタオルを絞りながら答える。

「ウヌ、そうだぞ。」

そしてそのまま、絞ったタオルをティオのおでこに乗せる。

「あ、ありがと。でもなんで?寝てるから遊べないのは分かってるでしょ?」

「もちろんだ。寝てると聞いたから来たのだ。ティオが心配だったからの。」

にっこりと笑う。

「そう…」

顔半分を布団に隠すティオ。

だが、その顔は目元まで真っ赤だ。

その赤い顔を見たガッシュ、

「ヌ、やはり熱が上がっているのではないか?」

ティオのおでこのタオルを取り、ティオを少し起こしながら自分のおでこをコツンとくっつける。

「ひゃあああぁぁぁぁぁ!!」

予想外の攻撃 () に叫び声をあげてしまうティオ。

それがトドメとなったのか、それとも薬が切れたのか。

そのままバタンと後ろに倒れてしまうティオ。

「ヌ?ティ、ティオ!!大丈夫か!!」

慌てて抱きかかえるも、

「きゅう…」

返事がなかった。

「ティ、ティオ!!しっかりするのだ!!」

それなりに体が熱を帯びている。

「ウヌゥ…と、とりあえずティオの体を冷やさねば!」

台所へ走るガッシュ。

氷と水を新しい物に取り替え、タオルを濡らし、ティオのおでこに乗せる。

そしてタオルがぬるくなったら、取り替えて、また冷やす。

その作業を幾度となく繰り返した。



「うへぁ?…あれ、あたし…?あ、ガッシュ!!」

目を覚ましたティオがあたりを見渡す。

「にゅう…ティオ…にゅむにゅむ…」

何気なく声のほうを向くと、ガッシュが枕元に突っ伏して寝ていた。

「まったくもぅ…ちょっと、ガッシュ!」

揺さぶってみると、すぐに起きた。

「おお、ティオ!熱はもうよいのか?」

起きて第一声。それとともに顔をぐいと寄せる。

「ええ。…ありがと、ガッシュ…。」

「ウヌ、お礼などよいのだ。」

にこりと笑う。

「ヌ、ではそろそろ帰るのだ。早く治してまた遊ぼうぞ!」

そう言って手を振りながら部屋を出て行こうとしたガッシュだが、

「待って!」

ティオに呼び止められた。

「ヌ?」

「あの、その、今日、恵遅いの…。」

そっぽを向いていいにくそうなティオ。ほんのりと顔が桜色に染まっている。

「ほう。そうなのか?」

「うん。だからね、あの、その」

だんだんと顔を赤くし、うつむいてしまう。

「ヌ?」

「あの、えっと、も、もうちょっと…」

桜色から朱が差す頬を通り越し、真っ赤になる。

そして、言いにくかった言葉を、一気に吐き出す。

「もうちょっといてくれない?」

言い切ったティオ。

しばらく時を置き、口を開くティオ。

「だめ…?」

だが、不安そうなティオに、

「何を言うか。もちろん、いつまででも一緒にいるのだ。」

笑って言うガッシュ。

「…うん!!」



「ただいま〜。ティオ〜、だいじょう…」

帰ってきて、ティオの部屋の戸を開けて恵が見たもの。それは。

「あら、電話。誰かな?」

電話を取りにリビングにいく。

「もしもし、大海です。」

電話の相手は、

「もしもし、恵さん?俺だよ。」

「清麿君?」

だった。

「どうしたの?」

「いや、ガッシュが戻ってないんだ。まだそっちにいるのかなって。夕方から電話してるけど誰も出なくて。」

「ああ、まだいるわよ。二人して同じベッドでぐっすり寝てる。今日はもう遅いからうちに泊めたんでいい?」

先ほどの光景を思い出し、少し微笑む。

「そっか。じゃあ、よろしく。それじゃあね。」

「うん。おやすみ。」

「ああ、おやすみ。」

そう言って電話は切れた。

もう一度ティオの部屋の戸を開け、微笑む。

「ありがと、ガッシュ君。ティオ、よかったね。」

二つの寝顔は、幸せそうに、並んでいた。

はい。Fishermanです。今回、突発的にネタが浮かびまして。ガッシュがティオのおでこに自分のを当てて熱を測るとこが書きたかっただけです。許してください。

結構ティオが過剰反応かなとも思いますが。では、この辺で。

                                                                    Fisherman