モチノキ町。
「ガッシュ、さあ召し上がれ。」
広げられた風呂敷のうえには、かわいらしいお弁当箱が乗せられていた。
「ウヌ、いただきますなのだ。」
嬉しそうに箸を握るガッシュ。ひょいひょいとおかずを口に運んでいく。
「…どう?おいしい?」
不安そうにしているティオ。しかし。
「ヌ.おいしいぞ。前よりもおいしくなったのではないか?」
ガッシュの言葉に自然と顔がほころんでしまう。
その顔を悟られないよう、口に物を入れてしゃべるな、としかってしまう。
(全くガッシュったら意識しないで恥ずかしいことばっか言ってくれるんだから。)
まあ、そこが彼の魅力のひとつではあるのだが。
「次に食べたいものは?」
いつのまにか食べ終えていたガッシュに、お茶を注いでやりながら聞いてみる。
「ブ…」
「ブリ、は無しね。」
もちろん先回りして、上等の答えはふさいでおく。案の定、言おうとしていたようだ。
「なぜなのだぁ!!」
一番の好物を入れてもらえないと思ったガッシュは、当然のようにすねる。
ティオは、ため息をひとつこぼした。
「いつも入れてあるでしょ?わざわざ言われなくても入れるわよ。」
取り越し苦労に気づいたガッシュは、笑顔になった。
「ぬ〜、ならば〜…」
嬉しそうに悩むガッシュの様子に、ティオの顔には自然と笑みが浮かぶ。
「ガッシュ。」
「ヌ?」
不意にガッシュをこちらに向かせ、触れるだけのキスをする。
「絶対、やさしい王様になろうね。」
「ウヌ、もちろんなのだ。」