「リース、ピクニックいこー。」

そんなホークアイの一言から始まった、二人での散歩。弁当を作ってローラント城から天の頂へのコースを取った。

マナの減少により、魔物は弱体化しており、頂上まではたいした苦労も時間もかかることなく到着した。

「変わらないねぇ、こっからの眺めは。」

頂上に着き、弁当を広げる。

ファザード大陸最高峰、バストゥーク山。初めて登ったのは、聖域に行く前、空中に浮いてしまったトビラを使うために、聖獣『翼あるものの父』の力を借りにきたときだった。

眼下に広がる景色に、もはや大戦の爪痕はない。

パロ、サルタン、ディーン、ナバール、ローラント。世界中で最も被害を受けたこれらの国や町も、以前の活気を大分取り戻していた。

「本当に…ここから見ると、あんな戦いなんて嘘みたいですね…」

先の大戦、そしてその後の復興最大の功労者である二人。

しばらく記憶に思いをはせ、振り切るように頭を振った。

「ん、うまい。リース、大分料理の腕上がったね。」

ひょいひょいと箸を勧めるホークアイ。

「お世辞を言っても何にも出ませんよ。」

旅の途中は一々顔を赤らめて照れていたリースも慣れたのだろう、ホークアイを簡単にあしらっている。

お世辞じゃないのに、と拗ねたような演技を見せるホークアイに、リースはくすくすと笑って、ありがとうございます、とだけ言った。

「そうそう、砂漠もね、大分オアシスが広がってるんだ。」

「ローラントも、たくさんの人が帰ってきて…」

次に出るのは、やはり、互いの国の現状。ローラントに親善特使として派遣されているホークアイも呼び戻されたりはする。それに、砂漠の緑化にはローラントも一枚咬んでいるのだ。

そのまま、たわいない雑談にもつれ込み、二人の散歩は日が傾くまで続いた。

「そろそろ帰ろうか。」

「ええ。でもまた近いうちに来ましょうね。」

「ああ。次はもうちょっと遠出しようか。」

いつしか山に日は沈み、空に浮かぶは月と星。