「清麿くん。」
「どうかしました?」
呼ばれて振り向いた先には、クスクスと笑う恵。そして。
「んーん、ホントに清麿くんがそばにいるんだなぁって。」
幸せそうな、恵の笑顔。
予定が重ならず、しばらく会えなかったため、その笑顔は格別のものがある。
「…久しぶり、ですからね。」
当然のように清麿は赤面して目線をはずす。
「うん。だからすっごく嬉しいなぁ。」
「もう少し、間を空けないで会えればいいんですけど…。」
それは、互いの仕事、特に恵の仕事が許さない。
口に出せば実感してしまう気がして、二人ともそのことは口に出さなかった。
「ま、今日は久しぶりに会えたんだし、後のことは忘れて楽しみましょ?」
「…ですね。」
足取りも軽く、二人は町の雑踏に消えていった。

2005.05.21
ねたがねえ(清麿x恵)[金色のガッシュ!!]

「…清麿くん?」
「…恵、さん?」
「清麿くん!!」
「恵さん!!」
「久しぶり!!」
「どうしたんですか?」
「別に?ただ会いたかっただけ。」
「…そうですか。」

2005.03.13
あい(清麿x恵)[金色のガッシュ!!]

「ねぇ。」
どことなく真剣な声がかけられる
その声に清麿は本から顔を上げた。
「なんです?」
「愛って何かなぁ。」
ぽふっと清麿の肩に頭を預ける。
その様子に、清麿は何故か笑いを漏らした。
「なによ。」
「いえ。難しい問題だな、と思っただけです。」
ぱたり、と本を閉じる。
「でも笑うことないじゃない。」
「すいません。」
笑いながら謝る。
その様子に恵は、もうっ、とむくれてしまった。
しばらく、沈黙が続く。
「…これじゃあ、いけませんか?」
ふいに清麿が口を開いた。
恵が顔を上げる。
「一緒にいて、安心できる、安らげる。それじゃあ、いけませんか?」
「…そうだね。」
「理屈で考えたって分からないでしょ。」
「愛は理屈じゃない?」
「そういうことです。」
そう、笑いあった。

2005.04.26
だれかたすけて(清麿x恵)[金色のガッシュ!!]

「ハァ…」
「どうしました?」
「何で清麿くんはこんなに連れないかなぁって。」
「…」
「…冗談よ?」
「分かってますよ。」
「ならよし。」

2004.09.24
えんどれす(清麿x恵)[金色のガッシュ!!]

「清麿くん。」
「なんですか?」
「なんでもない。」
「はあ。」
「なによ!」
「いえ、別に…」
「じゃあそんな風にいわなくてもいいじゃない。」
「…はい。」
「ふーんだ。もういいよー。」
「何怒ってるんです?」
「怒ってないわよ。」
「怒ってますよ。」
「怒ってないですー。」
「怒ってますって。」
「怒ってません。」
「怒ってます。」
「怒ってません。」
「怒ってます。」
「怒ってません。」
「怒ってます。」
「怒ってません。」
…エンドレス…

2004.10.30
歩む(清麿x恵)[金色のガッシュ]

会いたい。
突然そう思ったとき、私は会えない。
どんなに切実に願っても。
私には、どうすることも。
会うには、時間がかかる。
どうしようか、とも思う。
それでも、会いたい。一緒にいたいから。
だから私は彼に言うの。

何があっても離れない。
そう決めた。
なのに。
少し会えないだけで挫けそうになる。
すぐに会いたくなる。
どうしようもなく。
だから俺は彼女に言うんだ。

「「ともに歩んでいこう」」って。

2005.01.08
こっそり その3(清麿x恵)[金色のガッシュ!!]

どうしたらいいの…。
見つからないように、きちんと変装までして気を付けていたのに…。
絶対にこんなことにならないようにって…。
どうすればいいの…。
どっちも、選べないよ…。
やるって決めた仕事だもの、絶対やめたくない。
でも、それと引き替えに清麿くんを失うなんて。
イヤ…、イヤだ、絶対にイヤだよ…。
どちらかを選ばないと、いけないの…?
イヤだよ…。できないよ…。
助けて…、誰か、助けてよ…。
どうしたらいいの…?
誰か、教えてよ…。
こんな、こんな気持ちになるなら、出会わなければよかった…。
会いたく、なかったよ…。

2004.07.30
清麿[金色のガッシュ!!]

なんだか、今日はやっかいな日だった。
水野は水野であれだけ憧れてた恵さんに敵意バリバリ向けてるし、恵さんも恵さんでその挑戦受けてるし。
しかし、嘘発見機を持ってきたときは、正直驚いた。
それにあれ、意外と正確だしな。
水野の手前、あまり正確じゃないとは言ったけど。
恵さんとは親しいし、何度も会ってるけど、友達としては水野の方が親しいし。
それに恵さんは、友達っていうよりも、もっと、な。
近い関係っていうか、その…、パートナーって言うほうが正しい感じだしな。
それで、これからも、こんな関係が続けばいいと、思う。

2004.07.31
恵[金色のガッシュ!!]

清麿くんは、私のことどう思ってるのかな。
やっぱりただのアイドルなのかな。
こう思うと、いつも鈴芽ちゃんが羨ましくなる。
だってあの娘はただの中学生。それも、クラスメート。
だからいつも清麿くんと一緒にいられる。それが羨ましい。
それに嘘発見機の時。
清麿くんったら、鈴芽ちゃんの方が親しい、なんて言うんだもん。
悔しくて、つい魔本のこと出しちゃった。
…ねぇ、清麿くん。私は、あなたのすべてが欲しい。あなたを独占したいの。
これって、やっぱりわがままかな…。

2004.06.30
こーる(清麿x恵)[金色のガッシュ!!]

「もちろんです。待ち合わせ、何時ぐらいにします?」
清麿の少しはずんだ声がする。
「じゃあ、10時ごろに家にきて。」
受話器から聞こえるのは、恵の声。こちらは、完全にはずんでいる。
なんの相談かといえば、日曜日のデートの打ち合せ。デートといっても、大抵の時間をどちらかの家で過ごし、少しショッピングに出掛けるくらいだ。
まあ、恵の仕事や、東京住まいということもあって、専ら出掛けていくのは清麿なのだが。
当然今回も清麿が行くことになった。
「分かりました。じゃあ、10時に恵さんの家ということで。」
「うん、待ってるからねー。」

2004.06.29
めーる(清麿x恵)[金色のガッシュ!!]

清麿くんは、今何してるのかな。
やっぱり、勉強?大学受験控えてるって言ってたし。
ティオ達の本が燃えてから、あんまり会えなくなったけど、あの時の言葉、忘れてないよね?
私の隣でずっと一緒に歩いてくれるって。それに、清麿くんが大学卒業したら結婚しようって。
あの時私たちを繋いでいたものは無くなってしまったけど、それが残してくれた、新しい繋がりを信じて、私は会えなくて不安な時もやってきたの。
清麿くんも同じだよね?
そういえば、今度の日曜日、オフなんだ。会いたいなーなんて思ってるんだけど、どうかな?
                                                                           恵

2004.06.28
待ち合わせ AN(清麿x恵)[金色のガッシュ!!]

「恵さん遅いな。」
いつものことではあるが、いつものごとく不安になる清麿。
早く来すぎたか、とか、場所はあってるよな、とか、日付はあってるよな、などと飛びかう色々な不安。
まあ、はじめの不安は30分以上も早く来ているので、当然と言えば当然なのだが。
これも、相手を思えばこそなのだ。
これがただの友人なら、自分のミスを疑ったりはしない。ただ相手が遅いことを愚痴り、来た相手に愚痴を浴びせるだけだ。
しかし、彼女の場合は違う。遅れて謝る彼女にかける言葉はただ一つ、
「いいですよ、俺も今来たところです。」
今日もその言葉をかけ、
「じゃ、行きましょう。」
さりげなく手を取って歩き出した。

2004.06.27
待ち合わせ(清麿x恵)[金色のガッシュ!!]

「どうしよう・・・」
大海恵は困っていた。
理由は簡単である。
待ち合わせに遅れそうなのだ。
仕事の待ち合わせなら、こんなにあせったりしない。
(いや、それはそれでいけないのだが。)
想い人との待ち合わせだから、彼女はこれほど急いでいるのだ。
いや、彼はきっと待っていてくれる。
遅れても、その優しい笑顔で、許してくれる。
だから、逆に待たせてはいけない。そう思うのだが。
「はぁ・・・」
いつも待たせてしまう。
そうして待ち合わせ場所について、清麿の優しい笑顔を見たとき。
(次こそは絶対、清麿くんを待つんだから!!)
いつもする決意を新たにするのだった。

2004.06.26
通じ合い?(清麿x恵)[金色のガッシュ!!]

「清麿くん。」
「恵さん。」
二人の呼びかけが重なった。
「清麿くんから…」
「いえ、恵さんから…」
互いに譲り合う。
「「…」」
そのせいで続く沈黙。
「「あの!」」
そして、タイミングを計ったように再び重なる。
二人はそれを、結局数十分繰り返した後、ようやく会話が始まった。

2004.06.25
酔った(清麿x恵)[金色のガッシュ!!]

「ねーえー。」
後ろからしなだれかかる恵。
うっすらと頬は上気し、目は据わっている。
「ど、どうしたんです!?」
清麿があわてて振り向くと、その手には一升瓶が。
そういえば吐息からもアルコールの匂いがする。
等と冷静に分析していると、
「ちょっ、恵さん!?」
酒を一升瓶から直に口に含んだかと思うと、
「めぐっ、む!」
そのまま清麿の唇をふさいだ。
そして、口内の酒を清麿に移し、飲み下したのを確認してから唇を離す。
「ぶはっ、何するんですか、恵さん!!」
清麿は抗議するが、恵はふにゃりと笑うと、
「えへへ、口移しー」
とだけ言って、清麿を押し倒す形で眠ってしまった。

2004.06.24
プロポーズ Ver.M(清麿x恵)[金色のガッシュ!!]

「清麿君。」
もごもごと言いにくそうに呼び掛ける。
「…ティオ達帰っちゃったね。」
「はい。」
そう、ティオ達は、たった今、二人で決着を付けて魔界へ帰った。
一方の本が燃えつきると同時に、もう一方の本も燃えて、手を取り合うように、魔界へ。
「あのね。大事な話があるんだけど…」
言おうとしていた言葉を紡ぐ。
「これからも一緒にいてくれない?」
深紅を通り越しそうなほど顔を紅潮させ、うつむいてしまう恵。
清麿も負けず劣らず赤い顔で、
「…よろこんで。」
小さな声で答えた。

2004.06.23
プロポーズ Ver.K(清麿x恵)[金色のガッシュ!!]

「恵さん。」
赤い顔で何かを言おうとしている清麿。
「…ガッシュ達、いなくなりましたね。」
「うん。」
淋しそうに頷く恵。
そう、ガッシュ達は、たった今、二人で決着を付けて魔界へ帰った。
一方の本が燃えつきると同時に、もう一方の本も燃えて、手を取り合うように、魔界へ。
「恵さん。」
もう一度呼び掛ける。
それから意を決して、言葉を紡いだ。
最も言おうとしていた言葉を。
「あなたの隣でずっと一緒に歩かせてください。」
深紅を通り越しそうなほど紅潮した清麿の顔。
恵は、一瞬戸惑った様子をみせたが、コクりと頷くと、目を閉じた。

2004.06.22
裏切らない(清麿x恵)[金色のガッシュ!!]

「清麿君。」
「なんですか?」
「…なんでもない。」
やけに不安そうな恵。その様子が気になって、清麿が再度聞いてみると、
「清麿君は私を裏切らない?」
泣きそうな瞳で弱々しく答えた。
「なにかあったんですか?」
答えよりも、心配が先にでてくる清麿。
しかし恵は問い詰めるように再び聞いた。
「…裏切りません。」
やさしい微笑みとともに帰ってくる清麿の答え。
その言葉は恵を安心させるには充分だったようで、
「ありがと…」
かぼそい声でそれだけ言うと、清麿の胸に飛び込んで泣き始めた。
その頭を、清麿はやさしく、慰めるようにいつまでもなでていた。

2004.06.21
秘密(清麿x恵)[金色のガッシュ!!]

「清麿くん」
「はい?」
「あのね…」
言いにくそうな恵。
「どうしました?」
「うん…」
「話してください。途中で止められると気になります。」
そううながすのだが、恵はまだ話しにくそうだ。
「恵さん、俺ってそんなに信用ないですか?」
「そんなことないよ!」
「じゃあ、話してください。それに、二人の間にヒミツはナシ。でしょ?」
「・・・そうだね。実は・・・」

2004.06.20
したかった(清麿x恵)[金色のガッシュ!!]

「恵さん」
「なに?」
「…なんでもないです。」
「なによ〜。気になるな〜。」
「…ただ呼んでみただけです。」
「どうして?」
「…呼びたかっただけです…」
「清麿くん///」

2004.06.05
よびかた(清麿x恵)[金色のガッシュ!!]

「ね、清麿くん。」
「な、なんですか?」
クイと顔を寄せる恵。
「今日だけでいいから、さん付けと敬語、やめてくれない?」
「え、いや、あの…。」
戸惑う清麿に、
「だめ?」
必殺の潤んだ瞳で上目遣い。
「う…。」
もちろん清麿には効果抜群だ。
「ねぇ、だめ?」
更なる追撃。
やはり、彼も青少年なようで。
「…分かりましたよ…」
あっさり落ちた。
「わーい!」
喜ぶ恵。しかし、清麿は最後の抵抗を見せた。
「も、もうちょっと時間くれませんか?」
「いつまで?」
距離数センチまで近づく恵。
「その、け、結婚するまで…。」

2004.06.04
みらい(清麿x恵)[金色のガッシュ!!]

「ん〜、清麿くん、おはよ〜」
布団から身を起こし、隣のふくらみに声をかける。
「おはようございます〜。」
ふくらみから出てきたのは半裸の清麿。
「清麿くん?何でそんなカッコしてるの?」
その姿に疑問を覚えた恵。
「なんでって、恵さんが一番知ってるでしょう。」
顔を赤くして、半笑いの清麿。
「…えへへ…」
すべてを思い出したかのように照れ笑い。
「えへへじゃないですよ…」
「だって…」
もじもじと。
「…ったく。もういいです。」
再び布団をかぶる。
「ごめんね?」
「分かりました。でもこれからは、気をつけてくださいよ?いくら寝るとこがないからって俺の布団で寝ないで下さい。
あと、ボタンを直すからって、寝ているとこから上着を剥ぎ取らないで下さい。いいですね?」
「はーい。」

2004.06.03
でんわ(清麿x恵)[金色のガッシュ!!]

「もしもし、高嶺ですが?」
突然かかってきた電話。その相手は、
「もしもし、私。分かるかな〜?」
「恵さんですね。」
だった。
「う〜ん、ずいぶん分かるようになったね。」
「いえ、二日おきに同じことをされればいやでも覚えますよ。」
……。

2004.06.02
ニチジョウ(清麿x恵)[金色のガッシュ!!]

「どうか、しました?」
「ううん。なんでもない。」
「困ったことはきちんと言ってくださいね?」
「もちろん。」
「じゃあ、いってらっしゃい。」
「いってきますvv」
そんなある朝。

2004.06.01
きす(清麿x恵)[金色のガッシュ!!]

「き〜よま〜ろくんv」
呼びかけて振り向いたところに飛びつく。
そしてそのまま、清麿の唇をふさいだ。
「!!」
「えへへ〜、奪っちゃったvv」
「…奪っちゃった。じゃないですよ…」
真っ赤な顔の清麿。
「い〜じゃない。いつものことなんだから。」
出会い頭のキスは当たり前らしい。しかも、一方的な強奪。
「いつものことだから困るんです!!」
「は〜い。」

2004.05.01
夢(清麿x恵)[金色のガッシュ!!]

「ねぇ、清麿君…」
目を閉じ、顔を寄せる恵。
「キス…して…?」
「え、あの、いいん、ですか?」
しどろもどろ。
「清麿君、ここまでしてる女の子に、恥かかせる気?」
少し朱のさした顔で、うっすら目をあけ、ジト目で清麿をみる。
「え、あの、でも、その、…」
迷っていると。
「清麿、清麿。」
揺さぶり起こされた。
「うあ?…夢か。」
目を開けると、そこは自宅のリビング。
そばには、心配そうなティオとガッシュの顔が。
「どうしたの?恵の名前呼んでたけど。」
「いや、なんでもない。」
二人に笑いかけ、自己嫌悪。
(一体、何つー夢見てんだよ俺…)
どこか自分病んでんのかなーとも思う清麿でした。

2004.05.04
そば(清麿x恵)[金色のガッシュ!!]

最近、貴方のことばかり考えてる。
仕事中でも、寝る前でも。
何をしていても。
本当は、会いに行きたいんだけど。
ティオのように遊びに行きたいけれど。
時間が、無い。
だからせめて。
一緒にいるときだけでも。
あなたのそばにいさせて。
あなたの隣を私の指定席にしていいですか?

2004.05.06
死と未熟(清麿x恵)[金色のガッシュ!!]

「清…麿くん…」
「恵さん!?」
「ごめんね…」
「恵さん!!」
返事がない。
「嘘だろ!?恵さん!!」
揺さぶっても、何をしても。
呼吸、そして鼓動すら。
無い。
「はっ!」
そこで目が覚めた。
背中にびっしょりといやな汗をかいているのが分かる。
「夢か…」
人間生きていれば必ず来る別れ。
死。
それを避けるすべは人には無い。
ならば。
死が二人を分かつまで。
そのときまでを大事にしていこう。
それでいいと思う。
まだ、分からないけれど。

2004.05.09
こころT(清麿x恵)[金色のガッシュ!!]

俺は。
一体いつから、いつからこうなったんだろうか。
はじめてあった時。
その時は、人気のあるアイドルなんだなって思った。
でも、それだけだった。
はっきりと気付いたのは最近。
テレビに彼女が映るたび、町で彼女のポスターを見るたび。
果ては、ティオから彼女のことを聞くたびに。
いつの間にか、目で追っていた。自然と顔がほころんでいた。
何度もティオにからかわれたが、直らない。
しかし、しかしもし、これが『恋』だとしても。
彼女との間には、深い溝がある。
超人気アイドルと、一介の中学生。
あまりに住む世界が違う。
そしてこの本がなくなってしまえば。
俺と彼女とをつなぐものは、なくなってしまうんだろうか…?
そうなったら俺は。
この溝を、越える努力。
それをするんだろうか…。それとも。

2004.05.10
こころU(清麿x恵)[金色のガッシュ!!]

私は。
何度この問いを繰り返しただろう。
芸能界へ入る時言われた。
「恋なんかする暇無いよ。」って。
私も、そんな深く考えなかった。
誰も好きにはならないって。
けれど。
その考えが甘いことに気づかされた。
彼と、出会って。
この時になって、彼と気軽に会えないことに気づいて。
彼が、自分との溝を気にしていることに気づいて。
初めて後悔した。
そして、唯一私と彼をつないでいる『本』。
これがなくなってしまったら、もう、彼とつながるものはなくなってしまうのだろうか。
嫌だ。
離れたくない。
アイドルでさえ、アイドルでさえなければ。
私がただの『大海恵』なら。
こんな思いはしなくてよかったんだろうか。
それでも私はアイドルだから。
そして、彼と離れたくないから。
『本』が消えても、つながっていられるように。
彼との溝が少しでも埋まるように。
私は何をしていこう…。
2004.05.13
笑顔(清麿x恵)[金色のガッシュ!!]

「だーれだ?」
後ろから目を包む柔らかい手。
ふわりと漂ってくる香りに、清麿は覚えがあった。
「恵…さん?」
恐る恐る後ろを振り向くと、
「あったり〜。」
そこには想像していた通りの笑顔があった。
「う〜ん、清麿くん、だーいぶわかるようになったねぇ。これも私の愛が通じたって事かな?」
満足げな恵。
その様子を見て、前にはずしたときのことを思い出した。
あの後、慰めるのにかなり苦労したっけ。と、少し懐かしい。
「今日はどこ行く?せっかく取れたおやすみなんだし、いっぱい遊ばないとねv」
その恵の笑顔は、今日もまぶしかった。

2004.05.15
悩み(清麿x恵)[金色のガッシュ!!]

「う”ー。」
都内某所。
大海恵は悩んでいた。
誘うべきか、誘わざるべきか。
「よし。…でもな…。清麿君迷惑かな…」
頭に浮かぶのは一人の少年。
幾度となく、大きな戦いを共にくぐってきたもう一人のパートナー。
日ごろのお礼も込めて、遊びにでも誘おうかと思っているのだが。
思っているのだが、今一歩踏み出せない。
「う”ー、どうしようかなー。」
予定も聞かず誘ってみてもよい。
よいのだが、もし断られたら。
その不安が恵に待ったをかける。
「はあ〜。どうしようかなぁ…」
悶々と、悩み続ける恵だった……。

2004.05.16
でえと?(清麿x恵)[金色のガッシュ!!]

「これからどうします?」
「どこでもいいよv清麿君の行きたいところ。」
腕を取る。
清麿は、その行動に恥ずかしさを感じながらも、立ち上がる。
つられて恵も立ち上がった。
腕を組んだまま公園を抜け、町に出る。
その間、通り過ぎる人がみな、こちらを振り返った。
「見られてますね…もしかしてバレました?」
「そんなことないみたい。騒がれてないもん。」
「じゃあ、何ででしょうね。」
「う〜ん、清麿君がかっこいいからじゃない?」
おどけて、冗談のように一言。
「いや、それはないです。」
だが清麿は、それをすっぱりと切り捨てた。
「うーん、じゃあ何かな、私達、そんなにお似合いかなvv」
「///」

2004.05.18
陰謀(清麿x恵)[金色のガッシュ!!]

「む〜。」
「どうしたの?」
あまりにうなる恵が気になった。
「ん?えっと、清麿君こういうの嫌いかなって。ティオ、どう思う?」
こちらを振り向かずに聞く。
ティオは、その様子をにまにまと笑っていた。
「クフフフフ……」
忍び笑いをもらす。どうもこれは様子がおかしい。
恵もそれを感じたようだ。
「ちょっとどうしたのティオ?何がおか…」
振り向いて、見えた光景に言葉を失う。
「ちょっ、ティオ、これって…」
「クフフフフ、そんなに知りたいなら本人に聞けば?」
してやったり、と顔に書いてあるかのごとく、喜ぶ。
「き、清麿くん!どうしてここに!?」
驚きを隠せない。
「いえ、ティオにどうしてもといわれまして…」
赤くなった頬をかく清麿。
恵も、どこか気まずいのか、目線が固まらない。
「そ、そう…」
いつの間にかティオも消えている。
恵は、意を決して切り出した。
「あのね…」

2004.05.26
いたずらV(清麿x恵)[金色のガッシュ!!]

「あ、ちょ、ちょっと待って。」
伸びていた清麿の手を、自分の手で制する。
「またですか?」
「うん、ごめんね…。」
覚悟の決まらない恵に、ため息一つ。
「じゃあ、ここは?」
そう言いつつ、また別のところへ手を伸ばす。
「あ、そ、そこも…」
恥ずかしそうに俯く。
「じゃあ、ここは?」
「うぅ、清麿君のいぢわる…。」
少し潤んだ目の上目遣い。
これは、清麿に必要以上の効果をもたらした。
「…だめです。もうこれ以上我慢できません。」
「え、そんな、ちょっと。」
恵の懇願も聞かず、清麿は一度置いて、一気にひっくり返した。
「あーあ、やっちゃった…。やめてっていったのに…」
「そんなこと言われましても…」
「いいもん!今度は私の番だからね!」
白黒の石を手の中でちゃらちゃら言わせながら意気込む。
「でも、もうそんなに置くとこ無いですよ?」
「う…」                                                                       ネタ提供:こびと様

2004.05.28
もう(清麿x恵)[金色のガッシュ!!]

「どうかしました?」
突然かかってきた恵からの電話。
だが、様子がどうもおかしい。
「…」
聞こえるのは、すすり泣く音だけ。
「恵さん!」
「清麿くん…」
「何があったんです?話してください。」
かすれた声に、言いようの無い不安を覚える。
「清麿くん…お願い、助けて…」
「恵さん!?」
「もう、耐えられないよ…。」
泣き声が強くなる。これ以上は電話では無理だ。
「分かりました。今からいきますから。」
「うん…」
そう言って受話器を置く。
そして、母への挨拶もままならぬままに、清麿は玄関を飛び出した…… 

2004.05.30
ただ(清麿x恵)[金色のガッシュ!!]
「…」
「…」
どちらも口を開かず、ただ見つめあう。
「ねぇ。」
「何です?」
また沈黙。
「どうかしました?」
「ううん、なんでもない。」

2004.05.31
言葉(清麿x恵)[金色のガッシュ!!]

魔物同士、本同士は引き合うという。
なら、俺があの時コンサートに言ったのはそのせいなのだろうか。
遅かれ早かれ、彼女とは出会っていたということなのか。
ならば俺は感謝しよう。
彼女と俺を引き合わせてくれた、この赤と朱の魔本に。
金色(きん)と朱の子供に。
そして、誓おう。
もしこの二人がいなくなっても。
俺は決して彼女から離れないと。

2004.04.27
よくわかんない(清麿x恵)[金色のガッシュ!!]

「清麿君v」
がばと飛びつく。
「な、なんですか急に!」
「べつに〜。ただこうしたかっただけv」
清麿の顔がさらに染まる。
「あ〜、照れてる〜。かーわいvv」
頬をつつく。
「なっ、やめてくださいよ〜。」
「や〜だもん。」

2004.04.30
気づいて(清麿x恵)[金色のガッシュ!!]

清麿君…
あなたは私のこと、どう思ってる?
ただのアイドル?それとも芸能人?
そうじゃない。
私は。
私は、あなたに。
アイドルじゃなくて、芸能人でもなくて。
ただの大海恵としてみてほしい。
あなたが私をどう見てるかは分からないけど。
私のこの気持ち。
気づいて?

2004.03.27
プレゼント(清麿x恵)[金色のガッシュ!!]

「恵、大変よ!!あさって清麿の誕生日だって!!
駆け込んだなりそう叫ぶ。
「ど、どうしたの、突然…」
「だーかーらっ、あさって清麿の誕生日なんだって!!」
「…どこで聞いたの?」
「清麿から。」
本人から聞いた情報なら間違いないだろう。
「そっか、ありがと。じゃあ、明日休みだからプレゼント買いに行こうかな?」
そわそわ。なんとなーく心ここにあらずである。
「ティオありがと。明日ティオも行く?」
「行く!」
翌日、結局ティオは清麿のプレゼントを買っている間に迷子になり、何を買ったのかは知らず、恵も教えなかった。
が、それはまた別の話。