網膜芽細胞腫の子どもをもつ家族の会「すくすく」
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すくすくは、網膜芽細胞腫の子どもをもつ家族の会です。 国立がん研究センター中央病院を活動拠点としています。
治療方法は、眼球保存療法と眼球摘出に分けられます。 眼球保存療法は、眼球を残したまま腫瘍を死滅させる方法です。 しかし詳しい病理検査ができないため、将来の転移の起こり易さが判断できません。 放射線外照射療法や抗がん剤の副作用の問題もあります。 眼球内で再発を繰り返す場合もあり、治療が長期になります。 視力は残せる場合もあります。 眼球摘出は、腫瘍を取り去ることができる最も確実な方法で、 詳しい病理検査により、速やかに転移の危険性を判断できます。 もし転移を起こす可能性が高い状態であれば予防的化学療法をする意味があり、 逆に転移を起こす可能性が低い状態であれば治療の必要もなく、 義眼もきれいに入ります。視力は当然残りません。 かつては、片眼性の場合は眼球摘出、両眼性の場合は進行眼は摘出して、 進行していない眼球は保存療法をすると言われていました。 最近では、眼球保存療法が発達したため、保存療法をする場合が多くなっています。 また、眼球摘出と眼球保存療法で生存率に差がないという報告もあります。 網膜芽細胞腫は、5年生存率93.9%、10年生存率90.6%であり、 生命の危険性はそれほど高くありません。 但し、眼球壁を越える腫瘍がある場合には5年生存率が71%まで下がり、 転移を生じると生存率は更に悪くなり、脳転移を生じた場合は1割も助かりません。 つまり、腫瘍が眼球内にとどまっていることが重要です。
腫瘍が早期に発見された場合や腫瘍の位置などにより、 眼球を残した治療を行うことができます。 視力に関しては、腫瘍が黄斑部にかかっているかどうかが重要な条件となります。 治療では、放射線や抗がん剤の使用、また複数回全身麻酔をかけるので、 本人の身体への負担と苦痛を一番に考えることが大切です。 また、保存療法を選択された場合でも、視力が期待できなくなった時、 治療の回数が重なる時や転移を生じる可能性が高くなったと思われる時、 眼底出血や緑内障が続く時など、子どもの様子に合わせて慎重に治療方法を決め、 決して命に関わることのないように適切な治療を行うことが必要です。 放射線外照射療法 網膜芽細胞腫は放射線に対する感受性が高い(放射線によって破壊されやすい)ので、 放射線外照射療法は治療効果が期待でき、以前から最も多く行われている治療法です。 現在ある治療法の中で、最も治療効果の期待できる手段です。 国立がん研究センター中央病院では、麻酔を使わず、患児を動けないように固定してから 1回数分以内で毎日照射します。殆どが外来通院で行います。 副作用として、放射線照射部分の骨の発育が悪くなる、 照射の範囲内に別の悪性腫瘍が発生する(二次がん)、 白内障や放射線網膜症の発生、眼球の萎縮、脳下垂体への影響により 身長の伸びが悪くなるなどがあります。これらの副作用のため、 近年では放射線外照射療法を避ける傾向にありますが、 眼球保存をするためには放射線外照射療法は欠かせないのが現状です。 全身化学療法 3者併用化学療法:眼球を残す目的 まず化学療法で腫瘍を小さくして、レーザー照射などの局所治療を 可能にするのが目的です。言い換えれば放射線外照射療法を避ける ことができます。欧米では眼球保存療法として一般的に行われていて、 日本でも試行段階です。 3種類の抗がん剤を4週間毎に6回繰り返す治療で、副作用も軽いため 各回1〜2週間の入院です。 副作用として、抗がん剤による二次がん(白血病)の可能性があります。 眼動注 バルーンカテーテルという特殊な管を脚の付け根の血管から入れて、 眼球に流れる眼動脈だけに選択的に抗がん剤を注入する治療法です。 抗がん剤の量を少なくしつつ、眼球へは高濃度の抗がん剤を流すことができるため、 全身の副作用が少なく、治療効果が期待できます。 全身麻酔で、2時間程度かかり、たいていは1ヶ月毎に3回以上繰り返します。 副作用として、一時的な吐き気、脚の血の巡りが悪くなるなどがあります。 また、血管の異常があるとできない場合があります。 硝子体注入 硝子体に腫瘍細胞が散らばった場合(硝子体播種)、 血管に抗がん剤を入れても硝子体には十分な抗がん剤が届かないため 十分な治療ができません。このため、眼球を残すために眼球に直接細い針を 刺し抗がん剤を注入する治療を行っています。 副作用として、出血、感染、また腫瘍細胞を眼球外に流出させる可能性があります (しかし、これまで500回以上行って1例もありません)。 レーザー照射 ダイオードレーザーという、波長の長いレーザーを使って、腫瘍に直接照射します。 小さな腫瘍には直接熱凝固(焼いてしまう:光凝固)し、 大きな腫瘍には腫瘍の温度を45〜60℃程度に温めて化学療法の効果を増強したり、 腫瘍細胞の自殺(アポトーシス)をうながしたりします。 腫瘍の厚みが3mm程度までの網膜の腫瘍が適応です。 合併症として、眼底出血や虹彩の火傷があります。 冷凍凝固 −80℃位まで冷却した器具を眼球の外からあてて、腫瘍を凍らせて破壊する治療法です。 結膜の上からあてますが、結膜を切開する場合もあります。 厚みが3mm程度までの周辺部の腫瘍に行います。 合併症として、結膜の充血や浮腫、眼底出血があります。 アイソトープ治療 以前はコバルト60という金属を使っていましたが、現在はルテニウムという金属を 使っています。 放射線を常に出しているルテニウムという金属(アイソトープ)を銀で覆ったものを、 腫瘍のあるすぐ裏の強膜に数日間縫いつけたままにして、 局所に大量の放射線をあてる治療です。放射線外照射療法と違い、 縫いつけた周辺以外への放射線は少なくなるため、眼窩骨の発育障害や 二次がんの心配が非常に少なくなります。 比較的周辺の、孤立性腫瘍がよい適応です。アイソトープを縫いつけている間は、 個室から出ることができません。付き添いはできますが、抱っこなどは極力避けます。 白目を切って手術するため、手術後1ヶ月程度は充血します。
眼球保存療法が非常に困難と思われる進行眼や、 腫瘍が眼球外に浸潤していると思われる場合は眼球摘出を行います。 眼球内の出血などで眼底が見えない場合や、保存療法を行った後に再発し 腫瘍を抑えられない場合も摘出が必要になります。 手術は全身麻酔下で行いますが、1時間程度の手術で、体への負担は少ないものです。 1〜2週間後に義眼を入れます。義眼台を埋め込む場合があります。 但し、摘出後の検査で眼球外への浸潤があった場合は、 その後の転移予防のための放射線外照射療法や全身化学療法が必要になります。 全身化学療法 (1)予防的化学療法 眼球摘出後の病理検査で、腫瘍が眼球外に浸潤していた場合には、 腫瘍の増大と全身転移を予防するために、全身化学療法を行って 腫瘍の根絶を図ります。通常4〜5日間の抗がん剤投与を1〜2ヶ月ごとに繰り返し、 進展度に合わせて6〜8コース行います。脳転移を予防するために、 背中から針を刺して抗がん剤を注入する「髄注」を併用する場合もあります。 また、眼球外への進展がない場合にも、強膜へ浸潤していないか、 篩状板(ラミナ・クリブローザ)を越えて視神経へ浸潤していないかなどを チェックします。浸潤があると、摘出後の体の中に見えない腫瘍細胞が残っている 可能性があり、20〜40%の割合で眼球外に再発・転移をすると言われています。 これを予防するために全身化学療法を行った方が良い場合があります。 ところが、将来再発の危険があると判断された場合に、全身化学療法を行っても 100%の再発予防ができるわけではありません。その上、全身化学療法に伴う入院期間の延長や 急性の副作用(嘔吐、血球減少、発熱など)および晩期の副作用(臓器障害、二次がん)などの デメリットを生じます。 眼球摘出後「全身化学療法を行った方が良い」と言われた場合には、 個々の患児の危険度と価値観に照らして、メリットとデメリットのバランスを考慮して、 治療を行うかどうかの決断をするようにしてください。 (2)大量化学療法 眼球摘出後に全身化学療法を行っても浸潤・転移した腫瘍が消失しない場合、 骨や肺への転移のある場合、脳や髄膜への浸潤が明らかな場合、 全身化学療法を行った後に再発した場合に対しては、より強力な大量化学療法が 必要と考えています。この大量化学療法では、通常の数倍以上になる量の抗がん剤を 1コースで投与するため、そのまま単独で行われることはなく、 「自家末梢血幹細胞移植(または自家骨髄移植)」という特別な処置が必要になります。 自家末梢血幹細胞移植を行う場合には、大量化学療法に先立って、 血液の細胞の素になる「造血幹細胞」を採取しておき、大量の抗がん剤投与を終了した後に、 静脈内に投与します。10〜15分を要しますが、重篤な副作用を引き起こすことは まずありません。 造血幹細胞採取は、「成分献血」と基本的には同じやり方で、点滴から血液を 体外の機械に通して処理し、必要な成分のみをパックして残りはもう一本の点滴から 身体へ返します。3時間程要します。 自家末梢血幹細胞移植の副作用は、移植後数日してからの高熱や口内炎です。 治療後の血球減少に伴う重症感染症の頻度が高いので、抗生剤などの予防投薬と、 重症口内炎の予防をします。これらの副作用は、大量化学療法後に体内へ戻した 「造血幹細胞」が育って、白血球が増えてくるまでの2週間程度続きます。 このような強力な大量化学療法を行うと、長期の寛解(腫瘍のない状態)に することが可能とされていますが、脳や髄膜に浸潤した場合の効果は十分ではない といわれています。
(参考文献:網膜芽細胞腫ってどんな病気?)
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