透明感のある、蒼い空 それもそろそろオレンジ色に変わる 海からは心地良い風 でも、もうすぐ冷たい風に変わる 病院裏の砂浜に座っている 見つめる先には少し前まで一つの姿があった 現在(いま)、微かに滲んだ景色の中に人影が向ってくるのが解る さっきこの場で別れを告げた人 涙を浮かべて笑ってくれた でも…… 彼は知らない 私の陰に隠れていたもう一人の私を どんな関係になっても友達のままでいたいと言ったのは本音だった 二人が付き合っている事を知った時、 私の口から出た言葉 その時には彼の事を諦めていた だけど、彼が顔を出してくれるたび 回数を重ねるたびに、自分の気持ちが抑えられなくなる 私 期待しちゃうよ? 火がついちゃうよ? そうなったら………… 三年の月日は重かった 私には勝てないと悟ってしまう 最初は諦めていた自分 でも何とかしたいと思いはじめた自分 三年の月日の前に、私は無力だ だから私は、 今度は水月と来てねと告げた だけど一人で来てしまう そんな彼の優しさが 私の黒い部分を動かすの これは復讐 二人の間に楔を残す………… 私の事を忘れさせない為の 二人が一緒に現れた 私は計画どうり、二人を思っている自分を演じて見せた 彼の心と水月の心に私の姿を焼き付けるの 友達を大切にする私の姿 友達思いの私の気持ち 水月の平手打ち、痛かった でも、その程度の代償は覚悟していた 優しい彼は、とっさに迷っていた 私が背中を押さないと動き出せないくらいに 計画は完璧 後はもう一押し…… 海を見ている 青い空の下 心地よい風の中 砂浜に一人座って海を見ている 絶好のロケーション ほら、やっぱり現れた あなたは私の計画どうりに行動してくれる 彼の前で私は孤独を演じる 強がっている自分を演じる そんな中にわざと弱さを見せる そして私から別れの言葉を紡ぎ出した 彼が納得できない事も見通していた 彼の探してきた絵本も素材にして 全て私の思い通りに演出して見せた 彼が目に一杯の涙を貯めて笑顔をつくったのは 私に未練があるから きっといつまでも忘れない 絶対忘れさせない 私を心の中に住まわせた二人 水月と孝之君 私、二人の仲を祝福してなんていないよ おめでとうなんていった覚えないもん あなたたち二人がこれから過ごしていくうちに いつしかすれ違う時も来る その時、私が二人の前に現れるの 私の幻が現れるの 二人がお互いに信じられなくなって 私の存在がお互いの気持ちをすれ違わせて お互いが思い出の中で美化した私によって 二人の仲が壊されてゆく 私はそれを強く望んでいる 私は絶対に許さない でもね…… でも、私…… 本当は二人の事………… 今でも………… ……………… 君が望む永遠SS『 悪女 』END 05.09.08 あとがき ♪悪女になるなら『好きよ』はおよしよ素直になりすぎる 隠しておいた言葉がほろリこぼれてしまう『行かないで』♪ と言う有名な曲のフレーズが頭の中にのたうっていました(笑) 此処二週間、それを何度も繰り返しながら 久々のSSの完成です(爆) って、久々のSSがダークだったり(大爆) 魔性遙と言う面があるなら、悪女もアリかな?なんて 如何でしょう? byたくと
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