君が望む永遠SS
BIRTHDAY PRESENTS





    Scene・0

『 ……ねぇ、ままは?…… 』
『 ママはねぇ、いま、おでかけしているの。だからいっしょにおるすばんしようね。 』
『 ……ねぇ、ままは? おねえたん、ままは? 』
『 ママ、もうすぐかえってくるから、おとなしくおるすばんしようよね! 』
『 いやだぁ。まま!! まぁまぁ!! 』
『 ほらあかね!おにんぎょうさんがあそぼうっていっているよ! 』
『 うわぁーん、まぁまぁ…… 』
『 ほら、くまちゃんが「こんにちは」ってごあいさつしているよ。 』
『 まぁまぁ…… 』
『 あっ、じゃぁねぇ…… 』
『 まぁまぁあああ!! 』
『 じゃぁ、おねえちゃんね、ごほんよんであげる 』
『 まぁまぁあああ…… 』
『 えっとねぇ、……そらの、ゆうびんはいたつ…… 』
『 うぇえーーー…… 』
『 ぺりかんのぺりくんは、ゆうびんやさん。きょうもあさからおしごとです。
  さいしょにしたのは…… 』
『 うぇーー…… 』
『 ……さぁ、じゅんびはばんたん。おてがみをあつめにいきましょう…… 』
『 ………… 』
『 ……ぽすとをまわったぺりくんは、いったんゆうびんきょくにかえります。
  おもいにもつもなんのその…… 』
『 ………… 』
『 きってをはってはんこをおして、これでよし!…… 』
『 ………… 』
『 ……… 』
『 …… 』





    Scene・1


絵本を好きになったのは、あの頃だと思う。
一緒にお留守番をしていた茜を何とか泣き止ます為に読み始めた絵本
いつしか、茜も側で聞いてくれていたっけ
そのまま二人、夢の中へ入ってしまったけれど、
そんな何気ない切欠で、私は絵本作家への道を歩いている


部屋の整理をしていたら、一冊のお絵かき帳が出てきた
見覚えのある表紙
それは最初の絵本だった
小学2年生の頃、茜の誕生日のプレゼント用に描いた絵本
開けてみたら張り付いてたページが微妙な音を立ててはがれる
ページの端がすっかり赤茶けていた
それでも作品は無事に物語を伝えていた
懐かしい日々が部屋の空気を染めていった


ページをめくり終え、少し考えてみる
カレンダーに目を向けると、少し時間が足りないかもしれない
お絵かき帳を手に、早速作業に取り掛かった





    Scene・2

  あの子はちっちゃな子
  いつもお姉さんの後ろについてくる

  あの子はちっちゃな子
  いつもみんなの後ろについてくる

  あの子はちっちゃな子
  とてもおとなぶっている

  あの子はちっちゃな子
  だからとっても泣き虫

  あの子はちっちゃな子
  とってもわがまま

  あの子はちっちゃな子
  いつも大きい子の仲間に入りたがる

  だからいつもみんなを困らせる
  だけどあの子はちっちゃな子

  だからみんなはあの子がとても大事
  だけどあの子は負けず嫌い

  みんなが応援してくれる


  がんばれ!がんばれ!!

  その声を受けてどんどん前へ

   やったぁ!一等賞!!

  あの子が嬉しそうに笑ってる

  みんなも喜んであの子の頭を撫でた





    LastScene

最後のページには、大きな子達に囲まれた小さな子の照れた笑顔があった

『 姉さん!よくもこんな恥ずかしい物を描けますねぇ? 』
『 そ、そうかな? 』
そんな事を言っておきながら、茜は満更でもない様だった
『 普通、妹の為にここまでしないと思うよ。 』
『 いいじゃない、思いついたんだから。 』
『 でもね、出版社の人に聞いてみれば、
  わざわざこの帯を付ける為に注文まで出したんだって? 』
『 だってぇ、それが無いと訳がわからないじゃない! 』
『 そのおかげで私がどんなに恥ずかしい思いをするか、考えなかった? 』
『 ぐ・うぅーー…… 』
『 ……ま、良いけどねぇ 』
『 茜、遙、お食事の用意が出来たわよ!! 』
お母さんがキッチンから呼びかけてきた
茜はおもむろに表紙を閉じ、リビングのテーブルの上に絵本を置いた

その絵本は、本日発売の私の新作
わざわざ今日の為に描いた本だった
絵本の表紙には帯宣伝が付いていて
大きな文字でこう書かれていた

『 妹、茜へ
  HAPPY BIRTHDAY 』





             『 BIRTHDAY PRESENTS 』END
                 04.10.20





    あとがき

かなり焦っていました
もっともっと、色々なエピソードをいれようと思っていました
しかし、時間の関係で割愛することにしました(笑)
それぞれのエピソードは、皆さんで作ってみてくださいネ
では、また!



     

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