君が望む永遠SS 例えばこんなはじまり・・・ |
『 いいな、みつきは。D組で・・・・・・。 』 『 何言ってんのよ?何でD組になったことが良いのよ? 』 『 ・・・・・・!?えっ、だって・・・・・・あ、ほら、○○ちゃんと一緒じゃない? あの子って、か、かわいいし・・・・・・・ 』 『 はぁ!?私はそっちの気、無いからね! 』 『 ・・・そ、それだけじゃなくって、ほ、ほら、○○先生が担任でしょう? あの先生、す、素敵じゃない・・・・・・。 』 『 あんなおじん・・・!何処がいいの?遙、変な趣味してるね? 』 『 ・・・・・・だ、だってぇ・・・・・・ 』 3学年に上がり、私と遙は別々のクラスになった。 遙はB組、私はD組。クラス合同の授業も無いから 休み時間と放課後以外は別になってしまう。 まして私は部活をしているし・・・・・・ 『 きっと水月なんて、直ぐに私のことを忘れて、新しい友達作っちゃって、 いつの間にか私のことなんて忘れちゃうんだ・・・・・・。 』 『 そんなこと無いって!遙は一生私の友達だよ!! 』 『 ホント? 』 『 うん、本当。 』 『 かみさまにちかって? 』 『 うん、誓う誓う!!! 』 『 ・・・・・・・・・・・・ 』 『 嘘、つかないわよ。 』 『 ・・・・・・なんてね、冗談よ 』 『 んもう遙!私をからかって面白い? 』 『 えへへ・・・・・・、ごめんゴメン! 』 そんなやり取りをしていたのが始業式の日だった。 でも遙は、しばらくしても相変わらず、私の事を『 羨ましい 』と言っていた。 一週間を過ぎた辺りから、遙はしきりと私のクラスの人の事を聞くようになった。 『 どんな人がいるの? 』とか『 カッコいい男の子はいる? 』なんて、 なんだか探っているみたい。 私は適当に答えていたけれど、遙が聞きたい話は無かったみたい。 そんなある日、私の部活は休みで、久しぶりに遙と一緒に帰った。 学校前の坂を二人並んで下りる。 その脇を二人の男子が後ろから追い抜いていった。 『 なぁ、今日は何処へ行く? 』 『 あ、俺ちょっと参考書が欲しいんだ。本屋で良いか? 』 『 この街のか?・・・・・・折角だから橘町へ行こうぜ、たちばなちょう。 』 『 う・・・・・・ん、まぁいいかぁ。 』 そんな会話が聞こえてきた。 私は「 なんだか見たことがあるやつだ 」くらいにしか思わなかったけど、 それが後になって同じクラスの男子だと言う事が解った。 『 私たちも何処か行こうか、遙・・・・・・???? 』 すぐ横にいたはずの遙は居なかった。 何故か私の背後に隠れるように立っていた。 『 ? どうしたの?? 』 『 ・・・えっ、・・・・・・ううん、なんでもない、なんでもないよ。 』 『 ねぇ遙、私たちも何処か遊びにいかない? 』 でも遙は、何も答えてくれなかった。 一人考え事をしている感じだ。 『 はるか?遙!・・・・・・行くよ。 』 『 っえっ?・・・・・・うん・・・・・・。 』 とりあえず遙に帰路を促す。 遙が何を考えているのか、私には解らない。 どうにかして聞き出そうか思案していると、遙の方から話しかけてきた。 『 ねぇ、さっき追い抜いていった二人、水月のクラスだよね? 』 『 えっ?そうだっけ・・・・・・? 』 『 ・・・・・・!?・・・・・・み、みつき、クラスの人、覚えていないの? 』 『 あっ・・・・・・う・・・・・・ん、まだ、一週間だしね。まして男子なんて話しないもん。 』 『 えっ!?・・・・・・あ・・・・・・そ、そう・・・・・・。 』 私はこの言葉のやり取りを不信に思い、これが切欠だと思いついた。 『 遙。でも、良く覚えているね?人のクラスの男子まで。 』 『 !?えっええーっと、た、たまたまだよぉー。 』 『 なんて言いながら、本当は意識しちゃっているくせにぃ。 』 『 ・・・・・・!?・・・・・・ 』 遙は素直に反応を見せた。 手を口にあて、驚いた表情をしている。 そうなったらもう一歩、踏み出しちゃうよっ! 『 それで、どっちが彼なのかな? 』 『 えっ・・・・・・え、・・・あ・・・・・・あ、うぅ・・・・・・。 』 『 ほれほれ!! 』 『 ・・・・・・うぅ・・・・・・ 』 遙は考え込んでしまった。 こうなったらあと一歩、時間と雰囲気を作っちゃえ 『 あ、公園。遙、寄っていくよ!! 』 晴れた日の公園、子供の声は聞こえない。 最近は公園で遊ぶ子供も減ったのかな? しかし、公園の入り口付近のベンチで乳母車を揺らしながら 談笑するグループが見える。 奥のブランコの辺り、ちょうど日陰になっている そのそばのベンチに鞄を下ろし、私はブランコに座り揺らし始めた。 遙は未だ悩んでいるのか、傍らに立ちすくんでいる。 私はブランコに立ち上がり本気で漕ぎはじめた。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 『 水月・・・・・・、あの・・・・・・いいかな? 』 遙は意を決したのか、声を掛けてきた。 私はブランコをひらりと降り立った。 『 ・・・・・・なに? 』 『 えっと・・・・・・、その、あ、あのね・・・・・・ 』 『 あのね、さ、さっきの二人のうち・・・・・・髪が長い人・・・・・・ 』 『 うん・・・・・・ 』 『 鳴海君って言うの・・・・・・鳴海孝之君 』 『 ・・・・・・・・・・・・ 』 『 もう一人の人は平慎二君。水月のクラスの人だよ・・・・・・。 』 『 それで・・・・・・なんでそいつを知っているのよ? 』 『 あ、あのね、・・・・・・あの・・・・・・ 』 遙は鳴海孝之の事を話し始めた。 切欠は些細な事だったようだ。 それでも遙には衝撃だったようで、 偶然見かけたことや、すれ違った事を大切に話してくれた。 そして、ずっと今まで片思いを続けているらしい。 凄く遙らしいと笑えそうであるんだけど、 それが遙の強さだと思う。 私には真似できない。 見つけているだけで良いなんて・・・・・・。 『 ねぇ遙・・・・・・・・・・・・ 』 『 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 』 『 よしっ!そいつが遙に相応しいか、私が確かめる。 』 『 !?や、やめてよみつきぃ・・・・・・。 』 『 本当に止めてもいいの?折角私が情報収集を引き受けるって言っているのに。 今まで知らなかった鳴海君を知る機会が出来るんだよ? 』 『 あっ・・・・・・・・・・・・うぅ・・・・・・・・・・・・。 』 遙は顔を真っ赤にして、眉間にしわを寄せて考え込んでいる。 『 じゃぁ、決まりだね?早速明日からでも鳴海君?とやらに接近してみるよ。 』 遙は複雑な表情をしていたが、ちょっと上目遣いになって 『 みつき・・・・・・ありがとう・・・・・・ 』と言った。 翌日、私は鳴海君?に近づくための切欠を探していた。 実は、夕べずっと悩んでいた。 声を掛けるタイミングや切り出し方など、 夜通しずっとシュミレートしたのだった。 が、彼は未だ登校していない。 そう言えば、先日も遅れていたような・・・・・・・・・・・・。 HRのチャイムが鳴る。 ほとんどの人が席に向う。 その時、教室の扉が開き、彼が大きなあくびをしながらはいってきた。 「 はぁ、こんな奴の何処が良いのかねぇ・・・・・・。 」 しょっぱなから減点シーンを見てしまった私は、 次の休み時間にいきなり声を掛けた。 それまで組んできたシナリオも使う必要も無く 適当に声を掛けたのだった。 『 ねぇ、私、速瀬水月・・・・・・ 』 君が望む永遠SS『 たとえばこんなはじまり・・・・・・ 』END 04.08.27 |
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