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perfect life
著:TAMAKI
目覚めて、カーテンを開けると、 ―――そこは、「蒼」だった。 なんて、澄んでいるんだろう、って思うくらい。 今日は、一緒に桜公園の高台でお弁当食べようって、朝倉くんと約束したんだから。 ・・・でも、多分、眠っているんだろうなぁ・・・。 時計を見れば、まだ時間は7時。 私は、家の者たちが止めるのを無視して、お弁当を作り始めた。 純一さんが好きなもの、そう、私が「頼子」でいた時間に覚えた料理。 それに、アレンジをしたり、応用を利かせたりして、お弁当を作った。 今日は、猫の頼子も一緒に行く。 なにやら、 「俺たちだけデートじゃもったいないから、頼子さんにも、紹介したいのがいるから。」 と誘われたのだった。 頼子に、夕べ、 「そういうことを純一くんに言われたの。」 というと、それまでは、無関心そうに、ベッドで、丸まっていた頼子が、『にゃ〜』と 少し元気そうな声で鳴いたから、多分、頼子も純一さんが好きなんだって思う。 純一くんは、なぜか頼子のことを、「さん付け」して呼ぶ。 理由はわかっているから嬉しい。 あの時間、私と頼子は、時間を「共有」した。 それは、外の世界を知らなかった私たちにとっては大きなものだった。 そうやって、出かける準備を済ませて、純一くんの家に向かう。 ―――見上げれば、もう、空には吸い込まれそうな蒼と、 そんな蒼の側で、眩しく光る太陽が・・・ 初夏であることを告げていた。 ―ピンポーン― 純一くんの家のチャイムを鳴らす。 ―――10秒、返事がない。 ―ピンポーン― ―――20秒、返事はない。 ―ピンポーン― ―――30秒、返事もない。 私は、それを確認して、合鍵を取り出す。 純一くんがくれたもの。 私の小指にはまっている、指輪と同じくらい、大切なもの。 その鍵を使って、中に入る。 「純一く〜ん。」 まず、居間に行って、いるかどうか、確認してみる。 ・・・いない。 時計を見れば、10時30分。 そうやって、純一くんの部屋の前に立つ。 ワンピースの上からでも、わかるくらい胸が上下する。 今日は、淡い水色のワンピースで、来る前には、鏡の前で、30分も迷って、 決めた服だ。 今日は、お弁当を入れたバッグにもう一つ。 頼子が入っているバッグをもっている。 そして、お弁当の入ったバッグは、居間に置いてきた。 純一くんの名を2回か、3回くらい呼んだけれど、中から、返答がない。 「純一くん?」 部屋を入ったときに、ふと、ぼうっとしてしまった。 開いている窓のところで揺れる、真っ白なカーテン。 その隣にあるベッドで眠っている純一くん。 その隣に立っても気付かない。 多分、ゆうべ、杉並くんと遊んでいて、疲れたのかな? とか、考えていると、 「うん・・・?」 と、たった今、目覚めた、純一くんが声を出した。 ―――その、まどろんでいる顔が・・・・ ―――その、愛しさが・・・ 「純一くん。」 まだ、まどろんで、意識がはっきりしていない純一くんの瞼にキスをした・・・。 「な・・・え?っと、って、え!?」 気付いた純一くんは、物凄くおどおどしてる。 その、慌て方が、普段見せたことのないものだったので、可笑しくて、可愛くて、 くすっと、笑ってしまった。 純一くんは、驚いたことを誤魔化すみたいに、洗面所にいったり、慌しく出かける用意をしている。 私は、それを、居間のソファに座って待っていた。 そうしていると、純一くんが用意を済ませて、居間に現れた。 そして、 「じゃ、行くか〜!」 「うん。」 私たちは、家を出た。 いきなり、純一くんは、隣の家に入っていった。 「え?!純一くん?」 そう聞くと、笑顔で、 「ま、待ってなって。」 と、家に向かって行った。 家のほうから、純一くんの声で、 「おい!さくらんぼ!ちょっと、用があるから、出て来い!」 なんていうのが聞こえた。 しばらく待っていると、純一くんだけが現れた。 肩には、猫(?)を乗せて。 二人で、他愛ない話をして、歩く。 不意に、 「にゃ〜」 と、純一くんの肩に乗っている猫が、落ちてしまった。 「うにゃ〜!」 少し、純一くんを非難したような、その猫が可愛くて、私たちは、くすっと笑った。 初夏の、ほどよい暑さのをくぐって、私たちは高台に着いた。 腕の時計を見れば、もう11時30分を回ったところ。 朝ごはんを食べていない純一くんが、少し可愛そうだったので、 「純一くん。お昼、食べましょう?」 と、私は笑って言った。 「―――はぁ、うまかった〜。」 純一くんは、ベンチにもたれて、そう言った。 ちなみに、今、私と、純一くんの手には、紅茶の缶が握られている。 食後に、と純一くんが買ってきてくれたものだ。 「にゃ〜」 頼子が鳴いたので、思い出した。 「純一くん。そういえば、どうして頼子を連れてきてって言ったの?」 純一くんは、思い出したかのように、 「あ、そうそう。頼子さんに、紹介しようと思って。」 そういって、隣の家から連れてきた猫を頼子の前に、乗せた。 その猫はご飯のキャットフードを食べたあと、純一くんの頭の上に乗せられていた。 ・・・何度も落ちそうになっていたけれど。 こうやって、猫のお見合い(?)が始まった。 とは言っても、特別に何かをするというわけではない。 実際は、ただ、それぞれの猫を、前に置いただけとなった。 ―――それから、30分くらいが過ぎた。 いきなり、頼子が、うたまるくんに寄って、その顔の匂いを嗅いだり、気にし始めた。 純一くんと、私はそれを見て、お互いの手を握って、 「よかったね。」 と、笑いあっていた。 それを、見たかのように、頼子と、うたまるくんは、じゃれあって、 夕日が、頬を照らし始めるまで、ずっと、仲良くしていた。 「なぁ、美咲?」 帰り道、純一くんが、唐突に言った。 「え?何?」 と聞くと、 「今日は、頼子さんは楽しんでくれたかな?」 と、なぜか照れくさそうに、耳の辺りを掻きながら言った。 そういう、純一くんの気遣いがとても嬉しかったし、 今日の、頼子の顔は、嬉しそうだった。 だから・・・ 「うん。絶対楽しかったはずだよ。」 そう、手を握った。 あの時間、一緒にいて、時間を共有したから、わかる。 「ありがとう」 そう言って、私は純一くんの手を握った。 ―――そして、 「これからも、ずっと一緒に居て。」 という、気持ちとともに・・・。 END
あとがき
今回は、美咲さんです。 おいしいのは、うたまるだったんですが、やっぱり、書きたいのが 「人」だったので、バッサリいっちゃいました。 でも、美咲はキャラ掴みづらいです。 では。 了
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