遠くで、祭り囃子が聞こえる。
今日は、朝倉と二人で、秋の祭りにやってきた。
毎年、お姉ちゃんと行ってたんだけど・・・
「いえ。眞子ちゃんは朝倉くんと、楽しんできてください。」
なんていう、妹も殺せそうな笑顔で、あたしにそう言って、今日は、父さんたちと
出かけてくるのだそうだ。
「しかし、萌先輩も、来たらよかったのに。」
さっき、屋台で買った焼きそばを食べながら、朝倉は呟く。
「まぁね。でも、お姉ちゃんの好意みたいだし、気を使ってくれてるんじゃないの?」
しばらく、二人で、歩く、突然、
「ごほっ!げふっ!」
「あ!朝倉!?」
「いや、焼きそばを口に入れすぎた・・・。」
ビックリした。いきなり、何をするのかと思った。
「あはははは。」
「何笑ってるんだよ?」
照れくさそうに朝倉が言う。
恋愛小説って、いつも「こんなもんかねぇ。」なんて読んでいたけれど
今なら、わかるような気がする。
恥ずかしい話だけど、朝倉の一言一言が嬉しいし、あたしの心に染み込むように響いてくる。
そう思わせてくれる朝倉のことを「好きになってるんだなぁ・・・」と思って
それが何度も何度も重なって、もっともっと大切な存在になっているのがわかる。
二人で、帰り始めた頃、
「なぁ、眞子、来週はどうする?」
朝倉が、ぼうっと空を、見上げながら言った。
大体、本校に上がってから、音夢が家を出て行ったらしくて、たまに
ご飯を作りに行ってあげたりもする。
行くと必ず、
「眞子、お前が作るのか?」
と朝倉が言うが、あたしの作った夕食なんかは、残さずに食べてくれる。
それで、一緒にテレビを見て、他愛ない話をして、あたしを家まで送ってくれる、という生活をしている。
帰りには、あまり話をしないけれど、それでも、いつも、
「やっぱり、今日は家に泊まっていかないか?」
と少しだけ寂しそうに言う朝倉がいて、それにあたしは
「うん。じゃ、少しだけ、公園に行こうか?」
と言って、ブランコに座って二人で星を見上げたりしている。
決まって朝倉は、ここのブランコに座る。
始めは、そうだとは思わなかったけど、朝倉って物凄くロマンチストなのかもしれない。
決まって、そこに座る。
それで、決まって隣にあたしを促す。
別に、何を話すっていうわけじゃないけれど、それがいいんだ、と朝倉は
いつも言ってくれる。
そういえば、最近、後輩に言われたことだけれど、
「眞子先輩って、あの人が来るようになってから、音変わりましたよね。
前に誰かが言ってたんですけど、『好きな人がいると音が変わる』って。
やっぱり好きだったんですね。あの時から。」
それを言われるなんて思わなかった。
しかも、その話をしている最中に、朝倉が音楽室に入ってくるんだから、
あたしは大変だったんだ。
―――でも、今となれば、楽しくて、大切な思い出。
大好きな人との。
「どうした?眞子。なにボーッとしてんだ?」
朝倉が、人の顔を覗きこんでいる。
「いいでしょ?あたしだってたまには、ボーッとしたい時くらいあるの。」
「そうか。」
―――と。
一瞬、あたしの世界が止まった・・・。
朝倉の唇があたしの唇に重なった・・・。
「え?」
あたしがしどろもどろしていると、
「ははは。今日は、俺の勝ち、だな?」
カチン、ときた。
こんないい感じなのに、コイツはこういうことを平気で言う。
「あ〜さ〜く〜ら〜!」
「やべっ!」
『こういうのも・・・ま、いいか・・・。』
公園で、走るカップルを見守るような星々が空に瞬いていた。
END
あとがき
こんばんは。
こう、更新ペースを速めたいな、というか、衝動的に書いたお話です。
多分、キャラ違うとか言われそう・・・。
では
了