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Feel
著:TAMAKI
カランッ 私の部屋に、薬剤の瓶の軽い音が鳴り響く。 そう、今日は領主様への報告の日。 お館様の経過の報告と、あの雌ブタの報告。 今、服用した薬は安定剤で、これがないと、あのお方の前に立っていることすら出来ない。 それは私の命、すべてを握っている以上のもの。 死ぬという恐怖、それ以上の恐怖を与えられるのがあのお方・・・。 私の体にも忌わしい、その痕跡は残る。 これは呪縛以外の何者でもない。 私の命以上に、何もかもを奪っていったのが、あのお方。 あの日、私を売った男すら、使えない人間と判断されれば棄てられる。 棄てる、というと語弊があるだろう。 そう考えれば、私は幸運なほうなのだろう。 おかしい。 安定剤を服用して こんなに感情が動くなんて おそらく、普段の私ならば、苦笑いを浮かべていただろう。 「あのヴァネッサ様・・・・・?」 「どうした?コンラッド、入るときはノックしろと言ったはずだが?」 睨みつける。このコは、私のプライベートの玩具だが、普段の業務は、メイドと秘書。 その関係のハズだ。 「い・・・いえ、ノックはしました。けど、ヴァネッサ様の返事がなかったものだから・・・つい。」 こうやって小動物のようなこのコを一目で気に入って落札した。 こういう人身売買も、簡単にやってのけられる。 もう、あの頃の私には戻れない・・・・。 「コンラッド、ここの掃除、頼んだわよ。」 そう言って、必要な書類だけをファイルに詰めて部屋を出る。 「いってらっしゃいませ、ヴァネッサ様。」 眼鏡の端に、コンラッドの深々と礼 をする姿が映る。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 踵を返した私はコンラッドにキスをした。 「私が帰ってきたら、寝室に来なさい。いいわね?」 「は・・・はい。」 そう言うと私はドアを開け放つ。 あのお方の前に・・・・。 カツンカツンカツンカツン・・・・・・・・・・・ 耳障りなほどのヒールの音。 この奥にあのお方の待つ部屋がある。 「んっ・・・・」 ドアの前に立ち止まり、唾を飲み込む。 ギィィィィィ ドアの軋んで開く音と同時に・・・・ あのお方が見える。 私は、視線を上げ、 領主様に礼をした・・・・・・。 「ヴァネッサ、彼は従順か?」 END
あとがき
ピジョンブラッドの月末のシーンを切り取りました。 どうなんでしょう?SSは少ないのでしょうか? 世界観が物凄く好きだったりします。 この領主とヴァネッサの関係、ヴァネッサとコンラッドの関係。 この二組の恐怖で結ばれた関係、歪んでいるけど、お互いを必要とする関係のこの二組も好きですね。 カオルコのSS、また描きたいですね。 最近、リタよりも、カオルコがお気に入りのTAMAKIでした。 了
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