FREE WINGS
著:TAMAKI
  ──―あ、あのさ、リタ・・・ちょっと話があるんだけど・・・。





  そうやって、僕、コンラッドは、リタに話を切り出した。








 そう、あの日、いきなりあのお屋敷が燃え始めたと思ったら、カーンさんが現れて、

 僕とリタと、お館様とヴァネッサ様を連れだした。

 そして、全員、これからを偽名を使って過ごす、ということだけを言い合って、

 お館様とヴァネッサ様と別れた。

 別れるときに、お館様とカーンさんがなにやら、肩をすくめあって笑っていた。

 多分、半年の間に彼らには、何かルールが出来たのだろう。

 実際、こんな逃げ方をして、僕たちが生きているということから、考えれば、

 領主さまと、その妹である、カオルコさまは亡くなったと考えていいだろう。

 事実、カーンさんにも、

 「組織のことなどなかったように、振舞うんだ。」

 と何度も言われたし、

 リタと僕らは、身寄りのない未成年ということで、施設に預けられた。

 二人とも、全員の前では偽名を使いあった。

 僕はエミリオ、リタはなぜかイザベラと名乗った。

 二人とも、この偽名はカーンさんに貰ったものだが、僕が貰うときに

 「何でリタだけ、そんな古い名前なんですか?」

 と聞くと、カーンさんは、ニヤッとして

 「俺の昔好きだった女の名前さ。」

 とだけ、答えた。

 始めは、カーンさんが苦手だったけれど、施設に届けてくれるまでの時間で、

 どうして、お館様がカーンさんを苦手じゃなかったか、理解することが出来た。









 それから、4年の月日が流れた。

 僕ら二人は、過去の出来事から、やはり、苦手なものや、世間とは違うもの

 を持ってしまっていたが、それもだいぶ、治ったと思う。

 リタは22歳で、僕は18歳になって、施設を出ることになった。

 それで、僕らは、施設の中に居た頃に相談した、パン屋をしよう、ということになった。

 リタが接客をして、僕が配達したり、外回りをする。

 パン作りは、二人で勉強しよう・・・と話し合って・・・。






 実際、僕らが施設を出るときに、施設の所長さんが、僕らに、大きい額の振込みを

 してくださってる方がいること、そして、それが2箇所からで、二人で、これからどうするかを

 相談していたので、「これを元手にやってみるといい」と大きな金額のお金を貰いました。

 二人とも、最初は、そんなこと知らなかったので、首を横に傾げっぱなしだったけれど

 やはり合点がいって、そのお金をいただき、勉強して、やがてパン屋を経営することになった。












 それから、3年の月日が流れ、僕らの店は街でも、評判の店になっていた。

 それなりに、贔屓にしてくれる方も出来たし、リタの性格もあってか、みんなから

 アドバイスを貰って、それを改善していって、僕らの店は、安定してきていた。








 そして、僕はある日、リタに切り出した。







 「・・・あ、あのさ、リタ、ちょっと・・・話があるんだけど・・・?」

 リタと僕は仕事を終えて、二階の居間で夕食を終えたところ。

 「え?何?」

 リタは笑みを浮かべて返事し、僕の前のソファに座る。

 僕は、しどろもどろになってしまいながらも、言った。

 「リ、リタのことが好きだから!た、多分、愛してるから、け、結婚して欲しい!」

 ・・・言ってしまった。

 彼女は微笑みながら、答えた。

 「コンラッド、あなたの気持ちはずっと知っていたんだよ。だって、ご主人様にも気付かれていたんだから。

  私のほうが年上なのに、生意気ですね、とか話していたんだよ。」

 僕は、それは、すぐしどろもどろになってしまうけれど、お館様にも知られていたなんて知らなかった。

 もしかしたら、ヴァネッサ様にも・・・。

 そんな思考を遮るように、言った。

 「リタ、答えは急がないから・・・。それに、ダメでも、二人でパン屋続けたいんだ。」

 今度は毅然として言った。

 それは自分の気持ちだから。

 大切に思うのを証明したかったから。



 リタはその僕の言葉をかみ締めるように、受け取ったあと、笑って、

 「コンラッド、結婚しましょう?」

 と、僕が今まで、欲しかった、お館様に向けるリタの笑顔で、答えてくれた。








 そこからは早かった。

 二人で過ごした施設に、行って、所長さんに報告したあと、

 二人に、お金を送ってくれた人の住所を聞いた。

 そこは、今、住んでいる国から、離れていて、とても今の僕らには

 行くことが出来なかった。

 だから、手紙で伝えようと思った。









  僕らのことを、守り続けてくれた感謝の気持ちをこめて。







   そうやって、僕らはそれぞれ、ペンを執った。
END
あとがき
 短いけれど、ピジョンブラッドのSSです。
 もしかしたら、初かもしれないですね。
 で、今回はヴァネッサグッドエンドのあとです。
 このエンディングが個人的には好きだったりします。
 確かに、クリスとリタという、主人公とヒロインのエンディングも好きですが、
 コンラッドとリタというのも好きですね。
 若々しい、そういうお話ですね。
 個人的にはゲーム中で、リタが、コンラッドのことを聞いて、
 「私のほうがお姉さんなのに、生意気ですね。」とクリスと
 話しているシーンが好きなので、書きました。
 ・・・これって、読む人いるのかな?
 やっぱり爽やかすぎるかも・・・。

 では