Flower
著:TAMAKI
   「あ、カオルコ。マナミもこっちに来いよ!」

   楽しそうな声のシュナイダー。

   ・・・・そして、私が想いを寄せる人。




















    ―――たとえ、それが神に背くことであろうと・・・・。









      シュナイダー、貴方が欲しい・・・・。

















 それくらい私はシュナイダーのことを想っていたし、マナミにもその話はした。

 それがどうだろう。

 今や、マナミとシュナイダーが恋仲で、私はただ、シュナイダーの横顔を見つめることしか許されない。

 「カオルコ、お前は何を悩んでいるのだ?なんでも私に相談すればいい。」

 レギーナお姉さまはそう言ったけれど、こういう問題は解決できるものでもない。

 「いえ、何でもありませんわ。お姉さま。」

 そう告げて電話を切った。

























 ―――あぁ、





















    どうして、シュナイダーが欲しい。とだけ、その言葉だけが出ないのだろう・・・・。



























 「わかったわ。」

 そう言って、シュナイダーと私の間に立つマナミ。

 その表情は誰に向けるよりも笑顔で、シュナイダーもまた、マナミには私にはしない瞳をする。

 ―――悔しい。

 そう思った。

 小さい頃から、私は何でもお姉さまに合わせていた。

 『ずっとお前はそうすることしか出来ないんだ。わかるか?頭の悪いカオルコ?』

 心の中の・・・。おそらくはお父様の血だろう。サディスティックな自分が私に語りかける。

 「違う・・・・。」

 「ん?どうしたんだ?カオルコ。」

 写真は気づけば撮影されていて、ポラロイドの写真はもう色が出ている。

 笑顔のマナミとシュナイダー。そして、一人だけ笑っていないワタシ。


















 「え・・・えぇ、なんでもないわ。シュナイダー。」

 覗き込んできたシュナイダーの視線に少し頬が熱くなる。

 けれど、その体を手でのけるようにしてそっと、視線を外した。

 「そんなボーッとするなんて、カオルコらしくないわよ?」

 マナミも心配なのか、私に言う。

 「大丈夫よ。少し考え事。大したことじゃないわ。」

 私は二人の視線から逃げるように、二人に背を向けた。




















  『いいのか?カオルコ。お前はコイツ等に哀れみの目で見られてるんだぞ?』




















 もう一人の私はこうやって、私の思考に入り込んできては、嘲笑って消えていく。

 「・・・・どうしたのかしら・・・・。」

 二人の視線を感じながら、私はその日は部屋に戻った。

 その夜はマナミからの電話も出ないで、ずっと、お姉さまから、貰った花だけを見ていた。

 ―――思い出すのは、シュナイダーのことばかり。

 それでも、彼の隣にはマナミがいる。

 それは私には越えることの出来ない塀のような物。

 そう、レギーナお姉さまの組織に戻らなければならない。

 「・・・・・・うっ・・・・。」

 不意に訪れた嘔吐感。

 洗面所に駆け込んだ私に、もう一人の私が囁く。

 『邪魔なら、殺してカオルコのものにすればいい。シュナイダーも殺してカオルコのもの。そうしてマナミも殺してやればいいんだ。
  それくらい当然だろう?カオルコにこんな想いをさせたのだ。』

 














    ―――鏡に映った私。
















     ―――そこには歪に唇を吊り上げて嘲笑う女。

















   「そう・・ね。シュナイダーを殺して、私のものにすればいいんだわ。」























  そう呟いた私は、お姉さまに電話をした。

  「どうした?カオルコ。」

  直にレギーナお姉さまが出る。いつもの猫なで声。

  「お姉さま、少し、鞭と『道具』を貸して欲しいのですが・・・・。」

  そう言った私は、まさに戻りようのない場所に踏み込んだのだった。


























   『クククッ』

   もう一人の私が嘲笑う。

   『カオルコ、それがお前の本性だ。わたし・・・と変わらない、その忌わしい血の・・・な。』





















  開いた窓から入った風が、レギーナから貰った花を揺らしていた。
END
あとがき
 こんばんは。
 えっと、これは製作者の方に挑むようなカタチです。
 過去の話ですね。カオルコの。
 一応、「花」がネックですが、お分かりでしょうか?
 この、マナミとシュナイダーを殺したのは、レギーナによる催眠、ということです。
 まぁ、前にケイゾクだったかなぁ。
 あの音で催眠が発動する、というのを匂いに変えてみただけなんですけどね。(確か手錠の音だったような・・・。
 なので、マナミやシュナイダーを殺した、というよりは、この後、殺してしまう、という状態です。
 まぁ、レギーナならば、これをカオルコのための通過儀礼にしそうだなぁ、と言う感じですね。
 では、また別のお話で。