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No Christ
著:TAMAKI
「・・・・ぐすっ・・・。うう・・・・。」 私は狭い城の一角で泣いていた。 そう、ただ、そこは冷たく、孤独な場所。 「どうしたの?カオルコ。」 しばらくすると、レギーナお姉さまが来た。 お姉さまはいつも、香水をつけていて、その匂いが私を包んだ。 「だって・・・今日は、みんなお父さんやお母さんとパーティーするって。私にはそんなのがないから。」 目をこすりながら、私はお姉さまに言った。 「そうね・・・・。今日はクリスマスですもんね。カオルコも少しは・・・ね?」 そうお姉さまは、笑顔で厨房のほうに向かっていった。 私は、ただ、その時に渡された人形を抱きながら・・・・。 ―――私のお父様は普通ではない。 それは本当に小さい頃からわかっていて、私はよく周りから取り残された。 私はそれでも構わない、と思った。 『カオルコ、お前は畏怖される存在でいればいい。居続けるのだ。』 小さい頃、お父様に、「どうして私はみんなの中に入れないの?」と尋ねたときに帰ってきた言葉。 けれど、もう、お父様は、いない。 いや、いるのだろう。けれど、今のお父様は父親ではない。 ・・・・・私には、悪魔に身を売った魔法使いに見える。 毎晩、私は枕で頭を隠して眠る。 夜中になると聞こえてくる。 ―――嬌声。 それは、私には理解できなかった。 どうして、体を痛めつけられてあんな気持ちよさそうな顔ができるんだろう。 ・・・・どうしてお父様は、あんなに怖い顔が出来るのだろうか・・・と。 「カオルコ?カオルコー?」 城の階下から、お姉さまの声が聞こえる。 「なんでしょうか・・・・?レギーナお姉さま。」 少し気になりながら言う。 だって、レギーナお姉さまの部屋には、ケーキと、蝋燭、それに、シャンパンがあった。 「これからパーティーをしようと思って。それに、カオルコだってしたいって言ってたでしょ? お父様やお母様がいないのは仕方ないけれど、私だけでは駄目?」 お姉さまのその心が嬉しくて、私は抱きついた。 「ううん。嬉しいです・・・。お姉さま。」 埋めた顔の上から、 「それじゃ、ケーキを切ろう?」 とお姉さまの声が聞こえた。 二人で、ケーキとシャンパンを味わいながらくだらない話をする。 お姉さまの大学での話。 それは、外の世界をあまり知らない私にはとても光って見えた。 「お姉さま?私でも大学に行ける?」 おそるおそる、話のキリがいいところで、お姉さまに問う。 「大丈夫、カオルコならね。」 とお姉さまは笑顔で答えてくれた。 「ふぅ・・・。」 「どうかなさいましたか?カオルコさま?」 今はどうだろう。 ヴァネッサと私二人だけで、ワインを飲んでいる。 むしろ、ヴァネッサはつき合わされているに近いのだろう。 なぜならば、二人とも、全裸でベッドの隣のチェアーに腰をかけて飲んでいる。 先ほどまで居た、エルザ=マリアは早々に服を着て立ち去った。 ヴァネッサの肉体だけが、空間の異質さを物語っている。 「なんでもないわ。ヴァネッサ。けれど、あの媚薬はよかったな。 あれなら、それなりの投与でかなりの効果を得られるのだろう?」 ワインに映るのは、サディスティックな笑みを浮かべる私。 「そうですね。あれならば投与次第でかなり重度の調教にも耐え切れます。」 ヴァネッサの眼鏡に普段の仕事の色が出る。 「そう。それじゃ、次の調教から使わせてもらうぞ。あと・・・・玩具にも・・・な。」 そう舌なめずりをして、ヴァネッサに視線を飛ばす。 「かしこまりました。」 ヴァネッサはそう言って、ワインに唇をつける。 「ヴァネッサ、お前にはクリスマスの思い出はあるのか?」 唐突に切り出した。 「・・・いえ。私の家は両親とも働いていましたし、特別には・・・一般でするようなものだけでした。」 ヴァネッサは少し困惑しているようだ。 「そうか。あとはワインも片付けておけ。」 私はそれだけ告げて、ワインを流し込んだ。 そして、そのままヴァネッサは、服を着てワインのボトルと、グラスを持って部屋を出て行った。 「カオルコさま、レギーナさまがお呼びです。」 直後に呼び出された。 なんだろう、と思いながら、指定された地下の拷問部屋に入る・・・・。 「・・・・・・シュナイダー・・・?」 頭の中がぐるぐると回る。 ―――シュナイダーは私が殺したはず・・・・。 しばらくして、レギーナお姉さまが部屋に入ってきて告げた。 「さて、このネズミをどうやって殺そうか?」 ―――そのクリスマスプレゼントが、私の、最後に愛する人との出会いだったなんて・・・・・。 END
あとがき
こんばんは。 えっと、これは、吉澤さん同人誌に収録されている、猫柳まんぼさんのお話の後です。 個人的には、もう少し弄れそうなのですが、限界でした_| ̄|○ このあたりのカオルコの心境ってイロイロあったんだろうなーとか凄い考えますね。 ・・・というか、普通に、初恋の相手にそっくりな人が自分の前に現れたら、どうするんだろう。 とは考えてみたり。 そして、アニメ見ました。なんか怖いですけど、やっぱり迫力が凄いですね。本当に。 こう、全体の雰囲気が凄い好きでした。 本題というか、本当にレギーナの父親を殺す前の性格とか、凄い悩んだ末のキャラクターです。 そのテの英才教育になるのか、それとも、普通のお嬢様としてなのか。 英才教育もありそうだったんだけど、多分、その頃のレギーナはまだお嬢様然としていたんだろうな、 という予想(願望)で書いたものです。 では、別のお話で。 了
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