Bloody Birthday
著:TAMAKI
  ―――そ・・・っか。今日はクリスマスなんだ・・・。





  私の呟きは空に響く。

  今はまだ昼で。

  そして、空はクリスマスなのに、何もしてくれなさそうなブルーな空。

  「あ、そっか。星は見えるもんね。」

  にんまりとして、私は散歩する。

  まだ、志貴は帰る時間じゃない。

  今日は、有彦ってコに呼ばれて、昼過ぎまで家にはいないんだった。

  私は暇なので、街の中を歩くことにした。

















   ―――私がこんなに退屈してるのにな・・・・。













  

  ふと、志貴への愚痴を言って見る。

  別段、なんということもない、私に退屈させただけのこと。

  それでも・・・・。

  志貴にこんなこと言うと気にされるかな・・・、とか考えるのは、昔の私と変わったということだろう。

  「貴女は変わり果ててしまった。」

  そう、あの頃のロアならば、私にため息をついて、言っただろう。

  しかし、私は、「私」でしかない。
  
  朱い月が近づいたとしても、それは、私ではないものが、私を支配する、ということ。











   ―――そんなことは・・・許しはしない。








  決意を込めた言葉。

  そして気づけば、私のマンションの前に帰っていた。

  「あ、もう街も回ったんだ。」

  自分でも、沢山のことを考えながら歩いていたので、中々気づかなかった。

  「んーと、まだ志貴は来てないみたいね。」

  入り口のドアの鍵を開けてから、部屋に入る。

  真っ白なベッドだけの部屋。

  少しソファがあるけれど、基本的にはなにもない。
















   『ハッピーバースディ!』















  いきなりパン!パン!と軽い音がして、志貴が影から出てきた。

  「いや、バレると思ったんだけどな。」

  そう呟いて、志貴は私に小さな袋を渡す。

  「何?」

  「開けたらわかるだろ?」

  志貴は視線を逸らして言う。

  開いてみれば、真っ白なコート。

  しかも、生地もいいものみたいで、私はそのコートを抱き締めて、

  「ありがと!志貴。」

  そう言って、更に志貴に抱きついた。
 
  「お・・・・おい!」

  と困ったように言うけれど、本当に嬉しかったから。













  そして、二人で、街に繰り出す。

  他愛のない話に笑って、そして、回想したり、沢山の場所を見た。

  あのホテルにも。

  そして、志貴はふと、路地裏に向かった。
 
  というよりも、私も一緒に、何かに導かれるように・・・・。































   ―――立っていたのは、



























   ―――思い出したくもない、私の宿命で



























 

   ―――その相手がこちらを向いて、笑ったのだから。



























  「あ・・・・。」

  志貴は身じろぎできない。

  私は睨みつけるだけ。

  さも、おかしい、という風に相手は笑う。

  「お前がなぜ、そんな顔をする?私を受け入れる器がお前以外にもあってな。お前は、中身を持った不安定な存在。
   しかし、私の、この体は、中身のない、ただ『真祖と同じ性質』なだけだ。よって戦闘能力も真祖と同じ。証拠を
   見せてやろう。」

  そう言った瞬間、私は叫んでいた。

  「志貴!逃げて!」

  その響きは、向かうべき相手の鼓膜に届く前に、虚しく宙を舞っただけ。



















   ―――あぁ、なんて最低な誕生日なんだろうか・・・・。





       愛している人が、いなくなってしまう日なんて・・・・。


































  「ふむ。お前を一度殺した人間だ。もっと殺し甲斐のある人間かと思ったぞ。」

  私と同じ姿をしたソレは笑う。

  「・・・・・・・・許さない。」

  脳内の理性や、知性が吹き飛ぶ。
























  ―――ただ、殺す。






















     憎しみを込めて

























    最悪の方法で





























   断末魔もあげる間も与えず


























  言葉を浮かべる間もなく、最低の殺し方をしてあげる。





























  私の瞳が金色に変わる。

  「お前だけは、殺す。」

  「殺すだと?同じ存在だ。私を殺せる筈などないぞ?」

  その答えを聞く前に、空間を歪ませる。

  「ふん。」

  避けるのは予測済み。

  その予測していた空間を歪ませてチェックメイト・・・・。

  とはいかないようだ。

  






























   「なぜだ?なぜ、私の反応が?」

  怯えながら、その女・・・。朱い月は言う。

  けれど、答えない。

  抱くのはその殺意だけ。

  「待て、私を殺せばお前も消えるのだぞ?アルクェイド=ブリュンスタッド?」

  そんなことは判っている。

  しかし、相手の足はもうない。

  その顔、体、すべて、自分に酷似しているソレを一瞬で殺した。

  





























   潰して



































   引きちぎって

















  
  















   切り裂いて


































  「お・・・おい、やりすぎだぞ?」

  志貴にはまだ息がある。けれど、もう治すなんて不可能だ。

  肺、腹部、腸の部分はない。

  「志・・・志貴、今、治すから・・・!」

  それを笑顔で、やんわりと志貴は否定した。

  ―――もういいよ。と言って。

  「で・・・でも!」

  「いや、アルクェイド、お前がソイツを殺したらお前も死ぬんだろ?俺はそれが耐えられないんだ。」

  弱っていく鼓動が聞こえる。

  「・・・・」

  私は答えられない。
 
  志貴には見えていないかもしれないけれど、もう、私の体一部は存在が「消えて」いる。

  「それなら・・・さ。あの世って俺は信じないんだけど、アルクェイドとそこで会えればいいや。って。」

  「志貴・・・・。」

  その呟きのあと、志貴は笑って、

  「な?後で逢えるよ。きっと。」

  そう言って、志貴は、雪の降り始めた空に旅立った。

  「そう・・・ね。すぐに私も行くから。」

  もう体の感覚もない。

  横には朱い月だったモノの血液だけ。

  そこから、脳に言葉が響く。

  『なぜ、お前には勝てなかった?』

  私も最後に告げる。

  「感情、というものを軽く見すぎよ。」

  
















   それだけ告げて、私も空に浮かぶ。

























   ―――志貴、すぐに逢えるからね。

































   そう、信じて。
END
あとがき
 うわっ、暗!俺(笑
 というわけでこんばんは。
 少し早い、誕生日話ですね。
 んー・・・・。どこをどう間違えて、こんなバッドエンドに(笑
 ハッピーなSSを読みたかった人はごめんなさい(反省してない奴
 精神状態なのかもしれません。
 そして、朱い月の概念とか、個人的な解釈で、書いたのでダメ出しとかいりません(笑
 むしろ、設定よりも、今回はストーリーが難産だったので勘弁してください(笑
 というわけで、年内はもう月姫SSの更新はありません。
 よほど書きたくなるような話(シエルがサンタでやってくるトカ)がない限り、書く予定はありませんね。
 あ、さっちんもか。

 で、まぁ、年内最後っぽいんで、皆様よいお年を(笑