わたしにうつして。
著:TAMAKI
   ぼうっとベッドから天井を見てる。

  今日は、無理矢理実家に帰らされてしまった。

  帰りたくないから、どんなお手伝いでもするって言ったのに・・・。

  ・・・先生のバカ。




   私は、中学のころから、ずっと寮で、生活していた。

  お正月も、お盆も、春休みも、みんな寮で。

  でも、今年は、とうとう帰らなくてはいけなくなり、

  この大嫌いな自分の家に帰ってきた。



  理由は、「いっしんじょうのつごう」っていうことにしてほしいな。

  え?ダメ?




   ───あまり言いたくないけど・・・。




   私の家はね、お父さんとお母さんが、私が小学校に入る前から、あまり話さないの。

  私の前では、決してしようとはしなかったけれど、ケンカもしていたみたい。

  いつも、顔を合わせたら、嫌そうにする二人を見ていて、嫌だから、私は浅上女学園を

  選んだの。そうしたら、寮だから、ずっとお友達と一緒にいられるから。

  





  ───ドアを閉める音が聞こえる。

  この閉め方はお母さんだ。

  お母さんは服飾関係の仕事をしてる。

  お母さんの働いているところは今は、外国でも、お仕事してるって

  言ってた。

  だから、私が小さいころから、忙しくて、あまり一緒にお出かけしてないんだ。

  しばらくして階段を上がる音が聞こえた。

  もうシャワーを済ませて寝るみたい。

  「おやすみなさい。お母さん。」





   ───がちゃり───

    お父さんが帰ってきた。

   すぐわかるこの閉め方。お父さんは閉めるときが、雑だから、

   大きな音がする。

   お父さんはゆっくり歩く。

   まるで、小学校の校長先生みたいに。

   でも、お父さんは校長先生じゃないよ。
 
   会社の、常務なんだって。

   「じょうむ」って聞いたのは中学生のころだったから、もっと偉くなっているかも。

   だって、今日も、お父さんの「友達」が来たから、私が「いないよ〜」
 
   て言っただけで、お父さんの友達は「品がある」とかずっと言うんだから。





       私はこういうの・・・嫌なのに。






   お父さんが階段を上がってくる音がする。

   帰ってきてから、40分くらいしたからかな。
 
   お風呂入ってもう寝るのかな・・・。

 






   私の家は御飯の時も、お父さんとお母さんは話さない。

   言葉を交わすのも、めずらしいくらい。

   今日みたいに、帰りの時間が近くても、一緒に食べるところなんか

   小学校3年のクリスマスのときが私が知ってる「最後にみんなで話して御飯を食べた日」だった。





   だから・・・私は家に帰るのは・・・キライ。





   嫌なことばかり考えていたから、楽しいこと考えよう。

   ん〜。

   蒼ちゃんのこと。

   いっつも、難しい顔してる。たまに難しいこと言うし。

   そのくせ、恥ずかしがり屋さん。

   蒼ちゃんは、静かにしてると男の子みたいで、かわいい。

   前に一緒に買い物しているときも、「弟」と言われて、蒼ちゃん怒ってた。

   蒼ちゃんの好きなことは「ライヴ」に行くこと。

   それなのに、たまに、帰ってきたら怒ってるときがある。

   ───ホント、よくわからない・・・。

   でも、蒼ちゃんはね、お願いってしたら、いつも手伝ってくれる。

   文句とか言うけれど、そういう蒼ちゃんってすごく優しいコだって思う。

   勉強も、教えてくれるし、

   前に熱出して、熱かったときに

   「おい。大丈夫か?」

   って、タオル変えてくれたりしたんだよ。

   そんな蒼ちゃんは大好き。








    あ、蒼ちゃんと言えば、秋葉ちゃん。

   秋葉ちゃんはいつも厳しい。

   秋葉ちゃんは頭いいんだよ。

   あんまり言われてないけど、学年で、5番内にはいつも入ってるから。

   やっぱり秋葉ちゃんも難しい顔をよくする。

   それに、すぐため息ついてる。最近は多かったな。

   だって、もうすぐ春休みだったから。

   春になれば、「兄さんが迎えに来る」んだって。

   秋葉ちゃんはお兄さんのことが好きなんだって。

   10月に転校しちゃったとき、蒼ちゃんに教えてもらった。

   あの時、送ったお守り、効果あったかな・・・。

   あったらいいな。

   秋葉ちゃんは、怒りんぼうなのに、寂しがり屋さん。

   だって、学校に戻ってきたときに、お月様を見て寂しそうにしていたから。

   毎晩、窓際で、ため息ついていて・・・。

   「どうしたの?」って声かけようとしたけど、

   「羽居には関係ないわよ。」って教えてくれないから、気付かないフリしてたんだ。

   でも、秋葉ちゃんはその後の手紙見てから、そんなにならなかったなぁ・・・。

   






     「ふぁぁぁ」


  





    いっぱい、考えていたら眠くなっちゃった。

    明日は寮に帰れる日だから、うれしいんだ。

    だって、蒼ちゃんや秋葉ちゃんとまた話せるから。

    私には、大事な友達なんだよ。







     「えへへへ」






    実はこんなの作ってたんだ。

    この青くて、刈り上げたみたいなのが蒼ちゃん人形。

    それで、この髪の毛長いのが秋葉ちゃん人形。

    寮から帰るときに、持ってきたんだ。

    これがあればいつでも、秋葉ちゃんや、蒼ちゃんといるみたいだから。

    よく「枕が変わると眠れない」って聞くけど、これがあれば安心なんだ。

    



    ・・・だって、蒼ちゃんや秋葉ちゃんが側にいるみたいだから。





    この人形がないと寮以外では眠れないから。







    ぎゅっ、と二人を抱きしめて眠る。













      おやすみ。














     秋葉ちゃん、蒼ちゃん。






























     「ふあぁぁぁぁ」

   なぜか目が覚めてしまった。

   時計を見ると、まだ、A.M.4:30。

   しばらく寝ようって、思ってベッドに横になっていたけど

   ・・・眠れない。

   楽しいこと考えても、眠くなってこない。

   ん〜。としばらく考えて、お風呂に入ることにした。

   だって、いつもは、入ることが出来ない時間だから。






    体を洗って、お風呂の中に入る。

   朝に入ることがなかったから、不思議な気分。

   でもね。

   秋葉ちゃんや、蒼ちゃんは知らないけど、私はこれくらいの時間が好きなんだ。

   理由はね、お日様の昇るのを見ていられるから。

   前に、修学旅行でね、うれしくて、朝早くに起きてしまって、

   みんな起こしちゃいけないと思って、窓の外見てたんだ。

   なぜか、そのとき、感動しちゃったから。

   だから、この時間は好き。

   色々考えていたら、のぼせてしまったみたい。

   服を着て、部屋に戻ったら、6:00って、時計が指してる。

   眠る時間じゃないから、大好きなCDを聞く。

   蒼ちゃんって、ロックって聞いてるけど、私はあぁいうの、聞けない。

   もっと、かわいいのを聞く。

   お気に入りのCDを出してきて、CDプレーヤーに入れる。

   大好きな曲が一曲目。

   この曲は、知らないところに来た男の人がその街の女の子を好きになるって

   お話の曲なんだ。

   曲もかわいいから、大好きな一枚。




   「ボクにこころをうつして」

   
   「ホントのカタチで」




   っていう言葉を歌ってる。

   ゆったりとしていて、気分いいんだ。

   こういうこと言える人できるかな。

   秋葉ちゃんみたいに。








      見つかったらいいな・・・。









     
       その人にも聞かせてあげたいな。
END
あとがき
 なんだか、夜明けに書いているSS。
 と、もう明けています。
 太陽が出てますから。あぁ、ダメ人間だと思う今日この頃。
 一気に羽ピン書いてしまいました。
 実は、こういう話は、深夜が書きやすいです。僕的には
 こう、この世界に入り込むことが出来ますから。
 でも、実際、こういうSSは書いていて、リラックスします。
 最近は、ダークっぽいものや、悲しいものばかりでしたから。
 このお話は、羽ピンのお父さんとお母さんの設定がないのでオリジナルです。
 だから、ここらあたりを使えば、志貴くんとお見合いしたり・・・
 とか出来るのかもしれませんね。

 では、
 別のお話で。