灯油窯について

私の使っている窯は日本電産シンポ製の灯油窯ですが約3年間使ってきて感じたこと、 わかったことなどをつづって行きたいと思います。
あくまで個人的な感想・感覚です。決して製品の批判をするものではありません。

左の写真は購入直後に写したものです。窯の重量は約300kgほどありとても一人では設置できません。
購入した陶芸店のご主人と日本電産シンポの人がこの場所に設置してくれたのすが他の場所への移動は
よほでのことがない限りできないと思います。最初に設置するときに十分検討したうえで設置場所を決める
ことが大切です。私はこの場所で満足しているのですが風雨にさらされる場所なので普段はブルーシートを
かぶせています。それでも今では表面の鉄が錆びてきているので出来れば風雨のあたらない場所を選ばれる
いいと思います。その際は換気に注意が必要ですけれど・・・

窯中の温度について 私の窯は中型の部類で1バーナータイプです。1バーナーなので1回の焼成に使う灯油の量は2バーナー
タイプに比べて少なくて済むと思いますので経済的ですがその分窯内の温度が場所によって異なるという
欠点もあります。これを補う方法を私なりに工夫していますので紹介します。

・窯詰めの際に炊き口から煙突に向けて炎の通り道を作ってあげると温度差が少なくなるようです(当たり前!)。
・欲張って詰め過ぎないようにする。素焼きの際、たくさん焼きたいときは重ねることで詰める量を増やしています。
・なるべく時間をかけてゆっくり温度を上昇させるといいようです。マニュアルの1.5倍くらいの時間をかけてます。


還元焼成板 日本電産シンポも無煙灯油窯の特徴は還元焼成時に黒煙を出さないこと。購入したときは半信半疑だったの
ですが還元焼成板を使うことによって本当に黒煙が出ないんです。送風機からの風を煙突に送り込んで煙突
の中を酸化状態にして黒鉛が出なくするって原理のようですが、住宅地に設置していますのでこの機能は本
当に助かってます。住宅地に住んでいる方で灯油窯の購入を検討されている方は連絡いただければ詳しい体
験をお伝えします。

焼成結果について 灯油窯は近代窯の中で一番薪窯(穴窯や登り窯など)に近いと言われています。燃料は灯油ですが窯の中を
炎が回り窯変を起こすことがしばしばあります。そのため思いもしなかった焼成結果に一喜一憂することが
たびたびです。好結果を再現するためにはデータの記録が欠かせませんので気温、湿度、風量、灯油量など
をしっかり書いて同じようにやって見ています。再現できたときは本当にうれしいものです。逆に失敗とし
か言いようのない結果も多々あって気に入らないものは庭の花壇の柵として利用しています。それを拾い上
げてほしいとおっしゃる方がたまにいて苦笑・・・
安定した焼成結果を求めたい人は灯油窯より電気窯を選択されたほうがいいかも!

酸化焼成 酸化は窯の中に酸素を十分送り込んで完全燃焼することにより、釉薬が溶けて化学変化を起こすときに酸
素との結合がおこなわれる焼成方法です。焼成工程は大きく、あぶり(〜900度)、攻め(900〜1250度)
ねらし(1250度キープ)の3つですが完全酸化で焼成するためには攻め工程の900度から1200度
までの間、窯の中を酸化状態に保ちます。1200度を超えると釉薬の化学変化が行われなくなるため酸化状
態を保つ必要はないようです。私の窯は1バーナーで片方から熱が加わるため窯の中の温度ムラが起こり
ますので1200度を超えたら窯の中を還元状態にして圧力をかけて温度ムラの解消を図っています。

還元焼成 還元は窯の中に酸素を十分送り込まず酸欠燃焼することにより、釉薬が溶けて化学変化を起こすときに酸
素との結合を起こさない焼成方法です。焼成工程は大きく、あぶり(〜900度)、攻め(900〜1250度)
ねらし(1250度キープ)の3つですが還元で焼成するためには800度くらいから送り込む空気の量を減らし
1200度までの間、窯の中を不完全燃焼状態に保ちます。不完全燃焼なので普通の窯では煙突から黒煙が立ち
上がります。私の窯は先に書いた無煙灯油窯なので煙突からの煙が上がらないので色見穴から窯の中の状態を
チェックしています。還元状態になっている場合、色見穴から炎が吹き出てきます。吹き出る炎の長さで還元
のかかり具合をみます。長いほど強還元状態です。1200度を超えたら窯の中を酸化状態にします。還元状態では
高温になると温度があがりにくいためと1200度を超えたら釉薬の化学変化は終わっているらしいので温度を上げ
やすい酸化状態にして灯油を節約しています。
焼きあがった作品は酸化焼成に比べて良く焼き締まっているように思います。釉薬にもよりますが渋い感じの
焼きあがりを好まれるのであれば還元焼成が良いと思います。

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