haunted heart
8.26: もうだいぶ涼しくなってきたが、それもどうやら長くか続かず、まだ真夏日はあるそうだ。
僕はこの季節(夏の終わりの夜の涼しいときから、冬の初めまで)が一番好きなので、とても気分がいいが、この季節のことを好きなのは気温だけでなく、多分 ちょっとした寂があるからだと思う。日本の四季を一番感じられるというか・・・。

先日読み終わった本でとてもおもしろかったのが「大和三山の古代」(上野誠、講談社現代新書)という本。これは奈良県、橿原市を中心とした大和三山(香具 山、耳 成山、畝傍山)と藤原宮の話。飛鳥時代から奈良時代の間の天皇と山と万葉集をめぐるイメージの世界。それに携わる研究者の発想の話。といった感じの本。僕 は以前、もう10年も前だろうか、家族と旅行でこの地を訪れたことがあり、その山々と静かな風景のことをありありと思い出せる。だから読みやすいというの もあるだろう。藤原宮の跡(建物のようなものは本当に何もない)も訪れており、その近くで食べたにゅうめんも旨かったのを覚えている。
上野さんは万葉古代学研究所副所長だそうで(最初は思い込みで橿原考古学 研究所の人だと思っていた。というのもそこの付属博物館にも行ったので。)、非常に想像力のある人だ。僕が思うに、研究者には想像力が必要だと思 う。定説作りよりも、間違ってもいいから想像力を働かせるべきだと。まあそんなこと分かっていてもできない仕組みに学会というのはなっているのだろうけ ど、そんな中でも この上野さんのような人がいるのだから。以前に紹介した西洋中世史の堀越孝一さんも同じで、その研究対象が生まれた瞬間にまで戻り、それをなるべく客観 的に捕らえる。というやり方をしている。そしてこの系譜はどうやら折口信夫までさかのぼるようだ・・。
今、その折口の「日本芸能史六講」(講談社学術文庫)を読んでいる。
当分こんなモードだ。
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