2.26:
U2のニューアルバムが出た。
実家に帰って、夜に兄が持って3階に上がってきた。当然くるだろうと思っていた。
中学3年のときに私が「joshua
tree」を中古で買ってきて一緒に聞き始めて以来、私は次第にいろいろな音楽に手を伸ばしU2もそんなには聞かなくなっていったが、兄は現在まで常に彼
らが最高のアイドルだった。
この前の"vertigo"のツアーの時は兄がチケットを押さえてくれて、私も友達を連れて見に行った。
彼らは相変わらず輝いていた。でもアルバムでは以前のような輝きを感じてはいなかった。どうしても昔のアイルランドの闘士の姿が私の中では最高の彼らなの
だった。
兄にとってもそれは多分同じだろう。でも兄は聞き続けていた。常にアルバムが出れば「最高だ。」といっていた気がする。
そしてついにU2に新しい変化がやってきた。
「NO LINE ON THE HORIZON」。
それは革新的と呼ぶほどではないかもしれない。ところどころには最初このアルバムのためにリック・ルービンにプロデュースを依頼し
たというのが分かるような、レッチリ的なアプローチも現れている。また「ビューティフル・デイ」の頃のニューアメリカンロックの持つダサさ(いい意味でと
いったらず
るいだろうか)も残っている。プロデュース陣はスティーヴ・リリーホワイト、ブライアン・イーノ、ダニエル・ラノワ。まさにU2黄金期のメンバー。だから
革
新的なはずはない。
でも、でもだ。ここにはあたらしいU2が確かにいる。戸惑いながら、歌い、震えながら、ギターをかき鳴らしている。何かに向かって生身でぶつかっている姿
が見える。これは僕にとっては驚きで、どんどんこのアルバムが好きになっていく。
でも兄は違う。これは兄にとっては当然の姿のはずだ。兄には驚きはないは
ずだ。そんな兄が少しうらやましく思える。 |
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