haunted heart
6.28: 池袋の夏目書房で買った、ハンス・マイヤーの書いた『ブレヒトと伝統』(合同出版)という本を読んでいるのだが、これがなかなか面白い。合同出版、つまり 「ば りばりの左」な出版社から出ているだけあって、ブレヒトのマルクス主義的な側面に関係した論評なのだが、訳も、内容もよく、とても読ませる内容だ。
だけれどマルクス主義に関して1920〜30年代ドイツにいた人の見方はさほど特別なもの、つまり、右とか左のような見方ではない。むしろ伝統と深くつ な がっている。それはその概念が生まれた場所の歴史的な文脈とは切り離せないということだ。日本のマルクス主義の受け止め方はその文脈から切り離されている がゆえに、肯定する方にも否定する方にも、とても大きな問題があるように思う。
この本を読むと、なによりブレヒト自身の魅力をあらためて感じる。彼のもつ毒はとてもうまく機能している。やっぱり毒はちゃんと吐いて、ちゃんと嫌われる べきところで嫌われることが大事だということをあらためて学んだ気がする。
past perfect  link  main