随想1 屋根融雪は1m以上で
 

 石油の値段は仮に安くなりましても、地球環境を考慮すると、不必要な屋根融雪は控えたいものです。
 温水、電熱、温風等の融雪方法の違いによる経済性の考慮もますます重要であります。

1.屋根雪はどこまでなら降ろさなくて済むのか?

 これは雪の重さによっても変わりますが、重い雪でも1m程度までなら雪下ろしをしなくても、通常は問題ありません。
(一般的な住宅の耐雪荷重は300kg/m2以上、雪の密度は降雪期では重い雪で300kg/m3程度)
 また過去40年間で最も降雪量の多かった年で、長岡市では一日に、20~30kg/m2,十日町では一日に40~50kg/m2を融雪することで荷重が400kg/m2を超えることが無いと、研究報告がされています。
 ただし、春先の融雪期に入ってからは密度が急激に上がりますので、60cm程度を目標にしてください。

2.屋根融雪にはどんな方式があるか?
 一日50kg/m2以下の融雪装置としては、一般に、温水式、電熱式、温風式があります。
 各方式の主な利点・欠点は次のようです。

温水式融雪屋根
 屋根板の下にパイプを張り巡らせ、その中に温水を流して融雪を行います。
  利点:強力な融雪を行うことが可能
  欠点:温水を作るための燃費が悪い

電熱式融雪屋根
 電熱線あるいは電熱板を屋根に敷き、そこで発生する熱で融雪を行います。
  利点:熱効率がよく、運転がしやすい
  欠点:電気代が高い

温風式融雪屋根
 屋根板の下にダクトを設置し、そこに温風を通すことで融雪を行います。
  利点:家庭廃熱を融雪に利用することができる
  欠点:送風機騒音がある
                                    

3.屋根融雪装置の運用費用について

 上の3つの方式で、屋根面積120m2(約36坪)の家で一日50kg/m2の融雪を行った際の運転費用の概算を以下に示します。
 
熱源方式 融雪用加熱装置 燃料 原価 暖房熱
(※2)
融雪に必要な熱量 経路
熱損失(※4)
合計 費用(※6) 
温水式 ボイラー
(熱効率80%)
灯油 70円/リットル
(5.66円
 /kWh)
6.22kW 28.98kW
(※3)
3kW 38.20kW 5192円/日
電熱式 電熱器
(熱効率100%)
電気 18.82円
 /kWh(※1)
6.22kW 23.19kW 1.5kW 30.91kW 13961円/日
温風式  石油ファンヒーター
(熱効率100%)
灯油 70円/リットル
(5.66円
 /kWh)
6.22kW 23.19kW 3.7kW 26.91kW
(※5)
3658円/日
   (※1)夜間電力(6.24円/kWh)を使う場合は、蓄熱装置が必要となり、
       経路損失が大きくなりますので、ここでは計算外とします。
    (※2)平均的な壁と、窓を持った家で、換気も1時間に1回とし、外気が
        0℃の場合です。
    (※3)ボイラーの熱効率分だけ他より大きくなります。
    (※4)発熱装置から雪に伝わらないで空気や水に直接逃げる熱のこと
       で、この値は低めの見積り額です。
    (※5)温風式は暖房熱が直接融雪に使えますので、合計に加わりません。
   (※6)これは24時間連続運転の費用で、実際は積雪1mを切った時刻
       で止めるべきです。