偲び、2出版社から“宇井本”相次ぐ

≪亜紀書房≫ 『新装版 合本 公害原論』など
≪すいれん舎≫ 『宇井純収集 公害問題資料全4巻』

〈宇井純〉の著述や講演などを記録する出版物が相次いで出された。ともに生前から企画・準備されていたが急逝したため、期せずして“偲ぶ出版物”となった。

≪亜紀書房≫  
『新装版 合本 公害原論』
1971年の初版以来、版を重ねてきたが、今回復刊した。
〈宇井純〉が助手時代、1970年10月から東大で始めた自主講座の夜間13回分、「公害原論」T〜Vに分類し収載している。
◇2006年10月発行/B6版/上製/872ページ/3990円(税込)
写真:復刻版は〈宇井純〉の死の直前に刊行された
『自主講座「公害原論」の15年』
1991年に刊行した『公害自主講座15年』を改題、発刊した。
第一部「招待講師の講演摘録」、第二部「自主講座で体験したこと」で構成した、いわば『合本 公害原論』の続編。編著者の一人として、〈宇井純〉が巻末に残る力を搾り出す感じで、絶筆に近い短文を残している。
◇2007年5月発行/B6版/上製/501ページ/3675円(税込)
写真:最期の短文も収録されている
*亜紀書房
  〒101−0051 東京都千代田区神田神保町1−32 
  Tel 03−5280−0261/Fax 03−5280−0263
  URL http://www.akishobo.com/

≪すいれん舎≫ 
『自主講座』(資料1)と『公害原論』(資料2)に大別し、書籍未刊行の部分や〈宇井純〉が収集した日本および世界の膨大な公害問題資料類から価値のあるものを選択、整理し、復刻した点に特徴がある。『自主講座』では“日本・アジア公害問題研究に必要不可欠の基本資料を網羅”し、『公害原論』では“書籍未刊行の公害原論を復刻”がキャッチフレーズで、いずれも〈宇井純〉の資料の大半を所蔵している埼玉大学共生社会研究センターが監修している。2005年5月に刊行以来、約3年かけて2008年5月に全24巻刊行した。
『宇井純収集 公害問題資料1』
足尾鉱山鉱毒事件、日立鉱山煤煙事件など明治、大正の歴史的公害事件の貴重な資料や公害事件現場からのレポート、アジア各国の資料やレポートなどを収録している。
版型は、いずれもB5版/上製/102,900円(税込)
◇第1回配本:2005年12月/1号〜25号/全4巻/各400〜500ページ
◇第2回配本:2006年5月/26号〜50号/全4巻/各400〜500ページ
◇第3回配本:2006年10月/51号〜83号/全4巻/各400〜500ページ
『宇井純収集 公害問題資料2』
「公害と行政」、「環境科学の方法論」など〈宇井純〉の書籍未刊行分の「公害原論」の講演と討論を欠落なしで完全収録しているのをはじめ、公害事件現場からの貴重な報告や住民運動の当事者による歴史的な証言を掲載している。
版型は、いずれもB5版/上製/102,900円(税込)
◇第1回配本:2007年4月(3学期〜5学期)全4巻/各400〜500ページ
◇第2回配本:2007年9月(6学期〜7学期)全4巻/各400〜500ページ
◇第3回配本:2008年5月(8学期〜10学期)全4巻/各400〜500ページ
写真:約3年かけて計24巻が刊行された
*すいれん舎
  〒101−0052 東京都千代田区神田小川町3−10 西村ビル5F
  Tel 03−5259−6060/Fax 03−5259−6070
  URL http://www.suirensha.jp/ (準備中)