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18.OCT.2004 (C)Copyright Gianluca-Toshi Japan 2000-2008
Last Update 01.JUN.2008


ジャンルカの気まぐれCDレビューです。新着、中古、再発、紙ジャケ・・・とにかく私が購入したCDの感想をアトランダムに書いてみます。実際に購入しているアルバムは70年代ものが多くなりますが、ここでは単なるレビューにとらわれずにそのアルバムにおける個人的なシチュエーションなども織り込み、勝手気ままに好き放題、真っ正直に述べていきますのでみなさんのご意見、ご感想等ございましたらぜひお聞かせください。 尚、アルバム詳細は出来る限り詳しく書くつもりですが、その時の気分によって全く関係の無い話題に脱線するかもしれませんので充分ご用心ください(笑)。
5段階、星の数でランク付けしてみました。アルバムの優劣というよりも私ジャンルカの好き嫌いの度合い及び満足度で判断していますからあまり参考にはなりません。日付は購入日またはレビューの記入日です。

FIREEARTH & FIRECURVED AIRBILLY JOELGREENSLADESPRINGAL STEWARTRENAISSANCE ILLUSIONKENNY RANKINALDO NOVABAD FINGERNICK DRAKE
JOE WALSHPILOTENGLANDAL STEWARTKEATSLARRY LEEJUSTIN HEYWARD/JOHN LODGENEW CHRISTY MINSTRELSTHE ZOMBIESKORGISFAIRFIELD PARLOURKLAATU
GRAPEFRUITLambert & NuttycombeLinda PerhacsBarbara KeithGrease BandFantasyFantasyHorslips

  HORSLIPS /"The Book Of Invensions" [2008.06.01]
70年代アイリッシュ・ロックの雄、ホースリップスの6作目です。まず「侵略の記録」というただならぬ邦題("The Book Of Invensions" ケルト神話をモチーフにしたコンセプトアルバムらしい)と、なにやら怪しげなジャケットがものすごく印象的なのですが、中身は意外にも予想以上の素直なポップ・ロックなのでした。
ホースリップスについては10年ほど前に1作目の"Happy To Meet-Sorry To Part"のCDを所有していたにもかかわらず、きちんと聴かずに現在に至り、今回紙ジャケでシリーズ発売されるまでノーチェックで過ごしてしまいました。その1作目の変形ジャケが完全再現ということで真剣に聴き直してみると、いやはや只者ではない存在感に圧倒されてしまったわけ。全作品が紙ジャケにて再発ならこの機会に揃えてみるか!という意気込みで、思いの外やる気を出してしまいました。
さて、いったい彼らの何が凄いのかと言われれば、まずは@根幹のしっかりした音楽性。ただのアイリッシュ・トラッド+ロックというだけでは収まらない独創性に満ちた曲作り。そしてA基本のしっかりした音楽的センスとテクニックが随所に発揮されていることやBコンセプトが確立されており、同時にその持てるパワーを充分に注ぎ込んだ力作揃いということ。C意外と聴きやすいポップ性。・・・そんなところでしょうか。 未聴の時には彼らの音楽性を「男所帯の地味な音楽性と取っ付きにくさ。そしてアクの強い曲者達」・・・そんな感じなのかなぁ?と思い込んでいましたが、実際それほどでもなかったというのが正直な感想。田舎のアイリッシュ・ミュージックというよりか都会的な洗練されたセンス溢れるロックとして、とっても魅力的なのです。
本作に話を戻しましょう。"Sword Of Light"という曲、あのコアーズのやっていた"Toss The Feathers"です!。はっきり言ってコアーズのアイリッシュ・トラッド+ロックのアレンジなんて、ホースリップスの二番煎じにしか思えません。全曲色気のない(?)男臭〜い大真面目なこのアルバム(他の作品も同様)、聞き込む程に魅力が溢れ出て、キラリと光るポップセンスが時折顔を出すところもニクイです。当時リアルタイムで聴いていればと、またしても悔しがるのですが・・・あの頃、情報なかったですもんね。
というわけで、このコーナーのレビュー前回から約2年ぶりでありました。


  KENNY RANKIN /"Silver Morning"[2006.08.01]
長い間待ち望んでいたケニー・ランキンの"Silver Morning"が突然公式サイトにてCD化の表明。 CD Babyというオンライン・ショップからのみオーダーできるようになっており、早速迷わず購入した次第です。今回の再発に際しては多くのファンからの問い合わせが公式サイトのBBSに寄せられていて世界的に待望の一枚なのだなーと実感。
さて、届いたのは(残念ながら)デジパック仕様。ジャケットの作りは非常に丁寧なのだけど、ライナーもレーベル名も見当たらず。これって本当に正規盤なのかい?と疑うようなブツなのです。(後に、ケニー自身の"Rankin Music Productions"からの発売と判明) 実は不満はこれだけではなかったのです。実際に聴いてみてマスター・テープに問題があるのかどうかわかりませんが、ピークの部分で音がびびるのです。まさか盤起こしではないのに、これが再発できなかった理由なのかな? せっかくのCD化を(5−6年前にアマゾンにてミュージック・カセットが発売されていてカセットということを確認もせずにオーダーした経緯もあり)長らく待ち望んでいたのに、これはちょっと水を差されましたね。
今回の再発はすごーく嬉しいですよ!久しぶりに全曲聴けるわけで。ですからオリジナル盤自体の評価は5つ星ですけど、正直言ってまぁなんとも複雑な心境。後に当初の原盤のレーベルからこっそり発売ということもあるのかな?と、ちょっぴり期待して待ってみて・・・それまではこのデジパックで楽しむしかないのですかねぇ。
なんだかんだと苦言ばかり呈してしまいましたが、タイトル曲の"Silver Morning"の素晴らしさはもちろん、続くビートルズ・カヴァーの"Blackbird"や"Penny Lane"はオリジナルを超え別次元のアレンジが魅力的。その他捨て曲一切なしの超々名作、名盤であるのは誰が何と云っても間違いのない事実なのであります。


  FANTASY /"Paint A Picture" [2006.06.09]
ファンタジー名義で1973年に発表されたアルバム。グループ名そのままの叙情性溢れる内容が素晴らしい作品なのですが、僕の場合、2001年に本作が紙ジャケで発売されるまでグループ名も作品自体もまったく知らずに月日が過ぎたわけで、それもそのはず90年代に入るまで一部のコレクター間でのみ人気のアイテムであって、メジャーな世界ではほとんど知られることがなかったバンドであったようなのです。 そんなファンタジーの紙ジャケを長い間探していたわけですが、ついに某CDショップで発見してしまいました。
彼らは"チャペル・ファーム"というバンド名からスタートし"ファイア・クイーン"と改名するも当時人気上昇中の"クイーン"と紛らわしいということで、結局このファンタジーというバンド名に落ち着いたらしいのです。その3年後に本作"Paint A Picture"を発表したわけですが、ヒットチャートを賑わすこともなく翌74年に2ndアルバムを制作するも何故かポリドールから発売拒否にあってしまいます。その後リーダーであったデイヴ・メトカルフが脱退すると時を同じくしてバンドも崩壊してしまったようです。(この2ndアルバムはすでにCD化されているようです。)
本作はジャケットの美しさに心奪われますけど、音楽性も牧歌的で叙情的。しかしながらそれほど大仰ではない。いかにも英国産という叙情派プログレでしょうか。どこかバークレー・ジェームス・ハーヴェスト(奇しくも同じポリドールに所属)に通じるところもありますが、彼らよりももっと素朴でさりげない演奏です。キーボードを主体にし、ギターはさほど主張しませんが存在感は結構あります。またボーカルも上手く意外と説得力があります。演っている内容は決して悪くないのに、当時の制作側の意向で冷遇されてしまったひとつの例なのでしょうか?しかしこうして蘇ったわけで、同じような運命にあったバンドに改めて陽が当たることがあるならばそれはそれで大変うれしいことですね。


  GREASE BAND /"Same" [2006.06.02]
英国スワンプ・ロックの雄、グリース・バンドの登場です。もともとはジョー・コッカーのバックバンドとしてスタートしその後独立。本作は彼らのデビュー盤となります。米国南部において発生したスワンプロックを彼らなりに解釈した、英国人によるいわゆる「イギリスのアメリカ」ならではの味わい深いロックアルバムです。(個人的にはいかにも英国風味のジャケットデザインが嬉しい)
リードギターのヘンリー・マカロック(マックロー?)は後にあのP・マッカートニー&ウィングスにて大活躍するヒトなのですが、ここではウィングスのステージで披露したある意味ヘヴィでポップな面などは見られません。素朴でどっしりと落ち着いた大人のロックを聴かせてくれるのですけど、確かなテクニックに基づいた彼のギターフレーズの中に原点がかすかに感じ取れるのが興味深い事実。キーボードのクリス・ステイントンは後にE・クラプトンのバンドに参加するし、ドラマーのブルース・ローランドはサンディ・デニーの復帰したフェアポート・コンヴェンションにてD・マタックスと共に活躍。しかしながらアラン・スペンサーは惜しくも91年に心臓病で亡くなっているらしいです。
"Mistake No Doubt"はこのアルバムを代表するようなちょっぴりフォーキーなアレンジを施したルーズでアーシーなナンバー。 "To The Lord"や"Jessie James"などは典型的なスワンプの極致。リード・ギターのヘンリー・マカロックはウィングス脱退後には土臭いフォーク・ロックのロニー・レーンのバンドにも加わるわけで納得ですね。本CDにはボーナス・トラックとしてBBCセッションでの5曲が収録されていますが、このバージョンが上出来ライブでまたまたご機嫌。
このグリース・バンド、後のロック界にて重要な立場に位置する人たちであったわけですから、その内容は推して知るべし。(セールス的には失敗したのですけど)渋くて泥臭い音楽を自分たちの思うがまま、好きなように表現した聴けば聴くほど深い味わいが滲み出てくる名盤であると思います。


  BARBARA KEITH /"Same" [2006.05.28]
米国のシンガーソングライター、バーバラ・キースのデビュー・アルバムです。彼女の存在を最初に知ったのは偶然にもCDショップで見た紙ジャケ。69年デビューだというのにリアルタイムで彼女の名前さえもまったく知らず、帯に書いてあったオーリアンズ関連のミュージシャンということがキーワードとなり、またジャケットの美少女に魅せられてしまい(笑)購入に至ったという次第です。いろいろと彼女の周辺を調査してみると、ソロ作発表前は前述のオーリアンズを結成するジョン・ホールやN.D.スマートらと「カンガルー」というバンドを組んでいたそうです。
で、本作は世界初CD化であって激レアとのことで、プロデューサーはあのピーター・アッシャー。"A World Without Love"(愛なき世界)で全米ナンバーワンヒットを飛ばしたピーター&ゴードンのピーターさんですよ。ジェームス・テイラーやリンダ・ロンシュタットのプロデュースでも有名な方ですね。サポートはウッドストック系ロック周辺のミュージシャンであるジェフ・ガッチョン、ジム・コールグローブ、N.D.スマートそしてビル・キースら。
実際に聴いてみて、これは大当たり!ですね。可憐な歌声にシンプルな演奏、フォーキーな彼女の声はどこかで聴いたことがあるような・・・、そう英国フォーク、ジェイドのフィメール・シンガー、マリアンヌ・シーガルに似ているような。 このアルバムでは変化に富んだ多彩なバリエーションの曲をやっていますが、なぜかフリー・ソウルということで注目されていたらしいとのこと。ぼくとしては特別にソウルフルな感覚を彼女に見出すことなく、あくまでもフォーキーな面ばかりのような気がします。1曲目の"Ferris Wheel"などはバンジョーのバックも軽やかなカントリー・ロックだし、"Walk A Little Closer"、"To See The Morning Gone"、"Lullaby"、"Blue Eyed Boy"などメロディアスな佳曲にしっとりとした憂いのあるヴォーカルが絡まってきてなんともいい雰囲気のSSW然としたフォーク・アルバムだと感じ取れます。既発売の2ndアルバムもぜひ聴いてみたいと思わせるアーティストです。 ただ、何故か本作と2ndアルバム、双方ともに「Barbara Keith」というタイトルでしかも2ndのほうが先にCD化されていること・・・。 これって紛らわしいですよねー。


  LINDA PERHACS /"Parallelograms" [2006.04.04]
リンダ・パーハックスというフィメール・シンガー・ソングライターです。とにかく詳細はいまいちよくわからないお方ですが、CD化されてゲットできるのは奇跡に近いような盤であることは確か。よくハワイ出身のSSWと紹介されているところもあったりしますが、実際ハワイとは何の関係もないひとのようで、たまたま版権元(?)か何かにHAWAIIの文字があったことで誤解されたようです。
で、彼女は米国はカリフォルニアの出身で本作一枚を残したのみです。米国人にしてはしっとりとした陰影と憂いのあるボーカルで、儚さやか細さがジワジワとにじみ出てくるので、おや?英国フォーキーか?とも思えるほど。(ドリーミーなイメージのジャケットも然り) この盤は彼女自身が所有していたオリジナル・マスターを元にデジリマ+ボートラ6曲(デモ・バージョンなど)を加えて2003年にCD化されたものです。繊細でいながらも実はしっかりとしたスタンスを持っているし、とにかく歌が上手く表現力に満ち溢れているのです。また印象的なメロディラインに乗せて歌う彼女の歌声は、歌そして音楽をストレートに楽しんでいるような、うまく云えないのですが素直に彼女の作る音楽にずっと触れていたいと感じて、時を忘れてしまいそうです。 すべての曲が秀逸ですが"Chimacum Rain"、"Hey,Who Really Cares?"、"If You Were My Man"、そして"Parallelograms"は特に素晴らしい出来上がり。当時注目されていればフィメールSSWとしてもっと実力発揮していたはず。何故にこういう才能が埋もれてしまったのだろうという残念な思いでいっぱいです。


  LAMBERT & NUTTYCOMBE /"At Home" [2006.03.21]
クレイグ・ナッティカムとデニス・ランバート、ふたりのユニットであるランバート&ナッティカムのデビューアルバムで、2005年8月に紙ジャケ&リマスターで再発されました。 今まで彼らのことはまったく知らずに今日まで来てしまいましたが本作は70年に発売、ふたりとも米国生まれとのこと。2本の生ギターのみをバックに歌いあげる形態がとってもシンプル&ストレートで心に染み入ります。ライナーを読まなければ英国フォークといって良いほど、まさに陰影のある情景を醸し出しています。ブルーを主体にしたひなびた感じの窓ジャケ。そのとっても雰囲気のあるジャケからして米国的ではないような気もしますし・・・。
まず1曲目の"Morning"を聴くだけでこれは名盤だぁ!と太鼓判押せますよ。すべての曲がバックは生ギターの爪弾きのみ。どちらがナッティカムでどちらがランバートなのか見当もつかないのですが、ふたりのハーモニーは爽やかというよりも繊細で耳に優しいタッチ。冬ならば穏やかな陽だまりとか暖炉の前の暖かさを、夏ならば木陰の下でのそよ風を連想するようなしっとりと心温まるフォークです。 こういう音楽を聴いていると英国だ米国だのと云ってることなんて、ナンセンス!のような気がしますね。
淡々と曲が進行していきますがジェリー・ジェフ・ウォーカー作の"Mr.Bojangles"を彼ら流の作風で採り上げています。僕の場合ニッティ・グリッティ・ダート・バンドのバージョンが大好きなのですが、ここでのシンプルなアレンジもまたオツなものです。米国SSW系ですとたいがいC&W風味の曲調が採り上げられたりするものですが、この二人の場合まったくそういうサウンドは当てはまりません。 陰りのある歌声と雰囲気などから、彼らのサウンドが英国的であると錯覚してしまうのでしょうか。
A&Mを離れて72年には20 century recordsから2ndアルバムが発表されますが本作のようなシンプルなアレンジは薄れてしまったようです。その後グループは解散しそれぞれ別々な道を歩んだようで、ナッティカムはコンスタントにアルバムを発表していたのですが、その陰で97年にデニス・ランバートは自殺してしまいもう2度と彼らのハーモニーが聴けないのが残念でなりません。


  GRAPEFRUIT /"Around Grapefruit" [2005.12.01]
クラトゥに続くビートルズ関連。今度は英国のグレープフルーツというバンドの紹介です。彼らはアップル社草創期の最初の契約アーティストなのですが、事情により何故かRCAビクターからのデビューだったとのこと。当時のアップルの契約関連ではこういう問題が時々実在したようです。
で、このグレープフルーツですが60年代後期のまさにちょっぴりサイケテイストの英国ポップで、R・ストーンズ、ゾンビーズ、そしてビートルズ等の陰に隠れてしまったニッチなバンドのようです。しかしながら3曲目の"Elevator"は聴いたことがあるなぁと思ったら、日本ではヒットチャートの上位にランクされたとのこと。う〜むなかなか侮れません。 バッドフィンガーのようにビートルズの弟分ということで、ポールやジョンがプロデュースに関わる予定もあったそうで(実際のプロデューサーはテリー・メルチャー)そのサウンドはもろビートルズの影響大で、"Lullaby"などはボーカル(恐らくジョージ・アレクサンダー)はジョンの声にそっくりだし、サウンドもレノン風で雰囲気は充分に中期ビートルズ。バッドフィンガーよりもポップ寄りで時代を感じさせるサウンド。いまこうしてビートルズを想いながら聴いていると、当時後に続いたバンドやアーティストは必ずと云って良いほど、なんらかの影響を受けており、それだけ時代の先端を駆け抜けたビートル達は凄い才能を持ったミュージシャンだったのだなと改めて実感します。 それはそうとこのグレープフルーツ、それぞれの曲は本当に味わい深い。いかにも60年代のぎごちないステレオ録音に閉口するところもあり、僕自身はあまりこの時代の録音状態というのは好きではないのだけれど、ラジオから聞こえてくる当時のヒット曲を聴くような気持ちで望めばそれなりに愛らしくてきらめくポップ・チューンに心躍ります。(ボーナス・トラックにおけるシングル発表曲のモノラル・バージョンのほうが魅力倍増)
本作は2005年にデジタルリマスターでリイシューされたデジパック仕様盤ですが、このなんとも取り扱いに困る中途半端な作りはなんとかならないものでしょうかねぇ。オリジナルのイメージを損ねる縦横比のジャケットデザインも気に入らないし。


  KLAATU /"Hope" [2005.11.22]
カナダ発の3人組バンド、クラトゥの2作目。ビートルズの覆面バンドというキャッチフレーズで、どこもかしこもクラトゥ=ビートルズの図式には今更新鮮味はありません。しかしながらこのワタシ、彼らのデビュー当時における情報などは皆無であって(ただ単に田舎の小都市在住のため情報が届かなかっただけにすぎないのだけれど)知っていれば必ずや聴いていたに違いないバンドなのであります。 当時、ひとさまよりは幾分か濃いところの洋楽を聴き込んでいた自負があったにもかかわらず、こうして今になって聴き逃していたバンドやアーティスト達のなんと多いこと。ヒットチャートに上ってくるメジャーのトレンドのみを追いかけていると、その下に広がるちょっとだけマニアックな世界にまで意識が向かずに結局ありきたりの洋楽好きで終わってしまったのかもしれない・・・なぁ〜んてね。 決してマイナーではなかったであろうパイロット、スタックリッジ、コーギスそしてキーツ・・・彼らの音を聴くたびに想うのは、いつの時代にせよ良いものに触れた時の感動に変わりはないわけだし、この歳になっての初体験も言い換えればめっけもんなのでしょうね。 で、1曲目の"We're Off You Know"の最初のギターフレーズ、そしてボーカルが始まるとそこはめくるめくポップ・ワールド!そして胸ワクワクの展開です。 なるほどなぁ、そう来るか!という感じです。アビー・ロード期のビートルズの音。そう、ポップな中にもしっとりと落ち着いたメロディラインにコーラスの妙。ベースランはしっかりポールしてるしギターソロはテレキャスを弾くジョージ。シンプルなドラムスはリンゴ風。 タイトル曲の"Hope"なんてまさにジョージ・ハリスンですよ。 アレンジはあきらかにビートルズを意識した音作りであるのでどうしてもそういう箇所ばかりに意識が集中してしまうのはしょうがないか。
手の込んだ精緻なデザインのジャケット、そしてコンセプトアルバムとしてのしっかりした構成。またピーター・ガブリエルの演劇じみた歌唱を意識したり、YES風なキーボードも出現したり、大真面目に作っていますがどこかユーモアが漂うポップ寄りのプログレ(何でもありでまさにビートルズ風なのかな)という感じです。デビュー・アルバムのほうはもう少しポップな小品集であるとのこと。さて、本作一枚を聴いただけでクラトゥがマイブームになってしまうのは必至で、またしてもリアルタイムで聴いていればと悔しがりながら、心ときめく今日この頃であります。


  FAIRFIELD PARLOUR /"From Home to Home"[2005.10.27]
いかにも英国風!の渋いトーンのジャケットアートはまたしてもキーフ。(キーフシリーズ第3弾であります)
カレイドスコープというサイケデリックロック・バンドが、1970年にフェアフィールド・パーラーと名を変えてリリースした唯一のアルバムです。 バンドとしてのキャリアは長いらしいのですが、レーベル再編の事情によりヴァーティゴ移籍の際にバンドのイメージも一新してよりプログレッシヴな方向にシフトしていくことを考え改名したようです。 実際の音は、非常に牧歌的でサイケ風味をベースにしながらも実はオーソドックスなフォーク寄りの音楽性。ストローブス好きの私としては素直に受け入れられるサウンドです。メロトロンが荘厳な味付けを加えてより重厚な作品に仕上がっていますが、なんといっても耳になじみやすい美しいメロディ・ラインが特徴的。フルートなどの響きにはあのチューダーロッジなどにも通じるところがあってたいへん興味深いです。 また、このバンドはピーター・ダルトリーとエディ・ピューマーがリーダーシップをとる双頭バンドなのですが、作詩とメインヴォーカルを担当するダルトリーにはいわゆる歌心があるところがとっても魅力的であります。
さて、彼らの活動としては映画音楽(マーク・レスター主演の「ちいさな目撃者」)を手がけたり、マリリン・モンローを描いたロック・オペラの制作に関わったりしますが、彼らの作り出す物語性のある音楽世界がそうさせているのでないかなと考えられます。
わたしの所有する盤はレパートワーの紙ジャケでサイズが一回り小さい。実はもうひとつエアーメイルから発売の紙ジャケも存在し、こちらはボーナストラックのうちの2曲は別途シングルCDとしてついてくるらしい。まぁ、その分値が張るのですけれどどちらもリマスターでボーナス付ですからお買い得感はあります。


  KORGIS /"Kollection"[2005.10.16]
ついにコーギス初体験!であります。 アンディ・デイヴィスとジェームス・ウォーレンのコンビによるコーギスはスタックリッジ解散後の79年に結成。あのスタックリッジ・サウンドとはちょいと違う作風との情報がネックになって今日まで聴かずに来てしまったのです。はっきり言って彼ら独特の音楽世界というものに傾倒していたワタシなので、時代の要求に応えたエレポップ調のサウンドとか、そしてあんまりポップすぎるのもなぁ・・・などという印象が先にあり、スルーしてしまったことを正直に告白します。まぁいずれにしても一度は聴いてみなければお話にならないのは事実ですけど。
さて05年9月発売の本作、タイトルはといえばKORGISの"KOLLECTION"。こんなところがいかにも彼ららしいのですが、そのライナーを読むとスタックリッジとしての3作目発表後、メンバーを一新した後の作品"EXTRAVAGANZA"収録時にはなぜかJ・ウォーレンのみバンドへの参加を拒まれ音楽業界とは別の仕事を余儀なくされたらしい。しかしながらその後、周囲の後押しによってKORGISを結成しヒット曲に恵まれた・・・彼にはそんな辛い時期を乗り越えた経歴があるらしいです。
本作の内容は新曲が6曲、そして日本以外ではリリースされなかったという"This World's For Everyone"からの7曲を中心にリイシュー&リレコーディングした編集盤であるのですが、ジェームス・ウォーレンの作るパステル調の優しい楽曲が心地よくて、違和感も無くとっても新鮮な感じ。スタックリッジの音楽性から田舎臭さを取り除いたようなシティポップ!そんな粋なメロディラインが存在します。しかし、「ジーンズを脱ぎ捨ててスーツ&ネクタイのような?」とか、「でもちょっと洗練されすぎ!」「まぁ、これがコーギスなんだからさ」「やっぱりスタックリッジへの想いが深くて・・・」などと、いろんなイメージが絡まってコメントが難しいですね。(結成当時の評価はどうだったのだろう?) 現在の二人はスタックリッジとしても先日編集盤を出したばかりだし(これも素晴らしい)コーギスとしての今後の活動はどうなるのでしょうね。(・・・というか、スタックリッジとしての活動のほうがずっと気になってしまうのだけれど・・・)←オイオイ


  COLIN BLUNSTONE・ROD ARGENT of THE ZOMBIES "Live at The Bloomsbury Theatre,London"[2005.10.12]
2005年発のゾンビーズのライブ。メインにコリン・ブランストーンとロッド・アージェントそしてキース・エアリー(g)、ジム・ロッドフォード(b)、スティーブ・ロッドフォード(dms)+ 弦楽四重奏という布陣でのステージです。
ゾンビーズ結成後のオリジナルメンバーでの活動期間というのは米国においてはそこそこ人気を博したらしいのですが(それも解散後)本国英国ではぱっとせず、後になって改めて見直されたという悲しい過去がありました。実際に名前が売れた頃にはバンドは解散状態。別人がTV出演したこともあったとのことです。 コリンはといえば、ゾンビーズ解散後ニール・マッカーサーという名前で活動をしていたようですが、その後アルバム"One Year"でみごとに復活。その後次々とアルバムを発表していき、アラン・パーソンズ・プロジェクトのボーカリストに迎えられたりと、第一線で活躍しました。ロッドはアージェントというバンドにて華麗なるキーボードを主体にしたサウンドで魅了。彼らの才能というものは、確実に「存在」したものであって、認められたか否かではないということでしょう。こうして今でも現役バリバリでステージにあがっている二人ですからこれからもずっと見守っていきたいものです。
さて、本作についてですが、全体的にロッドのキーボードの凄まじさが際立っており、コリンのボーカルよりも目だってしまう(!)曲もあったりして、う〜むさすがだなぁと思わせてくれます。コリンは、若かりし頃のハスキーな声は少し影を潜めて歳とともに重厚さが増したようです。演奏曲目はオデッセイ&オラクル収録の名曲である"A Rose For Emily"、"Care Of Sell 44"、"Beachwood park"そしてコリンのアルバムから"Andora"、"I Don't Believe In Miracles"、APPの"Old & Wise"、ロッド&コリン名義のアルバムからは"Sanctuary"等々。もちろん"Time of The Season"、"She's Not There"に"Tell Her No"とヒット曲が次から次へと出てきて観客も興奮。すっかり油の乗り切った演奏は、一時的な集合による音作りではなくて、これからの本格的な活動を期待させるに充分です。ただ、ひとこと言わせてもらえばもう少し余裕の演奏を楽しみたかったなぁ(緊張感はあるのだけどね・・・)という感じです。


  THE NEW CHRISTY MINSTRELS /"A Golden Classics Edition" [2005.10.03]
ニュー・クリスティ・ミンストレルズといえば"グリーン・グリーン"。
60年代の米国ポップ/フォーク・グループとしてTV界でも話題のひとつとなりました。"トゥデイ"という曲は確かワタシが小学生高学年の頃にヒットしたわけですから、もうかれこれ40年も前の出来事になってしまうのですね。あの頃といったらアンディ・ウィリアムズ・ショーとか、エド・サリバン・ショーとか、アメリカのTV番組が華やかで一種の憧れを覚えたものです。同時に思い出すのが「ベン・ケーシー」に「ドクター・キルデア」など。さてご存知の方はいますでしょうか? TVやラジオを通しての情報が唯一で、5歳年上の姉が洋楽関係(特にビートルズ)に興味があったりして、この時代の体験が後の自分に相当影響を及ぼしているはずだと思います。
さて、ニュー・クリスティに話を戻しますが、 総勢10名のメンバーを率いるのはランディ・スパークスという人物。彼の発案によりデュエット、トリオ、カルテット、はたまたソロシンガーというような、曲によってスタイルを変化させて歌い演奏するのが特徴のひとつ。そして、在籍したメンバーで後に有名になるプレイヤーは、バリー・マクガイヤ、ジーン・クラーク、(バーズを結成する)ロジャー・マッギン、キム・カーンズ、そしてカントリー歌手のケニー・ロジャース等。一時ひとりの日本人女性も加入していたと記憶しています。 さて、本作品は1963年発表の"Ramblin"と翌年発表の"Today"の2in1CDで、ショップのオールディーズ・コーナーにひっそりと佇んでいた一枚。優しい声とそのメロディが秀逸な"Today"と最近TVCMでかかっていた"Green,Green"を聴きたい気持ちだけでゲットしてしまったので、ここでは評価をつけられません。(笑)
古き良き時代のTV業界からの申し子のようなグループで、コマーシャライズされすぎとの批判もあったようですが、今になってはただただ当時を懐かしく思い起こさせてくれて、余計な批評なんかせずに曲を楽しむだけで充分に存在価値のあるグループなのです。


  JUSTIN HAYWARD・JOHN LODGE /"Blue Jays" [2005.10.03]
ムーディー・ブルースの中心人物であるジャスティン・ヘイワードとジョン・ロッジによる共作。本作が発表された75年という年代というのはバンドの絶頂期で世界的なヒットにも恵まれワールドツアーで多忙な時期でした。しかし何故かこの二人を始めとしてメンバーが相次いでソロアルバムを発表し、もはやバンドとしての存続は危ういとのうわさが先行しました。結果的にはキーボードのマイケル・ピンダーが脱退、代わってイエスにも在籍したパトリック・モラーツが加入し81年には新ラインナップにより「ボイジャー」を発表し復活します。 当時ワタシは「Seventh Sojourn」がかなりのお気に入りで、遡って過去のアルバムを聴いておけばもっと彼らを知ることが出来たであろうにどういうわけか他のバンドにうつつを抜かして今日まで来てしまいました。しかし運良くネット上にてご教示いただいたのをきっかけに、ついにこのアルバムにたどり着くことができたわけです。
まぁ、言い訳はこれぐらいにして、本作のプロデュースはトニー・クラーク。そしていつものムーディーズと同様、アルバム・ジャケットをフィル・トラバースが担当。実質的には彼らの8枚目のアルバムという評価もあったようです。タイトルの「Blue Jays」とはムーディー・ブルースの"ブルー"に二人の"J"が由来だそうです。(仲が良すぎてなんか怪しい?? 笑)
J・ヘイワードの歌声が聴こえてくればそこはもうムーディーズの世界。甘く優しく、優美でファンタジック!そんな夢のような世界が繰り広げられ、"Nights Winters Years"などにおいては壮大なオーケストレーションに圧倒させられて言葉もありません。また、ジョン・ロッジのちょっぴり不安定なトーンはご愛嬌としながらもそのメロディ・ラインの素晴らしさはJ・ヘイワードにも負けていません。また、本作はどちらかというとポップ路線の強い哀愁ロックでありますが、 "This Morning"のさびの部分ではメロトロンの代わりであるシンセの音がちょっと寂しく感じたり・・・。(ソロアルバムなのでそれはしょうがないんだけど)
CDにはボーナストラックとして"Blue Guitar"が収録。これはバックに10ccが参加、当時シングルとして発表した曲とのことです。知らなかったなぁ!!


  LARRY LEE /"Marooned" [2005.09.10]
すぐに鈴木英人氏とわかるイラストのジャケットが目を引く、ラリー・リーの初ソロアルバム(82年作)。もともとはカントリーロックの人でオザーク・マウンテン・デアデビルズのドラムスとソングライティングの担当だったらしいです。このバンド、名前こそ知っていましたがまたしても未聴なのでこれ以上コメントできません。
さて、本作は当時リアルタイムでLPを購入したのですが(恥ずかしながら私自身の結婚式のBGMに使ったという個人的想い入れいっぱいの一枚)、今回05年7月に紙ジャケで再登場。鈴木英人氏のイラスト自体は素晴らしいのですけど、なんか正規盤という感じがせずあやしい編集盤のような気分がずっと抜けなかったんです。今回の再発によって米盤オリジナルは「ラリー本人の髭ずらジャケ」ということが判明。ライナーによると当時本国ではまったくといっていいほど話題にならなかったらしいので、セールスを気にしての判断だったのかも。別に内容が良ければこんな かたちで差し替えなくてもいいんじゃないの、ソニーさん? まぁ、おかげで日本国内では映画「波の数だけ抱きしめて」で使われたりしてブレイクしたわけで(笑)。
それはさておき、内容はといえば真夏の太陽キラキラの下、車で海岸通りを走りぬけよう!みたいな爽快感たっぷりのドライヴィング・ミュージック。 80年代のごちゃ混ぜミキシング風の小気味よいAORブレンド・カントリー・ロックと言ったらいいのかな。な〜んだ、やっぱりこのジャケットがお似合いなんじゃぁない?(笑) 普段、英国系のくすんだフォーク・ロックばっかり聴いていると、こういう爽やかで能天気(?)な米国西海岸ロックは一服の清涼剤ですね。
意外にもサポートメンバーが華やか。ザ・バンドのリック・ダンコ、(故)ニッキー・ホプキンス、デビッド・サンボーン、ビル・チャンプリン等。アルバム全体に統一感があってすごく聴きやすく良い曲ばかりだけど、聴き流してしまう・・・というきらいあり。サウンドは素晴らしいけど、ラリー本人のヴォーカルにキレがないのが残念。ドライブのBGMには最高なんだけどなぁ。


  KEATS /"Same" [2005.09.01]
怖い!怖すぎるぅ!パイロットのところでちょっとだけ述べたKEATSというバンドであります。メンバーは結構豪華!。元ゾンビーズのコリン・ブランストーン(Vo.)元キャメルのピーター・バーデンス(key.)元パイロット&APPのイアン・ベーアンソン(gtr)とデイヴィッド・ペイトン(b.Vo.)そして元APPのスチュアート・エリオット(dms)。極めつけにプロデューサーはアラン・パーソンズと、なんかAPP 同窓会で懐かしい話で盛り上がり、勢いあまって引くに引けずついに結成してしまった同級生バンドみたい。(笑)
フォリナー、TOTO、REOスピードワゴンらのいわゆる産業ロックといわれるコマーシャルなバンドがもてはやされた80年代中ごろ彼らはこのアルバムを一枚のみを発表しました。胸ワクワクの期待いっぱいで聴いてみたのですが、まさにこの時代のサウンドそのものなのであります。特にキーボードの音は安っぽく古臭い。 そんな中キラリと光るメロディラインが目立ったのは、私のお気に入りであるD・ペイトンの作るメロディなのです。やっぱり彼のメロディラインというのは花があります。出来れば全曲がペイトンの作る曲であったのなら話は違ってくるハズなのだけれど・・・。 豪華メンバーという前評判が良くっても、実際に完成したアルバムはそれほどでもない!っていうことかな。
もうひとつ気になるのはあのC・ブランストーン、私は大好きなボーカリストなのですけど、このKEATSに限って云えば、なんかサウンドに対してボーカルが負けているというか、彼の歌声、歌唱法が全くバックのサウンドとミスマッチ!そう思うのは私だけでしょうかねぇ。 その一方で、やっぱりD・ペイトンとI・ベーアンソンのふたりパイロットは影響力が大きいというか、存在感がしっかり認められます。


  AL STEWART /"A Beach Full Of Shells" [2005.09.01]
アル・スチュワート2005年の作品は、気品溢れるノスタルジックなジャケットの「A Beach Full of Shells」というアルバムです。 ここ何年かまったくお目にかかれない状態で、音楽シーンから遠ざかっていたような感があったにもかかわらず、素晴らしい作品を引っさげて帰ってきました。実際「Last Days Of The Century」以降のアルバムは未体験の私にとって本当に久しぶりです。
さて、一通り押並べて聴いてみると、アル・スチュワートという方はな〜んも変わっていない!ということが判明しました。 まずはその声。とても60歳になるとは思えないし「Orange」の頃、いやそれ以前とまったく変わらない若々しい歌声は驚異です。アメリカをフィールドにしてもう長いのに、あのスコットランド訛りは一向に直らない(笑)し。次に、あのアコースティック・ギターの音色とカッティングも昔を彷彿とさせるし・・・。とにかく、このアルバムの第一印象というのは、びっくり!の連続。
1曲目の「The Immelman Turn」や4曲目の「Rain Barrel」にまずは注目。チェロの響きが中近東的で「The World Goes To Riyadh」風。 こういうスタイルが現在の彼の作風なのかな。 そして5曲目、「Somewhere In England 1915」が本作におけるハイライトでしょう。彼のアコースティックギターに乗せて淡々とボーカルが進行し、決して派手にならず淡い感じのオーケストレーションがバックに。次第に高揚していくエンディングには本作のプロデューサー兼アレンジャー、そしてギタリストでもあるローレンス・ジューバーの艶やかなギターソロ。まさにあの「Year of The Cat」をも想わせる構成がうれしいです。この曲は、おそらくアルの夢に出てきた情景がヒントになった曲なのでしょうか。1915年、英国のどこか・・・にて。
あの74年作「過去、現在、未来」以降、アメリカのヒットチャートを意識したポップ路線を歩み続けてきたわけですが(それはそれで評価します)本作においてはアレンジがことのほかシンプルであり、アルのアコースティック・ギターが全面的にフィーチャーされた作風は、英国風味がじわじわと滲み出てくるような懐かしさに溢れています。
最初に書きましたが、このアルバムって聴けば聴くほど、昔のアル・スチュワートそのものだなぁと実感してしまいます。もちろん根底にある英国人気質はずっと変わらなかったわけですけど、メジャーに躍り出た頃はポップスター扱いもされて昔の彼を知る者にとっては、何か違うよな!という一種の違和感を持っていたのも事実。しかし本作を聴いてみて一安心。今後もこのままのスタイル、そしていつまでも変わらぬその声で活動を続けてもらいたいですね。


  ENGLAND /"Garden Shed" [2005.08.30]
紙ジャケ&デジリマでリイシューされた本家本元アリスタ盤ENGLANDの「Garden Shed」です。韓国はSi-wan盤で入手済だったのですが、今回あまりにも美しいオリジナルを再現した紙ジャケに魅せられてしまい思わずゲット、またもや散財してしまいました。(秀逸なジャケット・デザインは英国の老舗ジャム・メーカー、Robertsonのオレンジ・マーマレード・ジャム「Golden Shed」のコンセプトをもじったとのこと)
ENGLANDのガーデンシェッドといえばプログレファンであれば必聴であるらしいのですが、私の場合残念ながらリアルタイムでは聴く機会に恵まれず、5年前に薦められて購入したのですが、「こりゃ、イエスとジェネシスを足して2で割っようなバンドだ!」 「妙に張りすぎたスネアドラムだなぁ・・・」とチェックを入れまくり(笑)。それほどみんなが騒ぐほど名盤ではないんじゃぁないの??・・・な〜んてね。
この5年程の間に私自身いろんなジャンルの洋楽を再認識させてもらったのだけれど、多くはネット上で知り合った洋楽(特にプログレ)好きな仲間たちのおかげです。6年前にサイトを立ち上げた頃、まだまだネット上では初心者であった自分をめくるめく洋楽世界に再度引き込んでくれた仲間たち。プログレ、トラッド、フィメールフォーク、ジャズロック等々・・・。まがりなりにも60年代後期〜(70年代を経験し)〜85年頃までと洋楽に親しんできて、一般的ないわゆるポップス愛好者よりもその先の深い森に足を踏み込んで聴いてきたと自負していたのだけれど、世の中にはもっと凄い人たちがいるんだなぁと、あらためてノックアウト。ENGLANDの「Garden Shed」のジャケットを眺めながらそんな感慨に浸ってしまっている今日この頃・・・。
さて本題に戻して、彼らの楽曲自体はアレンジが緻密だしクオリティも高い。メロトロンの洪水、泣きのギターフレーズと、プログレの王道を継承した正統派プログレ・バンドだったのも事実。時代はプログレ・ブームも下降気味(70年代後期)、パンクムーヴメントの台頭に対し真正面から挑んでいった彼らですが、デビューがもう少し早ければ息の長い活動も望めたと思えるのですけどね。
さて、 聴けば聴くほどジェネシス風のキーボードとイエスっぽいヴォーカルやメロディラインが目立つし、多くのプログレ先輩バンドからエッセンスを授かったはずでしょうが、どうしても「イエスとジェネシス」、このふたつの偉大なバンドからの影響大とみて間違いないでしょう。


  PILOT /"Two's A Crowd" [2005.08.26]
このコーナー開設以来9ヶ月ぶりのレビューでありますが、そのブランクを一気に埋めてしまう名盤の登場です。 パイロットというバンド名、そしてヒット曲である「Magic」はおそらく頭の片隅には存在したのだろうけど、いまひとつイメージがはっきりしない・・・そんな状態のまま、初CD化(しかも紙ジャケ!)ということで購入したのが本作「Two's A Crowd」です。 デヴィッド・ペイトン、ビリー・ライオールそしてスチュアート・トッシュの3人で結成したパイロットですが、どこかで聞いた名前だなと思っていたD・ペイトンという人は、初期のアラン・パーソンズ・プロジェクトでベースを弾いていたひとなんですねぇ。そしてあのベイ・シティ・ローラーズにも在籍していたとは!! 本作製作時にはふたりになってしまったパイロットのもうひとりのメンバーといったらあのイアン・ベーアンソン様(この方は充分に存じ上げておりましたよ。アラン・パーソンズ・プロジェクトではムーディーでメロディアスなギターの人です)!!いったい何ということでしょう。デヴィッド・ペイトンにしてもAPPではボーカルとったりしてますから、これは本当に久々に頭をガツンと殴られたようなものです。(ただ単にパイロットを知らなかっただけのことなんだけど)
本作「Two's A Crowd」は彼らの4作目でラストアルバムなのですが、権利の関係上CD化が難しかったらしく、メンバーのふたりも2002年には業を煮やして「Blue Yonder」(入手済)なる、本作のセルフカバーならぬセルフコピーまで発表してしまう・・・そのぐらいファンにとってもメンバーにとっても待ちに待った今回のCD化ということのようです。 とにかく評判どおりすべての曲がヒット曲!といえるほどのメロディアスで時代を感じさせない楽しいポップロック。ただ単なるポップスではなく英国の気品というか、センスが溢れる名盤なんじゃないかなぁ。イアンの流れるようなギターフレーズもペイトンのちょっぴり甘ずっぱいボーカルもあのAPPとおんなじだし・・・。ひさびさに興奮しまくりの一枚でした!。
その後はやっぱりデビューアルバム(現在はCDも廃盤らしく1st全曲と2ndのおいしいところの2in1がUS盤で出てます)を聴きたくなり、「Magic」を聴いたら、あっこの曲かぁ!と。当時のヒット曲なら知らないはずはないと思っていたのだがやっぱりね。
余談ですけど、このパイロット関連でAPPを聴いていくと本当に奥が深く興味が尽きない。パイロットのふたり、コリン・ブランストーン(元ゾンビーズ)、ピーター・バーデンス(元キャメル)そしてAPPのステュアート・エリオットらが結集し、A・パーソンズがプロデュースするKEATSなるバンドも存在したりしますので、こちらも要チェック。


  JOE WALSH /"The Smoker You Drink,The Player You Get"[2004.11.03]
ギター小僧ジョー・ウォルシュのソロ2作目。確かにジョー・ウォルシュはイーグルス加入を境としてその音楽性に若干の変化があったのは事実でしょう。イーグルス加入!と知った時、場違いなのじゃないかなと懸念もあったのですが、結果的にすんなりとバンドに溶け込んでうまくまとまっってしまったのは、方向性においてメンバー間での摺りあわせがうまくいったのかもしれません。彼らはそれだけ完璧なサウンド構築を考えていることの証明でもあります。 ウォルシュの加入によって、アレンジメント(特にギター)においてそれ以前のイーグルスに足りなかった音の厚みが増して結局はバンドとしての完成を見るに至るわけですが、勝手な分析をしてみると、今までジェームスギャングやバーンストーム、そしてソロとして活動し、最後に行き着いたイーグルス加入は必然だったのでは?と。まさに彼の音楽性を活かせるバンドがイーグルスだったのではないかと思うのです。
さて、イーグルス以降の彼のソロなんかを聴いてみても紛れもなくウェストコースト風ロックしているのだけれど、本作を聴く限りそんな爽やかさはあまり感じられないし、音色、アレンジ、作風共にちょっぴりダークでワイルドな面も現れていて、これが彼の本来の姿なのでは?と感じられなくもないです。彼の作風はどういうわけかブリティッシュ・ロックっぽいところが見え隠れするのは私だけでしょうか? イーグルスだってウェストコーストにて活動しながらも、結構陰影のある彫りの深いサウンドでしたので、そんなところにも意外な共通点があったのかもしれませんね。 この時代のジョー・ウォルシュはちょっと捉えどころが無いのですが、ある意味で無国籍的な風味が何故かそそられるのです。ウォルシュのギター(特にスライド)は言うまでもないですが、フルートとキーボードが花を添えているところもひとつのポイントでもあります。 ラテンロック風あり、ジャジーな雰囲気ありの、とっても楽しめるスルメのような一枚ですね。


  NICK DRAKE /"Made To Love Magic"[2004.10.30]
英国のシンガーソングライターでその類まれな才能を持ちながらも若くしてこの世を去ったニック・ドレイク。
別コーナーには彼のアルバムについてのレビューがありますが、ここで取り上げたのは2004年に新たに発売された彼の未発表音源集です。ニックの同級生でもあるアレンジャーのRobert Kirby/ロバート・カービー(ブリティッシュ・フォーク系のオーケストラ・アレンジメントの第一人者)の自宅の小屋に長年埋もれていた、奇跡的に完璧な保存状態でのデモテープが発見され、それを基にしてRobert Kirby、John Woodらによって蘇ったのが本作です。"Five Leaves Left"、"Bryter Layter"、そして"Pink Moon"これらの正規盤以外に未発表曲集は存在しましたが("Time of No Reply")、本作は心のこもった再編集作業によって新たに別バージョンというスタイルをとっています。
"Magic"や"Time Of No Reply"はまさに新たにオーケストレーションを被せ直し、また"River Man"においてはシンプルなギターの弾き語りでと、現在の録音編集技術を最大限に活かして生まれ変わった彼の作品がここには確かに存在します。それにしても彼の素朴なヴォーカルと切れ味鋭いギターの音色は30年という歳月を全く感じさせません。 まさに彼の大ファンにとっては狂喜乱舞の未発表テイク集ではあります。アルバム構成としては少々まとまりに欠けているような感も否めませんが、そんなことよりも少しでも彼のことが気になった方は是非とも本作を入手して、ライナーノーツ(英語ですが)を熟読して欲しいです。彼のずっと思い描いていた音楽の方向性がここでついに成就されたような・・・そんな想いを今しみじみと感じているのです。


  BAD FINGER /"Straight Up"                      [2004.10.29]
ビートルズの弟分、そして悲劇のバンド・・・そんなフレーズが真っ先に浮かんでしまう、バッド・フィンガー。"Day After Day"は本当に大好きな曲でした。また、アイヴィーズ時代の"Maybe Tomorrow"も心に残っている名曲です。恥ずかしながらアイヴィーズが改名してバッド・フィンガーとなったことなど、ずっと後になって知ることになるのですけれど。
あのアップルレコードでデビューし、ビートルズのバックアップ(特にジョージ)によって米国でも活動していたらしいのですが、プロモーターやらマネージメントやらのゴタゴタが引き金になってピート・ハムは自殺。後を追うようにトム・エヴァンスも自殺してしまいます。もはやバンドの継続は無理との状態でありながら、驚いたことに今でもジョーイ・モーランドがひとりバッド・フィンガーとして活動しているらしいです。
さて、本作の"Straight Up"はポールのヴォーカル・スタイル、ジョージ風ギター・リフなども手伝って、ほんとにビートルズ色が濃いアルバムに仕上がっています。(ジョージがプロデュースした曲も4曲あり) でもやっぱり"Day After Day"は最高です。ピアノはなんとレオン・ラッセルらしい! またそのB面だった"Sweet Tuesday Morning"も改めて聴くとほんとに良い曲です。このアルバムを購入したのがたしか5年ほど前。最近ラックから引っ張り出してきて聴き直してみて再認識した次第なのですが、ミディアムテンポのメロディラインに乗せて湿っぽい英国風味と哀愁が漂う、彼らの魅力がめいっぱい詰まった佳作であると言えるでしょう。ボーナス・トラックとしてオリジナル・バージョンが加えられていていますがトッド・ラングレン、ジョージ・ハリソンのプロデュースしたものと比較すると面白いですね。どちらも捨てがたいですが・・・。  


  ALDO NOVA /"Same"                                     [2004.10.27]
カナダ出身のプレーヤー、アルド・ノヴァのデビューアルバム。長年廃盤になっていたにもかかわらずデジリマ盤でリニューアル再発となったのには驚きでした。CDショップを探索していて突然こういうものに出くわすと本当に嬉しいものです。こういう発見があるから猟盤は楽しい!
時はMTV全盛の80年代。ヘリコプターから降り立ったロックスターはギターからレーザービームを放ちドアを蹴破り・・・。当時の洋楽ファンならこのシーンは目に焼きついているんじゃないかな。ディストーションの効いたレスポールにきらびやかなキーボード、ちょっと軽めのヴォーカルながらヘヴィーに歌いまくるアルド・ノヴァは、ギター、キーボード、ヴォーカル、作曲、アレンジメントをすべてひとりでこなしています。当時はASIA、ボン・ジョヴィ、REO SPEED WAGONとかちょっとヘヴィなポップ・ロックがもてはやされていたのですが、まさにそういうポップで親しみやすいメロディ・ラインが受け入れられたようです。そのボン・ジョヴィとアルドとは古いつき合いのようで、なるほど作風もどこか似たところがあってそういう観点から聴いてみるのも面白いです。
これが新人のデビュー盤か?と思わせる程充分に練り上げて作られた構成、そしてすべてがシングルヒットしてもよさそうな売れ筋の曲ばかりです。さすが全米でダブルプラチナを獲得しただけのことはありますね。わたしとしては唯一のバラッド曲である"Ball and Chain"が特にお気に入り。


  KENNY RANKIN /"Because of You"                       [2004.10.21]
米国のシンガーソングライター、ケニー・ランキンが1991年に発表したジャジーな雰囲気いっぱいのアルバム。74年にリリースされた"SILVER MORNING"で初めて彼の歌声に接したのですが、フォーク的な音作りの中にもクラッシック・ギターの音色とボサノバ風味のスタイルが醸し出す"SILVER MORNING"が当時はヘビー・ローテンションでありました。しかし残念ながら未だにCD化されていません。そんなケニーの幻のCDを探し回って発見したのが本作なのですが、"SILVER MORNING"に収録されていた曲も何曲かあり、迷わず購入したわけです。
人間味溢れる優しい歌声、都会的なフィーリング、ジャジーな感覚・・・そう、当時ソフト&メローなんて言葉もはやりましたが、あのマイケル・フランクス、ボズ・スキャッグス、ボビー・コールドウェル等によっていわゆるAORが流行した時期があり、ケニーは彼らに先駆けて自分の音楽スタイルを確立したシンガーといえるでしょう。
彼は自作曲もさることながら、有名どころをカバーした曲(たとえばビートルズ、G・ライトフット、イーグルス等)、それも彼なりの方法で自分の歌にしているところがユニークであると感じます。本作においてもガーシュインやらセロニアス・モンク(ジャズ・ピアニスト)やらの曲をとりあげていますが、一流のジャズ・ミュージシャンをバックに彼の歌声も円熟味を増しており、また非常にクリアなレコーディングもあって魅力的な一枚となっています。これは1989年に出現したチェスキー・レーベルという驚異的な音質によるところも大きいとのことです。 なるほどヘッドフォンで聴いてみると口の動きや息使いがリアルに感じ取ることが出来るほどの高音質です。


  RENAISSANCE ILLUSION /"Through The Fire"             [2004.10.21]
ヤードバーズ脱退後、キース・レルフと共に初代ルネッサンスを立ち上げたジム・マッカーティ。そしてその初代ルネッサンスを離れた後に彼の呼びかけに応じて結成された"ILLUSION"というユニットはそこそこの評判だったのですが、アルバムセールスはそれほどでもなかったようです。当時の自分は初代ルネッサンスのアルバムこそ所有はしていたものの、この"ILLUSION"についてはまったくのノーマーク。やはりリアルタイムで聴くべきだったバンドであると今更ながら後悔しているのです。(1stと2ndのカップリングアルバムを4年ほど前に入手しましたが)ジェーン・レルフのたおやかな美声はアニー・ハズラムのそれとはまた別の意味において感動を与えてくれたものでした。
そんなジム・マッカーティーが再度昔の仲間を集め、今度は"RENAISSANCE ILLUSION"というバンド名にて再結成したのが本作"Through The Fire"です。まぁ何とも安易なバンド名ではありませんか(笑)。どうしてもルネッサンス、そしてイリュージョンという呼称に想い入れがあるのでしょうね。しかしながら本作、どうしてどうして決して侮れません。初代オリジナルルネッサンスのメンバーであったジェーン・レルフ、ジョン・ホーケン、ルイス・センナモを中心にジムの仲間をサポートに加えて彼の今までの音楽人生の集大成であるかのような、とてつもなく素敵なアルバムを作ってしまいました。 "ILLUSION"的サウンドを継承しながらも、歳と共に味わい深くなったジムのボーカルをメインに、昔ながらのジェーンのバッキングがさりげなく顔を出すというスタイルです。個人的にはもう少しジェーンをフィーチャーしてくれれば良かったのにと思う反面、ジムの渋い歌声の魅力が存分に発揮されていて、また、ジョン・ホーケンの相変わらず優しく穏やかなピアノが聴こえてくるだけでも、充分に満足できるアルバムに仕上がっています。それにしても彼らの作り上げる音楽ってなんと優しくそして穏やかなのでしょう。わかる人にはわかる、まさにオトナのロック。特に"Good Heart"、"Glorious One"がお気に入り。


  AL STEWART /"Orange"                                  [2004.10.19]
キーフのジャケット第二弾は、名盤と評価されるアル・スチュアートの"ORANGE"。初めて聴いた彼のアルバムは初期の素朴なフォーク時代(確か「過去、現在、未来」あたりまでの)のベスト・アルバムでした。その中に収録されていた"Once an Orange,Always an Orange"という壮絶なアコースティック・ギターのインスト曲が印象に残っていたのですが、その時点において本作を聴いていればなぁと悔やむことしきり、しかしながら2000年にCDリイシューされた時にやっと長年の想いを叶えることができたのです。
彼は"Year Of The cat"によって米国でも大ブレークしましたが、それ以前は英国を本拠地とし素朴なフォーク路線を歩んできており、本作はその時代の彼の最初のピークを迎えたアルバムといってよいでしょう。 バッキングにはリック・ウェイクマンのピアノやオルガン(特に"The News From Spain"や"Songs Out Of Clay")、そして"Quiver"のティム・レンウィックのギターが花を添えていて完成度もトップクラスでしょう。
さて、アルは本作発表前には恋人との別れという辛い時期が訪れていたらしく、歌詞の内容にも本人の恋愛事情らしきものが頻繁に現れます。その想いを引きずりながらも、やっと実際に歌で表現出来るようになったことによって自分を発見し、新たな出発を図ろうとしたようです。なるほど本作以後はその赤裸々な愛を語った「私小説」的歌詞は影を潜め、作風もずいぶんと変わりました。ただ、あまりにも大ブレークしすぎた彼より、本作を境としてそれ以前の作風に固執してしまいがちな昔ながらのファンがいることは否定できない事実ではありますけどね。 アルバム全体的には彼の今までの私生活に一線を画す強い意志が感じ取れるようなインパクトのある一枚でしょう。当時のフォーク・ロックの名盤としてお宝間違いなし!


  SPRING /"Same"                                          [2004.10.19]
キーフのジャケット、そしてトリプル・メロトロンで、ファンの間では有名な"SPRING"。5年ほど前にある方のご厚意によりカセット音源を聴く機会があり、それが初体験であったのですが、一曲目の"The Prisoner"がすごく印象的であったことを覚えています。やっぱり私はメロトロンの音色が気になるんだなぁ。
ライナーノーツにも書いてある通り、メロトロンを使用するバンドって、ほとんどがシンフォニック的なサウンドが多い中、本作はそのメロトロンの音色に起因するのか、それほどシンフォニック的ではありません。どちらかというと英国の湿っぽさそして牧歌的で素朴な作風で表現されているのが特徴のようです。敢えてこのような雰囲気を醸し出しているとするならば、この"SPRING"というバンド、恐るべし!です。前述のグリーンスレイドのようなきらびやかで軽めの音色と比較すると、こちらのほうは霧に包まれた深い森とか、朝もやに包まれた英国の片田舎を想起させるようなしっとりとした感じ。そしてしっかりと心を捉えて離さない叙情的で流麗なメロディライン。 こういうのは私の好みですね。難を言うならば、少しばかりボーカル面で弱さがありますけど、マイナスポイントになるまでには至らないです。メロトロンを含むキーボード群、アコースティック&エレクトリック・ギターとリズム隊、それらのしっかりとしたトータルバランスが完成度を高めているのではないでしょうか。
CDとしては3度目の再発であるAKARMA盤(2004年)は、オリジナルの3面見開きジャケットを再現したペーパー・スリーブです。70年代の秀逸なジャケット・ワーク、それだけでも持つ価値があるのかもしれません。本作は、何度聴いても決して飽きの来ない胸ワクワクのメロトロンアルバム。


  GREENSLADE /"Bedside Manners Are Extra "                 [2004.10.18]
ツイン・キーボードが売りのプログレバンド、グリーンスレイドの2枚目。一方のキーボード奏者であるデイヴ・ローソンは後にあのスタックリッジの"Mr.Mick"製作時に加入し、メロトロンをフィーチャーした作風に貢献しました。 そんな理由もあって1stを聴いてみましたが、なるほどそれぞれのプレイは完璧でそれなりに聴かせ所を持ったバンドだなと思ったものでしたが、私の求める音の傾向にはなく今ではCDラックに眠ったままであります。そんな中、2ndの本作が紙ジャケにて再発されたわけで、しかも彼らの最高傑作!と評価されているらしいと聞くや、やっぱり自分で確かめたくなるのが本音というもので、恥ずかしながら中古盤で購入しました。
あぁ、でもやっぱり結論は残念ながら1stと同じなのです。私の求めるメロディアスなライン、そして英国ロックの湿っぽさみたいな風味はなく意外と無機質な感じ。(キーボードの音色に関係しているのかな?)ボーカルでさえ魅力を感じるところもなく、所詮はギターレス&ツインキーボードだけが特徴のバンド。メジャーになりきれない原因はこんなところにあるのではないかなぁと。
E,L&Pのような意外性とボーカルの上手さ。クリムゾンのような重厚さと奥深さ、フロイドの持つある種のポップ性、YESの正確無比なリズムと洗練された音楽性。そのどれにも当てはまらないような、ちょっと中途半端な音作りが満足いかない理由なのでしょうか?こんなにこき下ろすとファンの方には申し訳ないのだけれど、あいにくこの私の感性には合わないのだからしょうがないのです。(彼らの最高傑作!という表現には深い意味があったのかどうかはわかりませんけど・・・) ただ、しいて言えば2曲目の"Pilgrims Progress"は出来がよくお奨めかな。


  BILLY JOEL /"2000 Years The Millennium Concert"     [2004.10.17]
誰でも知ってるビリー・ジョエルが1999年の大晦日にNYのマジソンスクエアガーデンで行ったライブを収録したアルバム。ビリー・ジョエルはスタジオ録音よりも断然ライブ!・・・そんな印象をずっと持っていたのですが、まさにそれが実感できるアルバムなのです。今頃ミレニアムなんてちょっとミスマッチではありますが本作をショップで発見したのが2004年の春頃。こんなものが発売されていたとは知らなかったし、収録曲はヒット曲ばかりとあれば買わずにいられないですよね。
ビリー・ジョエルのLPを初めて購入したのは"The Stranger"。自分にとっては"An Innocent Man" のライブ映像がすごくカッコ良くて衝撃的でしたが、ピアノマンでシンガーソングライターにすぎなかった天才ミュージシャンはその後押しも押されぬスーパースター、いやガッツ溢れるロッカーとして活躍を続け現在に至るわけです。
そんな彼がミレニアム記念に行ったこのライブ、いきなりユージン・オーマンディ指揮のフィラデルフィア管弦楽団とコーラス隊の"第九"で迎えるオープニングは期待感いっぱいで気分も盛り上がります。"Big Shot"〜"Movin' Out"、続くどの曲も力強く心に響く演奏ばかり。2000年を迎えるカウントダウン後には"Auld Lang Syne"(蛍の光)が・・・。いやぁ憎い演出です。エンディングには"This Night"、これはまさにふさわしい曲だし、私にとっても大好きな曲です。2枚組ではありますが、2枚通して一気に聴いてしまえる選曲の絶妙さと確かな演奏。ミレニアム云々に関係なしにただただビリーのステージをめいっぱい楽しむことが出来る一枚でしょう。 それにしても彼の歌声、歳を全く感じさせないですね。顔はそれなりに老けましたが声だけ聴いていると70年代そのままです。これは本当に驚き!!


  CURVED AIR /"Air Cut"                                  [2004.10.10]
ついに出ました!!長い間待ち焦がれていたエアカットが。(それもなんと紙ジャケで)。当時私はLP盤を所有してましたが他のLP盤同様残念ながら処分してしまったものですから音源としてはカセットとMD(それもネット上のお知り合いにわけていただいたもの)しかなかったのでした。自分が是非ともCD化を願っていたアルバムは今までにほとんどと言っていい程見事に再発されたきたのですが、何故かこのエアカットは版権の問題やら何やらでずーっとお蔵入りしていたわけです。エディ・ジョブソンが活躍する"Metamorphosis"が超名曲であるのは間違いない事実ではあっても、はっきり言ってアルバム全体の出来については個人的にはそれほどお気に入りだったというわけではありませんでした。それでも依然としてCD化されないということが結局は幻のアルバムという形で待望されてより一層想いが募っていたのかもしれません。
ファーストアルバムを初めて聴いた時の衝撃は今でも忘れられません。 ダリル・ウェイ、フランシス・モンクマン、そしてソーニャ・クリスティーナ、この3人の織り成すちょっとサイケで不思議な雰囲気を持った初期のカーヴド・エアは一言で言えばまとまりに欠けるというか、ちょっと得体の知れないところが魅力のひとつでした。 そんな彼らの4作目である(3作発表後一時活動休止をしていたらしい)本作はオリジナルメンバーはソーニャただ一人。超絶バイオリンのダリルに代わって若干17歳のエディ・ジョブスンがキーボードも兼ねて加入。はっきり言ってダリルと互角の勝負ですねぇ、これは。妖艶なソーニャお姉さまにも惑わされず、天才美少年は素晴らしいバイオリン&キーボードを披露してくれています。個人的には1曲目の"The Purple Speed Qeen"はあまり好きではないですね。"Elfin boy"そして"Metamorphosis"、"Armin"あたりがツボかなぁ。ライブにおけるシャウト気味のソーニャのボーカルスタイルはあまり好きではないのですが、ここではあくまでもソフトに抑えた美声が雰囲気を醸し出しているようです。
さて、サウンドについてですが、デジタルリマスターされているので結構出来は良いです。紙ジャケの状態はというと、LP盤の紙質はもっと光沢のある印刷だったと記憶してますが、少々ざらついた感じ。インナーの歌詞カードの表紙の印刷は上下に少しばかりずれていてちょっと手抜き状態。正直言って、ユニバーサルやワーナーの作りに比較するとおそまつかな。(なんとか探検隊のようなコメントだ!)
今この文章を書いている時点で、ショップの在庫も少なく買うなら今!しかないとの情報です。プラジャケも出てなく、限定の紙ジャケですからそういう意味においてもぜひ入手されたほうがいいと思うなぁ。


  EARTH & FIRE /"Song of The Marching Children"        [2004.10.10]
アース&ファイアといえばオランダのロックバンドで、ヒット曲"シーズン"(それも日本のみ)しか認識のなかった私は、彼らがプログレバンドだったとは思いもよらない大発見でありました。今でもあの"シーズン"は口ずさめるほど好きだった曲だし、サウンドもいわゆる普通のポップスとは趣を異にした雰囲気を持った曲でありました。今になってよーく考えてみるとなるほどと理解できるようです。さて、そんなアース&ファイアの2作目、一部のファンの間では"アムステルダムの少年兵"が超有名で、また曲本来の出来も素晴らしいと評判だったようです。実際、プログレには欠かせないキーボード群のアレンジ(特にメロトロン)が効果的ではずせないバンドのようです。メロトロンって、結局はアナログのサンプリングマシンなのでありますが、そのアナログゆえの音の不安定さが何故かとっても魅力なんですね。それと、同じオランダ出身のショッキング・ブルーもそうですが、メインが女性ボーカルであるのもひとつのツボであると言えるでしょう。当時のオランダでは女性ボーカルのバンドが流行ったのでしょうか?
とにかく、アナログではB面すべてを使ったハイライトの"Song of The Marching Children / アムステルダムの少年兵"が出色の出来。メロトロン使いのうまさもあってなかなか聴かせてくれます。ただしちょっとだけ大仰すぎるかな。"Storm and Thunder"もわたしのお気に入り。荘厳なオルガンの響きと繊細なメロトロンをバックにけだるいボーカルが充分にプログレしてるし。"In The Mountains"での泣きのギターはフォーカスっぽくてとっても印象的であります。こうなると、次作の"ATLANTIS"も聴いてみたくなるなぁ。本作以上にメロトロンの洪水だそうですから・・・。


  FIRE /"The Magic Shoemaker" [2004.10.01]
ストローブス在籍以前のデイブ・ランバートが若き日に結成した"FIRE"のコンセプトアルバム。 ある情報によればこの原盤はとってもレアなアイテムらしいです。オリジナル発表は1970年、そして2002年に待望のCD化ということらしいです。ライナーノーツを見てみると1966年、D・ランバートが"FIRE"結成以前の"FRIDAY'S CHYLD"というバンドのメンバーはみなマッシュルームカット!。まさにバブルガム・ミュージックとかが全盛の時代に製作されたアルバムで、サウンドもルックスも充分にその時代を感じさせてくれます。なにはともあれこのアルバムはタイトルの"The Magic Shoemaker"という寓話をもとに、D・ランバートが子供たちに物話を聞かせるかたちで、ナレーションをはさみながら曲が進行するというコンセプトアルバムになっています。(わたし個人としてはナレーションはちょっと邪魔かなぁなんて感じるのだけれど・・・。)
D・ランバートが勢いよくシャウトする"Tell You A Story"、ちょっとキンクスっぽい"Magic Shoes"はサイケなギターがからんできたりと結構バラエティに富んだ編成になっています。ギターリフとメロディラインは後のストローブスのメンバーになる彼の原点がここで見え隠れするわけで結構楽しかったりします。特に9曲目の"Shoemaker"という曲はシンプルな構成ながら充分にロッカバラッドしてるしアコギのソロなどの聴かせ処もあってアルバムのハイライトになっています。また"Happy Man Am I"ではデイブ・カズンズのバンジョーをバックにD・ランバートが歌っているなんて、なんとも感慨深いものです。アルバム製作にはそのデイブ・カズンズやポール・ブレットも関わったとのことですから、本作はその後の彼の活動における出発点であったと考えられます。そういう背景を思い描きながらがアルバムを聴いてみるのも楽しいものですけどね。
最後に一言、アルバムジャケットは渋くてなかなかのもの。ジャケットと中身は比例するとよくいわれているけれど・・・。さて本作の評価は?というと、あのストローブスのD・ランバートとの作品という想い入れから、どうやっても冷静な判断が出来ないのですよ。
(C) Copyright Gianluca-toshi 2000-2008


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