2003.11.26より
NO.10:有頂天 『SEARCH FOR 1/3 BOIL』 |
1.心の旅 8.FINE 2.ドウブツ達の空 9.ホワイトソング 3.ト・モ・グ・イ 10.KARADA 4.一週間 11.MEANING OF LOVE 5.七色シャックリ 12.BECAUSE 6.べにくじら 13.千の病を持つ男 7.ベジタブル 14.愛のまるやけ |
“有頂天”は80年代を中心に活躍したニューウェイヴ・ポップバンドで、ボーカル・ケラの「ロック嫌い」「テクノ好き」が』色濃く出ていたバンドでした。活動年代によってその音楽性は変わり、メジャ―デビューする86年前まではシリアスで演劇的要素も強く、テクノ・ポップを主体とした暗い音楽性であったものでしたが、次第にロックバンド的なタテノリ感を出すようになっていったのです。それはインディーズ界の異常な熱狂に祭り上げられて、当時の主流だったハードロック・バンド等と一緒にライブをすることが増えてきたことにもよりますが、あんまりにもアングラに進んでいくことの難しさを、ケラ自信が感じていたのかもしれません。“有頂天”は常にメディアを使った多用な活動を続けていきましたが、音楽性の限界を感じて91年に解散、ケラはその後、渋谷系バンドを作ったり、再び打ち込みバンドで活動したり、他にも劇団活動を中心とした活動を90年代は主にしています。そして映画『1980』の脚本・監督として今年は活動、やはり彼にとって「80年代」は特別な時代であるようです。彼のみならず、80年代の熱に浮かされたようなバンドマン達全員にとって、やはりあの時代は特別だったのでしょうね。 それで曲の方です。これは88年発売のライブ盤で、コンセプトアルバムの「SEARCH FORシリーズ」の第1段です。“有頂天”の本来の楽曲、つまりはスタジオ盤はケラの音楽性の母体であるキーボードや打ち込みのプログラミング音楽が主体になってくるんですが、この盤はどちらかというとツイン・ギターが前面に出た、パンク・ロックな疾走感を体現しています。要するに、カッコいい、と。ボクの中では、“有頂天”のベスト盤だったりします。実際、収められている音楽はどれもインディーズ時代からの定番曲ばかりで、結局今日にいたるまでベスト盤が出ていない“有頂天”にとってはこれ以上の選曲は無いかと。 「心の旅」はあの財津和夫率いる“チューリップ”の曲、「♪あ〜 だから今夜だけは〜♪」ってヤツです。このライブではよりパンキッシュなアレンジ、「♪アイヤイヤイヤイ だから今夜だけはー 君を抱いていたいー!」とケラも絶叫。フォークのカバーと言えば、誰かは忘れましたが“海援隊”の「贈る言葉」をやたら激しく歌っているバンドもいましたが、どうなんですかね、アレは。曲によるんでしょうかねぇ。ボクはこのアレンジは大好きです。他には、ケラがソロとして歌ってた曲もあったりしまして。お気に入りはハードな演奏の「ドウブツ達の空」、切ない歌詞が好きな「FINE」、同様に切ない歌い方が胸に迫ってくる「ホワイトソング」といったところ。「MEANING OF LOVE」「千の病を持つ男」といったナンバーも歌詞が大好きですねぇ。普通のラブソングを歌っても、それが単純には終わらず、妙にひねくれた歌詞になってしまうのがケラの特徴。『泣かせる』大作「愛のまるやけ」の歌詞、アドリブで歌えるのか、と思う朗読のシーン等もライブならではの迫力と疾走感がボクはとても大好きなんですよねぇ。 ちなみに、ボクは12月に発行予定の文芸部での冊子に、この中にある「ホワイトソング」を題材にして小説を書いたんですねぇ。いや、実は題材とか言って、歌詞のイメージを少々もらっただけで、全体的な歌詞内容とはそんなに似てないんですけどねぇ。同様に作中で使った「FINE」も、ラブソングとして大好きですけども、そんなにマジメな恋愛を歌った曲じゃないもので。ただ歌詞は引用しております。だからヘタしたら公の場所では使えないんだよなぁ、あの小説。どっちにしても、このサイトで公開したらみんな読んでみてくださいねぇ。 このCDを出した後、“有頂天”はよりボーダーレスな活動をするために一度インディーズの世界へと戻っていきます。この盤は“有頂天”の入門編としては最も適当だと思います。やっぱり、こういったパンキッシュな音楽が一般には受け入れやすいものなんじゃないのかなぁ。これでこのバンドの音楽性に慣れたら、“有頂天”『AISSLE』、もしくはケラ・ソロのアルバムでシンセサイザー中心の彼の音楽を聞いてみてくださいな。しっかし、本当に最近はこのアルバムばかり聴いてます。そこで思ったのが、やっぱりボクはラブソングが大好きだってことです。やっぱいいわ、恋は。 “♪どこにも行かないで、いつでもそばにいて………♪(ホワイトソング)” |