2004.10.3より



NO.21:すきすきスゥイッチ 『忘れてもいいよ 1979〜1982』
        
1.はじまり
12.水道管
18.おみやげ
他多数
 矢継ぎ早の21回目、そして21回目にして曲順も何もわからんCDになります。“すきすきスゥイッチ”、70年代から80年代にかけて活躍(?)したちょっとテクノの入ったポップ・ロック・バンドであります。もうなにがスゴイって、この音楽を聴いてボクはそのポップさにやられた、いや、『ポップ』というものを知ったのですな。言葉や理屈じゃなくて、肌で。『水道管』って曲はこんな歌詞です。
  ♪ボクと君と ボクと君とを結ぶ水道管 泳いでいくから 今夜台所で待ってて♪
 てなもんです。ビビッと来てしまった。「ああ、そうなんだ」と急にわかってしまったような、そんな気持ちになってしまったのです。これには驚いた。あの“カーネーション”の直枝政太郎も絶賛した『おみやげ』という曲にいたってはこうです。
  ♪君のおみやげは何かな 君のおみやげは何かな
                          わからないことがないことがなかった♪
 オウッ! と思ってしまいましたよ、この言葉。ところで、大槻ケンヂのエッセイの中でとうじ魔とうじ氏がある曲を聴いて「これは素晴しい歌詞だ!」と思ったそうですが、後で聞いてみると「素晴しい」と思っていた歌詞は氏の聞き間違いであったというのです。しかし、その本当の歌詞を聴いてまた逆に氏は感動したそうな。どっちがいい、じゃなくて、そうした「勘違い」という経験まで含めて、その歌詞に心動かされた、というわけなのだ。だからどっちの歌詞もいい、と。
 んで何が言いたいか、というと、ボクもこの『おみやげ』という曲の歌詞を間違って覚えていたのですな。歌詞っつったって、前述の2行を1分少々ループするだけだけど。ボクは「わからないことがないことがなかった」を「わからないことがないことがわかった」と勘違いしていたんですね。でもね、そうして間違いの歌詞を読んでみても、おおっ? と来ません? わからないことがないことがない、ってことと、わからないことがないことがわかる、ってこと。どっちもピタリとハマって、そして考えさせられて、ああ、これはポップだなぁ、切ないなぁ、と一人新宿のマンガ喫茶で唸っていたことを思い出させます。いや、東京での3ヶ月間は精神的や仕事がどうのこうの、というよりもこうした素晴しい音楽と出会える環境にいれたってことで万事オーケーなんだろうか。いや、今ならそれでオーケーにしてもいいだろうね。買おうと思ってもロクに売ってないので、聞いてみたいヤツは今すぐ神田神保町にある「ジャニス」ってレンタルショップにGO! だ! なんと返却に郵便局を利用してもいい、という便利なのか単に高くつくだけなのかわからんサービスもタップリだ。
 80年代ニューウェーブはやはりボクの琴線にズシリと響くんですね。あ〜、ボクも音楽探求のためだけにまた東京に出たいなぁ。