2004.10.20より



NO.22:D−DAY 『ALL LEAVES 1983〜1987』
        
1.DEAD END               10.Peaches
2.MEMORY                 11.Night Shift
3.DUST                    12.CITRON
4.KI・RA・I                  13.わたしの昼と夜
5.So That Night             14.STALGIA
6.Vale of Promises           15.Sweet Sultan
7.Float a Boat              16.僕には特別なクリスマス
8.Yacht Harbour             17.ジェリー・ビーンズ
9.失くした遊園地               18.Midnight Hour
 というわけでまたしても一月の間が開きました。魅惑のミュージック、今回は「インディーズ界の南野陽子」という時代にリンクしすぎてもう使えない言葉を貰っていた川喜多美子率いる“D−DAY”です。今回ジャケットがどこ探しても見つかんなかったんで、急遽手書きです。でも、こんなの結構見ない? CD屋とかでさぁ。
 それはどうでもよくて、そんでこの“D−DAY”もある程度の評価を集めた段階で東京でレンタルしてきて聞いてみたのですな。そしたら驚いた驚いた。まず一発目の『DEAD END』のカッコよさ! あまりにクール! 歌詞カードを見てみると川喜多美子嬢はボーカル&ベースであるらしい。素晴しい、ボクの考える「ベースを弾くカッコいい女性」のイメージにピタリと合うんですよ。例えれば「毒気を完全に抜いて換わりに可憐さを精一杯に詰め込んだ椎名林檎」と言ったところでしょうか。単なる歌謡曲テイストではなく、ロック的なクールさを持っているけど、そこにヘンにネジくれたものはなく、繊細さと硬さが同居したようなこのスタイルにボクは一発でイカれたのでした。4曲目の『KI・RA・I』はミュージックの上に延々と「彼氏と彼女」の会話がコラージュされていて、すわニューウェーブなのか? と思ってしまいました。
 んが、このアルバムはベストアルバムなので聴いていくと段々とバンドの曲変遷というのがわかってくるのですが……クールで繊細だった曲は次第にポップに、というかそのまんま「ヘタウマ・ポップ系」になっていく。どの曲も同じ感じだ。もはやロック的な攻撃性を持った椎名林檎の面影は無い。しかし、これまた別にどこかで聞いたことがあるような気がする音楽なのだ。このアイドル的なポップスとはまた違う、でもロック的な泥臭さはない……はて、これは……あっ、そうだ渋谷系だ。あの計算したかのような軽さ、歌謡曲ではなく、シンガーソングライターのポップさだったのだ。つまり早すぎたカヒミ・カリィってことかっ!? 曲を聴いてたら見事に納得してしまった。ハードコア・シーン真っ只中の80年代中盤ライブハウスでウィスパーボイスを響かせるバンドがあったとは。驚嘆の限りである。ボクはカヒミ・カリィが歌ってるところを見たことが無い(それ以前に顔もよく知らないし…)が、当時の川喜多美子の衣装は白ワンピースに白ドレスときているから、明らかに早すぎた。ライジング系が出ている昨今ならば受け入れられるが、さすがに泥臭さ全開の80年代では浮きまくってしょうがない。実際パンクバンドのファンにブーイングを受けることもしばしばあったらしい。てことはやっぱりニューウェーブ・バンドだったのかなぁ? 80年代後半で活動休止している“D−DAY”、オムニバスに参加するときも“少年ナイフ”とか“HYSTERICS”、“サボテン”などと活動、他にも野宮真貴とも活動してたりして、やはりそういう方面ではパイオニアなんでしょうねぇ。
 そんなボクにとって「クールでカッコいい」部分と「ポップでキュート」な部分を併せ持つ“D−DAY”、今ではCD音源がこのベスト盤ぐらいしかないので、なかなか聴けなかったりします。他にあったら教えて欲しいくらいですよ。アスピリンレコードからのオムニバス『くっついて安心』が異常に欲しい。LP盤だけど。ジャケットに一目でビビッときちまった。誰か持ってたらダビングしてくれ! ボクと同じ音楽的嗜好を持っているならサーチ・アンド・マスト・バイなのだ。ってジャケット書いてないからわかんないってな。


 追記:ジャケットがこれ、“サザン・オールスターズ”の『すいか』並に大きい箱なのだ。そんで16曲目、「僕には特別なクリスマス」。ボクはもうクリスマスにはこの曲エンドレスで流します。そんだけ耳にいいってこと。