2003.10.28より



NO.23:スーパーミルク 『ライブ・エレキダンス 1979〜1980』
        
1.さようなら             7.偏執狂のカメレオン
2.99%                8.ゴキブリ天国
3.白い光               9.お上手
4.おとな(パンクに説法)     10.からっぽ
5.自由の幻想           11.I Love You,Neon Lights
6.アトム・エイジ          12.ESP Love
                     13.コインロッカーの中で
 「片手にニコチン、心はマシーン、唇にコーラ、背骨は湾曲」
 このニューウェーブを表した一文に見事にマイってしまった“スーパーミルク”。コレ知ってるヤツって珍しいんじゃない? ボクもまともには知りません。でも音そのものは完全なエレキ・テクノ・パンク。ガチャガチャ唸るギターとメロディラインなんか無視するシンセサイザー、んでボーカルは黙って聴けばいい歌詞なのをひっくり返った声で絶叫、とボクが考えていた「テクノ・パンク」の心意気を完璧に体現しているバンドなのですよ。激動の第2次パンク・ハードコア期にごく普通の服装、そしてニューウェーブという肩身の狭くなるスタイルで果敢に(本人たちの自覚は皆無)挑んでいった“スーパーミルク”、ライブ導入時から始まる第1曲目の時点でそれが表れてます。ライブの初っ端から大ブーイング! それをアッサリ受け流して始まる曲はこれまた名曲! ブックレットにあるインタビューでメンバー全員が「特に気にしてなかったけど」「ブーイングがあって『おお、これはスゴイぞ』と思ったけど、別に乱入してくるでもなかたし」など呑気&芯の太い発言をしまくっているのもスゴイ。朴訥とした面構え揃いなのに、いざライブをやるとしっちゃかめっちゃかになる“非常階段”のように、鋲だらけの革ジャンに天まで立てたモヒカン刈りのパンクスよりも、こういう「外見どうでもない」ような連中こそが、イザというときのパフォーマンスもデカイし、何考えてるかわからずおっかないのであります。
 後期になってくると女性ボーカルを据えてややアイドル的ポップスに傾倒していく“スーパーミルク”、しかしその本質は『偏執狂のカメレオン』や『ゴキブリ天国』などのネジくれた感性にあると言っていいでしょう、多分! 「♪それでお前が満足するなら それでお前が幸せならば♪」と歌う『さようなら』はメンバーの殆どが好きな曲と答えるほどの名曲だし、寄席の口上みたいな気の抜けるMCをとっても、やはり80年代ニューウェーブ・シーンは今のストレートな音楽シーンには無いものを訴えかけてくれるのです。重要なのは、やってる本人たちにそんな自覚が無いこと。『自覚ある訴え』は“ブルーハーツ”で充分じゃあないですか。
 そんなわけで、このCD最近になって復刻してきたものなので、探せばCDショップに置いてるかも……う〜ん、見たことないね。気になる人は「いぬん堂」のホームページをチェックだ! 最近再びCDコレクター熱が再燃してきたやすけんです。同じいぬん堂で“ラビッツ”のCDが欲しいが、どうしたもんか。あ、ちなみにこの商品、2000円で売ってたら「買い」ですよ! テクノ・パンクに興味がある人は探してでも聴きましょう。東京なら多分あるんじゃないかなぁ。