『僕がはじめてエロ本を買った日』 安田献辞
AV指南
一三歳の頃に、初めてAVを見た。
裸のネーちゃんと、裸の男(筋肉がっしりの若モンから単なる中年まで)が色々出てきて色々ヤる、という若人必須のアイテムである。
男女のエッチ写真であれば、もっと以前に見たことはあるのだが、さすがに動画、声入りは初めて。不詳、このやすけん、興奮よりもまず感動したモンである。こ、これが女体の神秘というヤツか! と阿呆のような感想をテレビの前で正座しながら持ったわけであるが、男子諸君であれば、生まれて初めて見るおなごのくんずほぐれつな姿から喚起されるガツーン! という衝撃を御理解していただけるだろう。
ちなみに、男同士のカラミ(モザイク無しのガチンコ!)を初めて見たのもこの頃であった。衝撃であった。違う意味で。
友人のつてでコレクションを揃えていった自分。当然、行き着く先は『裏ビデオ』である。画質はバカみたいに悪いが、さすがに裏、ごまかすようなモザイクなど無く、再び僕の脳みそは衝撃にグラついたのであった。
まあ、今は見てないので知らないが、当時の裏モノは正規のルートで販売しているソフトを再編集したものであった。したがって、出ている女優の世代が少々昔のものとなる……。そして、僕が見ていた九〇年代前半に流通していた裏ビデオには、明らかに「八〇年代の美人です」という方々がグワーッと映っていたのである。なんといっても、髪型があの頃の松田聖子だ。いかに無修正とは言え、やるせない雰囲気が充満して仕方がなかった。
外国人が出る、いわゆる『洋モノ』も同じ時期に見てみた。中坊時代の僕は、「やはり日本人よりも外人の方がイチモツがデカイんではないだろうか!?」というしょうもない考えを持っていて、妙な意味で興奮しながらビデオをセットしたものである。
まあ、この議題は「……わっかんねぇよ」という結果に終わったのだが、それ以上に、僕は洋モノに付いていけなかった。当たり前の話、字幕なんてある筈無いんだから、セリフと場面展開がわかりゃしないのだ。気が付いたら始まっている濡れ場。男も女もノリノリだ。だが、辛うじて聞き取れるのは男の「オウ、イエ〜!」というセリフのみ! そりゃ、アホらしくて止めますよ。
こんな感じで、僕は中学一年の半分ほどをAV研究に費やした。新作・注目作を紹介してくれるビデオ雑誌も買った。投稿系写真雑誌も買った(関係ねーだろ)。今は懐かしき『ギルガメッシュ・ナイト』で飯島愛がブレイクしていくのを見て、「そんなにいい女優だったろうか?」と首を捻ったりもした。まったく、不登校と並行して、こんなことをやっていたのである。親が聞いたら怒る前に情けなくて脱力することうけあいである。
しかし僕も、興味が薄れたのと、さすがにこのままでは高校浪人になってしまう、という危機感を持って、AV関係から足を洗った。寒い冬の日の決心であった……って、そんなカッコよくまとめてどーする。
しかし、時は移って一八歳の春、僕は電撃的にAV研究に復帰した。まるで辰吉のようだ。理由は単純で、受験終わりに封印していた格闘技ビデオをレンタルしてこようかな、とした祭に「そういや、オレって今一八歳じゃん。AVレンタルしても、文句言われねーぞ!」と考えたからである。いいのかね、そんな考えで。
かくして現役復帰を果たした僕は、本拠地を札幌に移して精力的に活動することになる。五年も経てば、もうまるっきりシーンは様変わりしている。新鮮な顔触れに、僕は思わず興奮した。それって先走りだよ。
そんなこんなで、四年間培ってきた経験をば披露して、僕の後に続く後進たち励まして、このコーナーを終わろう。
初心者にはこれで安心、『ビデオ単体女優』モノがオススメである。
これはつまり、ビデオコーナーでは最初に置いてある、女優一人の名前がクローズアップされている作品である。AVとしては最もポピュラー。「わ、美人だなー」と思ったんなら、とりあえず借りてみよう。めったなことでは損はしない。
ここで経験を積んだら、続いては『企画中心、ジャンルビデオ』モノがよかろう。「女子高生」「人妻」「OL」とかのいかにもな区別がなされた空域へ入っていく。ここで自分の好みのジャンルを選択しておけば、「オレ、SMに興味ねーんだよなー」と嘆くことも無くなる。欠点として、単体モノの女優よりも美人度が落ちることがあるが、最近はこのジャンルは人気である。心配せずとも、なかなかの器量よしが多いのだ。ヤルっきゃない。
そして、よりディープなモノを求めるベテラン勢には、『インディーズ』モノが待っている。とにかく、ナンデモあり。山と出てくる女優が、あんなことやこんなこと、ええ! そんなことまで! てなことまでやる意欲に満ちたビデオが多い。が、女性の質に難あり。頭数のために揃えられたような、十人でやっと一人前みたいなあばずれがごッそりいたりする。慣れが無いと、金返せ感が大いに漂ってしまうものを引き当ててしまうので、注意が必要となる。
紙面も尽きたし、この辺で不毛なAV学講座を終わらせるが、昔も今も、AVを見るときの興奮って「え! こんなキレイな娘が何でこんなことを!?」っていう所から来てると思うんだけど、どうかね?