Coffee Break


Coffee Break NO.33/11月27日sat. 
        
         Autumn Leaves♪

 軽やかにキース・ジャレットのピアノ・ソロが枯葉のメロディをなぞり、ジャック・ディジョネットのドラムが後を追い、ゲイリー・ピーコックのベースが語りかける。一粒一粒の音が、枯葉のモチーフの周りをかすめるように転がっていく。キース独特の音の使い方に拍手が起こるLiveの妙。リードが入れ替わり、テンションも変化する。やがてメロディアスになり、オリエンタル風の枯葉に転調し、エンディングを迎える。

今日は「枯葉」をたくさん聴く日です。まず、手持ちのJazzのCDで「枯葉」の曲が入っているのを10枚くらい選び、次に聴く順番を決め、そしてそれぞれのCDの「枯葉」の曲だけを流します。さながら各地のワインを10種類並べて一口ずつ利き酒をするように。

今年は、クラシカルで技巧的なキース・ジャレット・ピアノ・トリオの「枯葉」から入りました。小春日和にはピアノ・トリオがよく似合います。続けてケニー・ドリュー・ピアノ・トリオのリリカルで繊細な光を感じされる「枯葉」、チックコリア・ピアノ・トリオの暖かな陽だまりの「枯葉」この辺りでトランペットが絶妙なウィントン・マルサリスの枯葉を入れます。中盤はシナトラやキングコールのしみじみ歌い上げる枯葉で紅葉の彩色よろしく変化をつけ、イブ・モンタンの哀愁の歌声で締めます。今年の枯葉コンサートの最後はマイルス・デイビスのトランペットの囁きでフィナーレにしました。この名演奏にはアンコールは不要です。
 枯葉♪は誰もが口ずさめる程シンプルで単純で多くは規定していません。だからJazzの枯葉♪は、時に華麗になったり、繊細になったりというように、沢山の感慨を引き出してくれます。シンプルで多彩、紅葉の盛りの中で、過ぎ行く秋を満喫しました。




Coffee Break NO.32 /11月19日fri. 
        
       〜読書の秋に〜

  「博士が愛した数式」(小川洋子)は本屋さんが勧める本NO.1です。昨年、宇都宮の知人に勧められて読み、先日、二度目を読みました。内容は・・事故で記憶力障害になり、2時間以上まえのことをことごとく忘れてしまう天才数学者と、その博士の介護をするお手伝いさんとその小学生の息子の物語です。博士は数字のことをロマンティックにお手伝いさん親子に話して聞かせます。一風変わったラブストーリーを楽しみたい方にもお薦めです。
  
  ここでクイズ!
  「220の約数で自分自身(220)を除いた約数の和は、1+2+4+5+10+11+20+22+44+55+110=284」。そして「284の約数で自分自身(284)を除いた約数の和は・・・1+2+4+71+142=220」。この220と284を「友愛数」といいます。運命的な組合わせで美しいと博士は言います。
  では「28の約数の和は・・1+2+4+7+14=28」で、自分自身になりました。これは「完全数」といいます。その数字自ら調和が取れている。
  では問題、「もっとも小さな完全数はいくつでしょう?」
 
  「博士の愛した数式」は、楽しい数の話でいっぱいの小説ですが、更に面白いのは、博士がルートという仇名をつけた子供に算数を教えるときの様子です。ルートに算数の問題を音読させて「『×枚、×足、×円・・・この繰り返しのリズムを的確につかんでいた。味気ない問題が、一篇の詩のように聞こえたよ』・・・博士はルートをほめる労力を惜しまなかった・・。川底の泥から一粒の砂金をすくい上げるように、小さな美点を見出した」と。
  それから、数字を擬人化し、恋人のように“擬恋人化”して表現する博士の台詞も面白いです。「この素数は仲間がいないから寂しい」「見方を変えると偶数というたくさんの仲間に会える」・・。文章鍛錬をしたい方には良い勉強になるでしょう。擬人化を意識することで世界の見え方が豊かになります。
  色んな意味で楽しく、二度読んでも面白い読書でした。   
   (上のこたえ:「6」。検算はご自身で。)




Coffee Break NO.31 /11月12日fri. 
        
       〜新蕎麦の香り〜

  「新蕎麦打ち始めました」という看板を見かけました。季節到来です。皆さんのお好みの蕎麦は何ですか?
  私が昔から好んだ蕎麦は出雲蕎麦です。あの縁結びの神様が住まう出雲大社の出雲です。そば殻を多く含んだちょっと茶色がかった田舎蕎麦。名物は小割りです。小さな丸いお重に3口程度の蕎麦を載せて、その上に“もみじおろし”などの薬味でトッピングし、冷たい出汁をかけて食すものです。普通は薬味を変えて3〜4枚いただきます。蕎麦の香りとゴツゴツした食感と薬味がそれぞれ自己主張し合って、楽しい味わいです。
  香りを本領とするのは江戸の蕎麦ですね。濃い味の江戸汁をほんの少しつけて、スルスルとすするときに鼻にぬける蕎麦の香りを楽しむのです。「池波正太郎・鬼平料理帳 佐藤隆介編」によると、「江戸の一徹モノは、今もって“もり蕎麦”しか食べない」とか。浅草や神田の藪は、汁も江戸の伝統を受け継ぐ江戸汁です。お蕎麦好きの方はお試しあれ。
  「新蕎麦」の看板を見つつも、そのお店で知人が注文したものはカツ丼のようでした。背に腹は代えられないということらしい。でも、新蕎麦は今のうちですよ




Coffee Break NO.30 /11月5日fri. 
        
       〜紅葉のメカニズム〜

  山々は徐々にペイズリー模様に。紅葉前線は南下中です。もう直ぐ街中にも赤や黄色の葉が顔を見せるでしょう。ところで、紅葉の多くは赤か黄色ですが、「なぜだろう」と、もう数十年もこの疑問を抱いていました。そこで今年こそはと思い立って、赤と黄色に分かれるメカニズムなるものを調べてみることにしました。
  
「紅葉」の場合、気温の低下とともに葉の付根の部分に「離層」と呼ばれるコルク層が形成され、葉と茎の間で水や養分の流れが妨げられます。光合成により作られた糖分が葉に蓄積され、これから「アニトシアニン」という赤い色素が形成され、葉緑素が分解されて緑の色素が減少していきます。この過程でいろいろな紅い色になります。
  
「黄葉」の場合、気温の低下とともに葉緑素が分解されていく過程で、今まで目立たなかった黄色の「カロチノイド」という色素が目立って現れてきて黄葉になります。・・・・なるほど、紅葉の場合は赤の色素が秋になって新たに形成されるのに対し、黄葉の場合はもともと葉の中に黄色の色素が存在していたわけで、葉緑素が分解されることでその赤や黄色が目立ってくるということですね。
  紅葉がより美しくなる条件として、1.夜間の急激な冷え込み、2.大気の乾燥による地中水分の減少、3.直射日光の強さが上げられますが、これらは離層の形成、糖分の蓄積、葉緑素の分解などを促進するための条件ということなのでしょう。
  ふむふむ、これで私の数十年来の疑問が晴れて、秋空のように心も晴れ晴れしてきました。
  ついでに「カエデ」という名前ですが、カエデは「蛙の手」に由来しているそうです。蛙の掌が赤く染まっている様を想像すると滑稽で気持ち悪い気もしますけど。それでは皆さんも行く秋、錦織の世界を満喫してください。