Coffee Break
Coffee Break NO.230/2010年3月19日
     
                  「五十音表はいつ出来た?」

    読み聞かせで本が読めるようになった3歳児さんが、初めて辞書で五十音表を見たとき、「お母さん、すごいものがあるよ」ってとても感動したというお話を聞きました。五十音表を知らずに「かな」を覚えた君こそ凄いよって言いたいですし、五十音表を見て「すごいものがあるよ」って言った事実も凄いですね。
    
    ということで、今回は「かな」について調べてみました。「かな」の教育と言えば、古くは「いろは歌」がありますが、調べてみると面白く、実は、「五十音表」は平安時代に誕生したあの素晴らしい「いろは歌」よりも先に出来ていたのですね。ひらがなが生まれると直ぐに出来たらしい。「あいうえお・・・あかさたな」は音声の体系がとっても合理的に整理されています。こんな合理性が日本人にあったなんて・・・驚きです。
    実は、五十音表はインドの古典語のサンスクリット文字(梵字)の配列を元にしているそうです。仏教の伝来とともに、インドの音声を精密に分析する学問(悉曇学)が日本にまで伝えられ、ひらがなの誕生直後に五十音表ができたというのです。輸入とはいえ、梵語をアレンジして五十音表を作った日本人はやはりすごいです。
    そして平安生まれの「いろは歌」は、誕生以降長らく庶民の「かな」教示の定番となっておりました。「いろはにほへと・・・」は、実は「色は匂えど、散りぬるを、我が世、誰そ、常ならむ、有為の奥山、今日越えて、浅き夢見し、酔いもせず」となり、「ん」以外の47音を一度ずつしか使わずに作られた詩です。内容的には無常と人生と来世を語る経典ですね。ですから、寺子屋で子どもが初めて教わる「かな文字」が「いろは歌」だったということもスゴイ話ではあります。「かな」と同時に無常を学んでいたのですから。・・・たかが「ひらかな」、されど「ひらがな」です。    
  
      
Coffee Break NO.229/2010年2月26日
     
                     ショパン・イヤー   
  
   私にもあった18歳頃、好きなものはと問われると、「ランボーとショパンと草木染」と周囲に宣言していました。ショパン生誕200年のニュースにそんなことを思い出しました。レコードで雨だれの曲や別れの曲を、ジョルジュ・サンドやショパンの恋人たちのことを思いながら、静かに聴く時間が好きでした。花束ではなくて、一輪挿しのような、真珠の一粒一粒がガラスの器に落ちて転がるような、シンプルな綺麗さが気に入っていました。

    「機(はた)を織っているとき、思わず竪琴(たてごと)をかきならすような気持ちになるときがある。ひといろ、ひといろ音色を奏でるように色を織り込んでゆく」と書いたのは、染色家の志村ふくみさんです。「あるとき、赤と青の糸を交互に濃淡で入れていった着物を見て、美しい紫ですねと言った人があった。紫はひと色も入ってないのですよ」と、志村さんは次のような種明かしをしました。補色同士をパレットの上で混ぜると「ねむい灰色調」になってしまうけど、補色同士を隣り合わせにおくと「視覚混合」という作用で「美しい真珠母色の輝きを得る」と。これが美しい紫の真実です。
    どこかショパンの曲に似ているような気がします。
 
    18歳の頃のように今もってショパンと草木染が好きなのは、こんな発見があるからです。今もって若々しい感性でいるからというよりも、懐かしさのメビウスシンドロームから抜け出せないというのが真実ですけど。ま、ショパン200年、色々なイベントを楽しみましょうということで、尻切れトンボな文章のままで失礼します。  

    
Coffee Break NO.228/2010年2月12日
     
       「冬をしっかり越さない限り、春をしっかり感じることはできない。
          それは幸不幸と似ている。」 星野道夫            
  
   大好きな写真家・星野道夫さん(写真家・故人)の言葉です。星野さんのことは冬になるとついつい紹介したくなってしまいます。 
   寒さの中でしか咲かない花もありますので、決して冬が不幸で春が幸福の象徴だなどとは私は思いませんが、確かに雪が多いとその年の春が素晴らしいのは事実です。気温が15℃以下でないと育たない球根があり、雪のぬくもりの中でしっかりと芽を守る木々があります。雪が春の芽を守る、星野さんの「春をしっかり感じる」ということはそういうことでしょう。蛇足ですが、偶然にも尾瀬で出会った写真家も同じことを言ってました。「ここ尾瀬では、雪が深いときほど春の花が綺麗ですよ」って。
  
    「冬の時代」や「スランプ」の乗り越え方などと言って、星野さんの言葉から教訓を引き出すことはやめましょう。そんな野暮なこと。ただ、「冬をしっかり越す」こと、冬にしかできないこと、そこに思いを致すとき、気持ちが豊になるような気がするだけです。
   星野道夫さんは厳冬のアラスカで自然の風景の中に溶け込んでいました。グリズビー(白熊)の傍らで、銃も持たずに生活しました。だからアラスカの春を人一倍しっかりと感じることができたのでしょう。星野さんの写真の魅力はまさにそこにあります。
   そして私たちは、私たちの道で楽しみを倍増するために、しっかり日々を越していきましょう。子供、保護者たちとの日々をしっかり感じ、感動を深く味わえる自分になりたいと思います。
    
Coffee Break NO.227/2010年1月28日
  
 ◆村上和雄先生講演より 
      (筑波大名誉教授、遺伝子研究のパイオニア、笑い学会の創立者)
   先日、ある周年行事で、村上和雄先生に講演して頂きました。
  以下は講演のサマリーです。見出しと番号は勝手に付けたものです。
   (場内は笑いの渦に飲み込まれていました。あっと言う間の1時間でした。)

  遺伝子のスイッチON
    1.「笑い」は笑いセラピー。セラピー効果が認められた。
    2.笑うと血糖値が下がることが判明した。
    3.笑いは遺伝子をONにする。
    4.遺伝子をONにすることにより心身ともに健康になる。生き方が変わる。
    5.「人生、ニコニコ顔で命がけ」が良い。
    6.遺伝子のスイッチをONにするもの=笑い、感動、安心etc
      遺伝子のスイッチをOFFにするもの=悩み、不安etc。
      スイッチONにしよう。
  遺伝子の不思議 
    7.生まれたての赤ちゃんの微笑み、エンジェル・スマイルはお布施。
    8.赤ちゃんの微笑みも遺伝子にプログラムされている。
    9.遺伝子に全ての設計図が描かれている。
   10.遺伝子の設計図は文字に例えると32億の情報となる。
   11.人間の細胞は60兆個ある。
   12.一人の人間の約60兆個の細胞核の中にあるそれぞれの遺伝子は皆同じプログ     ラムを持つ。
   13.約60兆個の細胞を遺伝子情報が制御している。
   14.地球誕生以来、約180億種の動植物が地球上に誕生した。
   15.その180億種の生物の遺伝子情報は、99%が同じだった。
   16.不思議な見えない力が働いているとしか思えない。
   17.それはSomethingGreat。 
   18.胎児は32週で生物の進化の32億年をたどって生まれでる。
   19.すべて遺伝子の設計図に描かれている。
   20.遺伝子の設計図を解読する研究も進んできた。自分の設計図を確認できる
    時代も近い。
 日本人とは 
   21.江戸時代日本は貧しかったが卑しくなかった。
   22.江戸のように、農民が本を読んでいた国は他にはない。
   23.日本語「おかげさま」「もったいない」「ありがたい」は外国語にはない。
     勿体とはものの本来ある姿、それが無くなることを惜しむ気持ちを「もったいない」と     言い、「ありがたい」と感謝する。
   24.米は八十八回手間をかけたということ。そこには感謝がある。
   25.こんな日本なのに、今の若者、高校生は夢がもてない。ここで教育の力が必要に
     なる。ブラジルでは日系ブラジル人が教育に力を入れた。今、ブラジルを支える人た
     ちとなっている。
      研究は1位でなければ意味がない 一位だけが実績となる。二位以下は存在し
    ないに等しい。 益々、教育の役目は高くなる。                                                                      以上  
ちょっと長くなますが、Coffee Breakを。 
     
 村上和雄先生の話に金子みすずの一節が紹介されました。星とタンポポの第一連です。
            「星とタンポポ」 
         青いお空のそこふかく、 
         海の小石のそのように、
         夜がくるまでしずんでる、
         昼のお星はめにみえぬ。
         見えぬけれどもあるんだよ、
         見えぬけれどもあるんだよ。

    村上先生、科学のお話の中で金子みすずの詩をご紹介されるあたり、素敵です。ドイツの詩人ノバーリスは、もっと直裁的な表現ですが、似たようなことを言ってます。
       見えるものは見えないものに触れている。
       聞こえるものは聞こえないものに触れている
       分かるものは分からないものに触れている。

    見えるものの背景には見えないものの真実がたくさんあります。科学は少しずつ、一つ一つ真実を明るみに出して行きますが、見えないものは遥かに大きく、見えないものの方には大きな魅力があります。だから、見えないものを明るみに出して、真実を知っていくとき、科学にしても芸術にしても、そこに感動があります。その真実を知る感動の味わいを知っていく子どもがたくさん育っていくと良いですね。夢をもつ子どもたちが。


Coffee Break NO.226/2010年1月10日
     
     花の色は 雪にまじりて 見えずとも 香をだににほへ 人の知るべく 
                                小野篁(おののたかむら)
   
    雪に咲く花、心がふっと暖かくなります。寒さに耐えて咲く花、健気です。
    寒さが行きつ戻りつしています。体調にご留意してください。
    新年になると、一年の初めというシチュエーションですので、年取る速さのおぞましさとわずかばかりの新たな気分がブレンドされて、微妙な薄明かりに照らされてわが身を振り返ってみたりもするわけです。そんななか出会った「幸福の扉は外に向かって開かれる」という言葉、ビクトール・フランクルですが、意味を押し付けてないところがいいなって毎年思ってしまいます。なんとなく外へ広がる気持ち良さがあり、居心地がいい言葉です。
    幸福って何?ということを考えさせるようでもありますし、詩的で謎の部分がある言葉です。 箴言、座右の銘などというものが苦手な私としても、こんな言葉なら一年の初めに使いたくなるものです。