Coffee Break
Coffee Break NO.241/2010年9月28日
     
                  
               「秋づくし」

    湿気を含んだ夏の空が一変して、秋雨となりました。亜熱帯日本よ、さようなら!、素敵な秋にこんにちは!です。いよいよ天高く、空の色が「あきらか(清明)な」秋が来ると思うと、気持ちも清々しくなります。読書の秋、スポーツの秋、食欲の秋、多彩な秋が楽しみです。木々が色づいて、草木が「アカ(紅)ク」なれば、まさに秋というわけで、芸術心も頭をもたげてきます。

    目で愛ずる秋があれば、耳で感じる秋もあります。耳を澄ますと、りーん、りーんと虫の音。秋の訪れを実感するひと時です。秋の訪れ、音ずれ、衣ずれってわけです。衣ずれに人の気配を感じるように、秋の訪れとは、まさに秋の衣ずれってことです。
    日本人って、素敵な連想をするものだなあと感心します。

    そして、大野晋さんの言うようにやっぱり秋は「a(偉大な、多い)−ki(もの、時季、季節)」で多くの収穫がある季節です。秋の体験で、収穫が「あきみちる(飽き満ちる)」秋にしたいなんて思います。


    
         
Coffee Break NO.240/2010年9月17日
     
                   新常用漢字
                 
    2010年常用漢字が増えました。196字の追加、5字の除外で、1945字から2136字になりました。話題性の高いところでは、「阪」「阜」「埼」「岡」などが追加されて、47都道府県が標記できるようになったということがあります。憂鬱の「鬱」、語彙の「彙」、拉致の「拉」などが加わり、これまでの「まぜ書き」も沢山解消されて、「憂うつ」「語い」「ら致」は使わなくて済みます。使える文字が増えて良かったです。
    テレビで憂鬱の「鬱」が話題になっていました。この字を見ると、「巴里の憂鬱」という詩を連想し、「悪の華」を口ずさみたくなります。詩人のボードレールやベルレーヌ、ランボーにつながって行くわけです。「鬱」にはパリの秋の風景が見えてきます。それは私にもあった青春時代の文学体験そのものなのですけど。文字の思い出とでも言えなくもない、そんな思い出、皆さんにはありませんか。
    何々、絵文字が思い出ですって!?・・・そういう時代なのでしょうね。
    
         
Coffee Break NO.239/2010年9月6日
     
                 残暑お見舞い申し上げます。

    水曜の夜、何気なくTVを見ていたら、♪趣味工房シリーズあなたもアーティスト「仲道郁代のピアノ初心者にも弾けるショパン」という番組に出くわしました。ピアノ初心者の中高年の役者さんが生徒となって、「雨だれのプレリュード」を練習するという設定です。一方、先生役の仲道郁代さんは、ショパンのオリジナルの楽譜の分析や当時のピアノの研究をした、ショパンのことを良く知っているピアニストですから、その解説も分かりやすく面白いです。「ここにトレモロをいれた理由」「サステインにする理由」というような、普通は素人が意識しないような譜面の内容を紹介していますし、ショパンの伝記も教えてくれるので、ショパンを更に広く深く知ることにつながります。趣味工房ではあるけれど、「知る」が「楽しみ」を導くということを教えてくれています。
   ・・・・今年はショパン生誕200年なので、この機会にショパンに触れるのも一興だと思い、翌週もこの番組を見てしまいました。 それにしても楽譜を読める人は羨ましい。私にとって音符は、初めて出会ったラテン語のように難しいですから。


    
         
Coffee Break NO.238/2010年8月4日
     
                 浴衣ファッション・・・ 

    先週は隅田川の花火大会でした。自宅近辺の国道は歩行者天国になり、多くの人が空を見ながら闊歩したり、そぞろ歩きをしたり、浴衣の花が咲いていました。浴衣風情、良いですね。特に藍染は良いです。裾を風になびかせて歩くときにチラと見える裏地が素敵なリバーシブルだったら、粋だなあなんて思います。
    江戸時代の後半には藍染の浴衣が流行りました。財政難で贅沢禁止令が出されたため、華美な色合いがなくなり、藍染めが主流となったのです。そこでお洒落な江戸っ子は、隠れたところの模様で粋を競いました。見えないところがチラと見え、表と裏の複雑な模様がピタッと一致したのを見て、「渋いなあ」と感心したのでしょう。そのさりげないお洒落が受けたようです。こうして発展したのが、長板正藍染めという技法です。藍染をする際に、表裏の図版の模様がずれないようにする技法で、今でもそれは受け継がれていて、無形文化財となっています。
  花火大会、空を見るのも楽しいけれど、浴衣ファッションを見物するのも一興です。


  
    
Coffee Break NO.237/2010年7月15日
     
                 アスリートの言葉

    サッカーWC(ワールドカップ)南アフリカ大会はスペインの鮮やかなパスサッカーの優勝で幕を閉じました。日本代表の躍進に日本中が沸きましたね。岡田監督は大会直前の練習試合で3連敗した後、「われわれは弱いんだ」という認識に立ち返えり、WCでの戦略を変えました。この居直りの選択が、幸運の女神を呼び込みました。初戦のカメルーン戦の一勝が感動の始まりでした。「人は、決意して選択した瞬間に飛躍する」、まさに決断の妙でした。「我々のチームというのは他のチームにない力があります。それはサポートメンバーを含めた27名、スタッフが一つの目標に向かって一つになれるという、サッカーがチームスポーツということを証明しようと。それを見事証明してくれたと思います」という岡田監督の言葉に象徴されるように、TV画面の向こうから伝わってきたものは日本代表チームの一体感でした。
     「強いものが勝つのではない、勝った方が強いのだ」(ヨハン・クライム)と言った様に、勝利が一体感を強め、勝つたびにチームは強くなったのでしょうね。ドイツWC大会に出場後に引退を表明するも、今回の南アWCで復活したディフェンダーの中澤祐二はこう言いました。「過去は変えられないが、未来は変えられる」と。同じ言葉でも私が言うと単なる戯言(たわごと)なのに、苦労人の彼が言うと言葉が輝き、心を揺り動かします。一流の現場から生まれた言葉には瑞々しい知恵と存在感を感じます。
    アスリートの言葉は、子どもたちには伝わりやすい。シンプルだからです。スポーツ語録、オシムの言葉やイチロー語録などは夢の糧になるかもしれませんね。現場で生まれた真実の言葉に、子どもには触れて欲しいです。


         
Coffee Break NO.236/2010年7月6日
     
            「おこだでませんように」
                親の絵本?、それとも子どもの絵本?

     明日は七夕。短冊に子どもたちはどんな願いを書くのでしょう。絵本「おこだでませんように」(くすのきしげのり作、石井聖岳絵)の主人公は、一所懸命に『おこだでませんように』(=おこられませんように)と書きました。そんな積もりはないのに、いつも先生やお母さんを怒らせてしまっている一年生。何故怒られてしまうのか分からない。これからは、おこられないように!と星に願いを書きました。
    この絵本の読者レビューの多くは、「子どもがこんなに思っているなんて・・」「親が考えさせられました」「思わず涙がでました」というもの。他方、この絵本への子どもの感想の多くは「ボクみたいな子だなあ、(主人公に)頑張れ!」「ぼくもお母さんに迷惑かけないようにします」というもの。子どもなりに感じているのですね。
    
    ところで「ちょっとだけ」「小さいあなたへ」「積み木の家」「ラブ ユー フォー エバー」、この「おこだでませんように」などのように、タイトルを聞いただけで涙ぐまれる親御さんがいるような、大人の心にジーンと来る絵本がたくさんあります。読者レビューには上記の絵本に似て、異口同音に「感動しました」「多くの大人に読んで欲しい」「私の宝物です」というようなことが書かれています。
    多くの大人が感動するこれらの絵本を子ども達に読んでみました。子どもレビューはというと、「ちょっとだけ」では「お母さんは(私が)大好きなんだなあ」、「ちいさいあなたへ」は「私もお母さんになれるかなあ」、「積み木の家」では「おばあちゃんに会いたくなった」等々という声が上がりました。子どもは意外に?深く何かを感じ取っていると思わせるような表情を見せてくれました。共感もあれば感動の増幅ということもあるでしょう。
     いずれにしても、大人の絵本、子どもの絵本ということを越えた素敵な絵本がたくさんあるということです。「おこだでませんように」はお薦めです。購入されて、お気に召さなければ、代金は私がお支払いしましょう。