Words 

   〜読み聞かせの智恵袋〜

No.1 050604
「1.幼児は読みたがっている/2 幼児は読める。/3 幼児は現に読んでいる。/4 幼児は読み方を習うべきである」     G.ドーマン 

 ドーマン博士の言葉から。1〜4を「基本的事実」としてドーマン博士は紹介しています。読み聞かせが好きになった幼児さんが、ひらがなの五十音表を覚えなくても、絵本の言葉を自然に読むようになっていくということはよく聞きます。4の読み方を習うべきであるというのは、読み聞かせで絵本好きになると子供は自然に読み方を真似して、自分でも台詞を言いたくなったり、口ずさんだりしますから、教示というよりも、自然なことば遊びをするという程度に考えてください。
 「習う」というのは、お子さんの様子を見ていると感じることがあるでしょう。耳を澄ましてお母さんの声をじっと聴いていたり、絵を数秒注視していたりすることがあるでしょう。それが「習っている」姿です。音の羅列であるお母さんの声から、音程や調子や強弱、音節の特長を掴んだり、それらを声が発せられる状況(場面)とをつなげているのですね。 Yume



NO.2 050612
「子供は生まれた直後に習い始める、これが事実です。六歳になって学校の教育を受け始めるまでに、すでに子供は驚くべき量の知識や事実を、身につけています。その量は多分、その後の人生で習うものよりは多いでしょう。」 
    G.ドーマン 

 今回もドーマン博士の言葉を紹介します。乳幼児さんは学びのシステムを作っていくという意味深い言葉です。幼児期の「習う」というのは、ある意味で学習システムの構築、言葉の獲得のモジュールつくりです。だからその後に習って覚える知識とは質的には異なる大切なものなのでしょう。Yume



NO.3 050619
学習の決定的な時期:一歳から五歳まで〜〜わたしたちは、子供が理解したがるものをあらゆる形で与えるべきですが、特に話されるものにせよ、聞かされるものにせよ、印刷されているものにせよ、言葉に関連して与えられることが肝要です。この時期にこそ、子供は読み方を習うべきで、それによって、歴史上人間が書いたすべてのもの、人類の知識の総計という黄金の宝へのドアを開くのです」
G.ドーマン
 

 「読み方を習う」という言葉は、五十音を教えようということではありません。言葉を聞くことが楽しい、言葉を知ることが嬉しいという感覚を育てるということではないでしょうか。 Yume


NO.4 050627
「第一歩は、身近にある本を手にとり、わが子に読み聞かせを始めることである。われわれの生活の中で、まず本に優先順位を与えよう。それによって、子供の90パーセントが読むことができ、かつすすんで読む国を作り上げることも夢ではない」ジム・トレリース著「読み聞かせ」
 
 22年前アメリカでは「危機に立つ国家  教育改革への至上命令」(レーガン政権の報告書)が出され、国家再興のために教育改革の必要性が提唱された。その当時のベストセラーとなった本がジム・トレリースの読み聞かせハンドブックでした。Yume



NO.5 050703
 「たとえば、世界中で日本ほど印刷された言葉を大切にする国はないが、その日本の父母の大多数はいまも子供たちに読み聞かせをしている。・・・・これに対してアメリカでは、エンターテインメントが大切にされ、子供たちにもそうした社会の価値観が反映している。」ジム・トレリース著「読み聞かせ」より

 先週もご紹介しましたジム・トレリースより。20年前の日本が読み聞かせが家庭に普及していたとは、若干の誤解もあるように思えますが、「危機に立つ国家」当時のアメリカの危機感が伝わってきます。そして日本の現状は、まさにその当時のアメリカの様相に近くなっていると言えそうです。「読み聞かせ」を各家庭のカルチャーにして、ジム・トレリースが思い描いた理想の日本に近づいて行きたいものです。Yume



NO.6 050710
 「証言者である専門家の誰一人として“早い時期から読むこと”を本質的に悪いととらえているいる人はいない。ただ、みんな、早くからものを読む子どもは、毎日決まった時間に父親か母親がそばに座り、文字、音、音節を教えることによって作られるのではなく、子供が自然にその段階に到達することによって作られるべきだ、と感じている。」ジム・トレリース著「読み聞かせ」より

 「自然に」というのは、もちろん自然児のようにということでも、或いは放っておくということでもないと言うことは皆さんお分かりでしょう。「絵本を楽しんでいたら」「自然に」言葉を身に付けていくということなのでしょう。Yume



NO.7 050717
 「早い時期から読めるようになった子供の家庭環境にある4つの要因・・・その(1)子供に定期的に読み聞かせをしている。早い時期から読めるようになった子供の家庭には、この要因が一番多かった。ジム・トレリース著「読み聞かせ」より

 4つの要因の一番目に読み聞かせが挙げられています。これはアメリカで25年前(1982年時点)から行われている「早い時期からものを読む子供」と「学校に入って直ぐに教師の指示に問題なく反応する子供に対する調査」の結果です。
 第2〜4の要因は(2)家庭内に本、雑誌等々の印刷物がある。(3)紙と鉛筆がいつも子供の手の届くところにある。(4)子供の質問に答え、読み書きする子供を誉め、子供を頻繁に図書館に連れて行き、本を買い、子供が口述する物語を書き取り、子供の作品を家の中の目立つところに飾る・・・等々です。Yume



NO.8 050724
 実物を一度も見たことのない子供は、花や飛行機、子犬の絵を見ても、ほとんど魅力を感じることはない。それどころか、それらはページの上の障害物としか映らないだろう。しかし、子犬と遊んだり、花を摘んでその匂いをかいだりしたことのある子供は、「経験の銀行というべきものを持っており、そこから理解や評価を引き出すことができる」とハロランは言っている。ジム・トレリース「読み聞かせ」

 絵本を楽しむ上で、実体験は必須条件ではありませんが、実体験と絵本が結びつくと楽しさが2倍にも3倍にも大きくなります。夏は実体験を増やす良い機会です。そこにちょっと絵本の読み聞かせを工夫してみると面白い発見に出会うことでしょう。Yume



NO.9 050731
 2歳から5歳のあいだの子供の、親の真似をしたいという思いは、本を読むことにまで広がっていく。ときには、4歳になるころにはページを追って逐語的に本が暗誦できるようになることもある。
ジム・トレリース「読み聞かせ」

 子育てサークルのお子さん方が絵本を暗誦して喜んでいる場面に出会うことがたくさんあります。そう、暗誦なのですね。好きな言葉や調子のいい言葉を繰り返してくれます。しかも、あたかも文字を読んでいるかのように。
 年齢はジム・トレリースさんが指摘するよりももっと早いですね。ちょっとした言葉なら1歳台ですし、ストーリーでも2歳台で暗誦して楽しんでいる子も結構いますね。Yume



NO.10 050807
 子供の才能を伸ばすためには、まず言葉を理解させ、言葉で説明して教えなければならない。(中略)上手に与えれば、子供は苦労なしに言葉でもなんでもどんどん覚えますし、それが非常に効率的であることは確かなのですが、私たちがこれから考えなければならないことは、言葉だけで子供が育っているのではないということです。井深大(ソニー創設者)

 乳幼児は、音の羅列から語彙を切り取り、意味のある音の組み合わせを認識しようとします。聴覚の発達を初めとした五感の成長、声帯や喉の筋肉と体の発達が合わさって、言葉を発するようになります。言葉ありきとは言うものの、言葉の獲得を支えるもの、つまり授乳の時のスキンシップを初めてとして、親や外界との接触や交流のなかで自分と身の回りの世界と認識していくわけです。言葉だけを教え込もうというのではなくて、乳幼児さんの自然な成長を喜びつつ、歌い聞かせ、絵本の読み聞かせ、語りかけ、スキンシップを楽しんでいただきたいところです。Yume



NO.11 050828
 「好きこそものの上手なれ」
 この夏、偶然にも魚の図鑑が大好きになった二つのご家庭の話です。2歳の男の子の家庭は、この夏に水族館に行きました。お子さんが気に入ったので何度も遊びに行って、お魚の図鑑も買いました。「この魚いたいた」って大喜び。その図鑑の説明を読んでもらうのも大好きになりました。その水族館が発行している何枚もの「おさかなカード」もいつも間にか覚えてしまったとか。
 もう一つの2歳と4歳の姉妹。この夏、沖縄の島に行ったそうです。その思い出に、海の写真やお魚の絵や写真を使って、手作りの絵本を作成中でした。その時に見ていたお魚の絵や写真が気に入って、魚の図鑑も「いたいた」って食い入るように見ていました。  実体験と本が結びついて、図鑑や本が更に身近になってきたのですね。好きこそものの上手なれ!お子さんの好きを育てたご家庭のこの夏の話でした。Yume



NO.12 050911
  「その絵本を好きであることが読み聞かせのコツ」

 読み聞かせのオーソリティーと言われる人たちや専門家と言われる人たちのマニュアル本には、絵本の持ち方や声の出し方、ページのめくり方、読み替えをしない等々、色々と原則論が書いてあります。今週は、敢えて「読み手がその絵本を気に入っているならスタイルは気にしないで良い」って言いましょう。だって、お子さんに読み聞かせするときは色んな状況ですよね。マニュアル通りに絵本を持つことも、ページめくりすることもできないことの方が多いのですから。形より実をとりましょう。読み手とお子さんが絵本を通してスキンシップをしたり、絵本を楽しむということです。それも場合によっては作者が意図したものでなくても良いでしょう。絵本の中の隅っこの小さな絵一つだっていいのではないでしょうか。Yume



NO.13 050925
 「同じ絵本の繰り返し」vs「とっておきの絵本」

 同じ絵本を何度も「読んで」と要求するお子さんは確実に本好きへの道を歩んでいます。その要求に親が自然に応じていればね。
 だから「同じ絵本の繰り返し」が必須というのではありません。子供が要求しないのに親が繰り返しを押し付けては本末転倒ですね。不自然です。勿論、その絵本を親が楽しんでいるのであれば、良いのですけどね。親にとっては自然なのですから。
 
 子供が繰り返しを要求しないのに、例えば1〜2度読み聞かせただけなのに、子供が大好きになる絵本もあります。たまに子供が「読んで」と持ってくる絵本かもしれません。そんな「とっておきの絵本」というものができることがあります。その時もお子さんは確実に本好きへの道を歩んでいます。
 お子さんに時々聞いてみましょうね。「今のお気に入りはどれ?」って。「とっておきの絵本」を見つけるのも楽しいですよ。Yume



NO.14 051022
 「読み聞かせ」の処方箋は 親子で書くもの

 このサークルのメンバーの方はお子さんを本好きにするのが上手になってきました。(もともと上手だったのかもしれませんね。) 絵本の読み方は様々でしょうけど、きっと皆さんはお子さんの表情や様子を楽しみながら読み聞かせしていらっしゃることでしょう。あるお母さんが「子供の様子を意識して読み聞かせすると違うのですね」とおっしゃいましたが、ちょっと意識するだけで読み聞かせが面白くなるということでしょう。
 このサークルには宿題があって、「毎回、一冊はお子さんのお気に入りの絵本を持参して、それを皆に紹介する」というものです。紹介の仕方はそれぞれ自由ですが、大抵は「@お気に入りになったきっかけ」「Aお気に入りのページ」「Bお気に入りの絵」「Cお気に入りの言葉」「Dお子さんの様子」「Eその絵本の面白さ」などを紹介されます。
 そうそう、この@〜Eがまさに絵本好きへの「それぞれのご家庭の読み聞かせの処方箋」ということになるのでしょう。Yume


NO.15 051112
  絵本をかじらなくなったら、『指差し』や『ページめくり』を


 1歳前後に読み聞かせを始めた方は思い出されるでしょう。「最近、絵本はかじるものではなくて見るものだと分かったみたい」と。そしたら次は・・・楽しく読み聞かせしたら良いのは当然ですが、そのときに「ページめくりを一緒にやってみる」とか「絵を指差して語りかける」とか云うことをちょっとやってみましょう。(一般的に言われている読み聞かせのノウハウ本にはこんなこと書いていませんけど、これはとっても効果的です。)そのときのお子さんの視線を見てくださいね。お子さんが自分でも絵を指さしたら、もう言葉のゲームを始めているのです。そうそう、読み聞かせの時の絵の指さしは、お子さんの好奇心を絵本に向ける役目をすると同時に、読み手(親御さん)と同じモノを見ているという気持ちを抱かせます。また、指さし行為が意味を持つのが丁度1歳くらいからなのですから、是非、試してみてください。Yume


NO.16 051203
 『指差し』や『ページめくり』の楽しみ方


 前回の「絵本をかじらなくなったら」と内容について、今回は例をあげて紹介しましょう。1歳前後の「指差し」や「ページめくり」の例です。
 例えば、「くだもの」という絵本です。お子さんは知らない果物を指差して「あ〜あ〜」と言う事があります。お母さんがその絵を指差して、名前を言ってあげるのです。簡単ですね。お子さんが知っている果物を指差して「あ〜あ〜」ということもあります。そのときはお母さんは、「そうね、〇〇ね」と笑顔で応えましょう。
 初期のページめくりでは、例えば「やさいのおなか」の絵本で、お子さんが自分の知っている形を見て、次のページをめくろうとします。そうそう、自分がわかるページ、つまりそれがお気に入りのページになりつつあるのですね。そのときも「そうそう、〇〇ね」と笑顔で応えましょうね。
 指差しの代わりに、例えばありさんが登場する絵本で、「ありさん」が載っているページにきたら、「おつかいありさん」の歌を歌いながら、絵本のありさんにおでこをくっつけて「ごっつんこ♪」と言ってみるというもの楽しいでしょうね。童謡と絵本を結びつけるのも良いものですよ。 Yume


NO.17 2006.1.4
『お気に入りのページ』を見つける

 
 お気に入りのページを見つけるには、2〜3歳の読み聞かせに慣れたお子さんの場合ですと、表情や仕草から伝わってくるものです。
 0〜1歳の乳児さんの場合はどうでしょう。読み聞かせが習慣になっていない場合も含めて、乳児さんが興味をもったページの見つけ方を紹介しますと、大きく言うと次の3つです。「@お子さんがじっと注視したり、じっと聴いたりする数秒の間から感じることがある。A手をたたいたり、手を握ったりする動作から感じることがある。B微笑み返しや「あ〜、う〜」という声や表情から感じることがある。」
 実は、お子さんの表情の変化を見ることで、読み聞かせの楽しさが増し、読み聞かせの醍醐味も味わうことでしょう。同時に、子供を観る眼も育ちますので、是非、一度試してみてください。 Yume


NO.18 2006.2.5
『お気に入りのページ』を見つける〜その2〜

 
 前回は、お子さんの表情や仕草からお気に入りを見つけるコツをご紹介しました。やってみた方から「よく分かりました」というお声を頂戴しました。
 「でも、ウチの子は自分でどんどんページをめくってしまって、最後に『おしまい』って自分で言って本を閉じます(2歳3ヶ月)」という方がいました。
 そうそう、それで良いです。好きな絵本だからと言って、お気に入りのページが必ずあるとは限りませんし、お気に入りのページを作らなければいけないなどど思うと本末転倒です。
 それでも、このお子さんの場合、歌の絵本がきっかけになりました。歌を歌うとじっとそのページを開いたままになりますよね。それで、好きな歌と好きなページができて、結局、あるページをじっと見るという楽しみもあるんだということを知っていったようです。そうそう、結局、好きなページができるということは、お子さんが読み聞かせを楽しむ主役になる一つの現象だということです。勿論、読み手は名助役ということですね。Yume


NO.19
 2006.2.27
『いっしょ読み』を楽しむ〜その1〜

 
 ここで言う「いっしょ読み」というのは、「いっしょに絵本を楽しむ全てのこと」というようにしておきましょう。@お子さんがページをめくるだけでも、Aひと言ある絵を見て「ああ」というだけでも、Bお子さんが絵本の台詞をひと言いうだけでも、Cクイズ形式の内容の答えをお子さんが言うだけでも、Dもちろんもっとたくさんの台詞やページ丸ごとお子さんが読む(言う)ときも含めて、「いっしょ読み」と呼ぶことにしましょう。 
 「いっしょ読み」の楽しみ方が広がるようになれば、お子さんは本を読む楽しさを自然に知っていくことになります。
 上の@〜Dのようなことは「もうやっていた」と思われた方も多いでしょう。例えば、「にらめっこしましょう」という絵本で、ページごとに出てくる「あっぷっぷ」という言葉を親子で合唱していたとか、「いないいないばあ」の「ばあ」をいっしょに言っていたというように。
 いっしょ読み、簡単でしょう。 Yume


NO.20 2006.4.16
『いっしょ読み』を楽しむ〜その2〜

 
 「いっしょ読み」とは何かということについては、前回紹介しましたのでご参照ください。
 よくお聞きすることですが、子供たちは、何度も読み聞かせしているうちに、親御さんも気づかなかったようなことに気づいて、それを指差してあれこれ言うことがあります。絵本のストーリーから外れたことも多いので、横道に逸れたような感じになります。例えば「おたまじゃくしの101ちゃん」で
「かえるの指が4本」だとかいうような場合です。そのとき、お母さん方はどうしますか?そうそう、これも「いっしょ読み」のひとつのバリエーションです。是非、どんどん横道に逸れてください。こんな読み聞かせは、ご家庭でしかできませんからね。こんなお子さんの発見を喜んでいると、お子さんはきっとどんどん絵本好きになることでしょう。 Yume

<読み聞かせ智恵袋 NO.21>
 2006.7.9
『年齢に合った絵本』

 
 「年齢に合った絵本」についてのご質問は比較的多いのですが、このサークルに参加されて1〜2ヶ月もするとそのご質問は解消されるようです。サークルの方々は、生後半年のときは「いないいないばあ」、10ヶ月で「おつきさまこんばんは」、1歳6ヶ月なら「きんぎょがにげた」、2歳で「うずらちゃんのかくれんぼ」などと聞いていても、実際は色んな絵本を試してみて、その中から少しずつお気に入りを見つけていらっしゃいますので。そうそう、マニュアルがあってお気に入りになるというのではなくて、お子さんの表情を楽しもうというのが先にあって、後々になって「年齢に合った絵本」なる書物や講演などに接したときに「ふーーん、そういうものか」って思うようです。お子さんの表情が一番のマニュアルであり、お子さんの表情が求めるものが、発達心理学ってことですね。 Yume

<読み聞かせ智恵袋 NO.22>
 2006.8.27
『スキンシップ』

 
  前回、「お子さんの表情が読み聞かせのマニュアル」ってことをお伝えしました。お子さんの表情から読み聞かせのポイントが見えてくるということですが、そのことと同様に大切なことは、親御さんがお子さんの表情を感じようとするまさにそのことをお子さんが感じているということなのです。表情の交信、これが読み聞かせの土台です。広い意味のスキンシップです。
  親御さん方とご家庭での読み聞かせの情報交換会をしていますと、「おねしょが減った」「夜泣きが減った」というような情緒面での影響についてお聞きすることがよくあります。言葉の教授による影響か、スキンシップのなせる業か、きっと両方の影響でしょう。総じて読み聞かせセラピーって感じです。こうみると、読み聞かせも奥が深いでしょう。   Yume

<読み聞かせ智恵袋 NO.23>
 2006.12.10
『ふれあい絵本』

 
  「読み聞かせ」をなさっているご家庭から、「ウチの子もやっと最後まで聞いてくれるようになりました」というようなお話をお聞きすることがあります。嬉しいご報告ではありますが、そんなお話をお聞きするにつけ、私自身ちょっと反省することがあります。「読み聞かせ」という言葉のイメージから「親御さんがお子さんに絵本を読んで聞かせるということにこだわっていらしたら心配だな」ということです。「ご家庭での読み聞かせの根っこは『ふれあい絵本』ということであってほしいと願っている」からです。絵本の絵や言葉を通してお子様と親御さんがふれあいを楽しむ、ここが「ご家庭の読み聞かせ」の醍醐味ですからね。いかがでしょうか?肩の力は抜けたでしょうか。 Yume

<読み聞かせ智恵袋 NO.24>
 2007.4.30
『実体験と絵本のコラボ』

   「実体験」は子供ならずとも、印象が大きいもの。その「実体験」と絵本を結びつけるのはいとも簡単ですし、お子さんの絵本の幅がぐーーんと広がりますよ。
 例えば、お正月に読み聞かせした十二支のお話や七福神のお話には、お子さんが体験したことやその時期に頻繁に話題になることがたくさん出てきましたので、1〜3歳のお子さんも大喜びでした。春爛漫の新宿御苑でアウトドアでの読み聞かせした、おたまじゃくし、かえる、めだか、草花などの絵本も人気。そのとき、どんぐりの木を見て、「コナラ」「マテバシイ」と以前秋にどんくり拾いに行ったときに読んだ絵本のことを覚えていた幼児さんがいたのにはこちらもびっくりしました。よほど印象深かったのでしょうね。   Yume

<読み聞かせ智恵袋 NO.25>
 2007.7.17
『はじめての読み聞かせ』

   0歳2ヶ月から読み聞かせを始めた親御さんからお聞きしました。「いないいないばあ」「いいおかお」など6冊の絵本を購入して、毎日読み聞かせするのですが、6冊全部ではなくて、最初の週に2冊、次の週には1冊だけ他のに変え、更に次の週には1冊だけ入れ替えて読み聞かせするというものです。毎週2冊ずつの読み聞かせですが、それぞれの絵本は2週間続けて読み聞かせることになります。毎週1冊を入れ替えるのですから、6冊だと6週間で一回りするそうです。そうやって乳児さんの反応を見ているうちに、継続したり新しい絵本を買ったりと、レパートリーが増えてきたそうです。そして今では本大好き、好奇心一杯に育っています。
  いかがでしょうか?6冊でなくても、5冊、4冊・・・から始めてはいかがでしょうか。市町村のブックスタートなどがあれば、それを利用するのも良いかもしれませんね。   Yume

<読み聞かせ智恵袋 NO.26>
 2007.9.30
『続:はじめての読み聞かせ』

   読み聞かせをしてもお子さんに反応がないという経験、ありませんか?生後何ヶ月から?、何歳から?、色々迷うこともあるでしょう。リズムのあるもの、顔が可愛いもの、字のない絵本など、ファーストブックに使われる絵本から入ると、お子さんの反応が得られることが多いのは確かですが、必ずしもそうならないこともあります。マニュアル的なものが当てはまらないとき、さて、そのときはどうしましょう。大切なことは、結果を性急に求めないということです。ただただ絵本を開いて、お子さんが見ていなくてもお母さんが優しい声で読んであげる、字のない絵本なら自由に語りかける、その時間を持つだけで結構です。反応を期待しすぎないでください。お子さんの耳にお母さんの声を届けるという気持ちでやってみてください。声をプレゼントするということ自体を楽しんでみましょう。「いつかはきっと」と信じて。     Yume

<読み聞かせ智恵袋 NO.27>
 2008.2.3
『誰が楽しむ?』

   読み聞かせを楽しむ時のコツは読み手が楽しむということです。楽しみを見つけるというちょっとした気持ちがそれを手助けするかも知れませんね。読み手自身が絵本の話や描かれている場面を童心に戻って楽しんだり、お子さんの表情や仕草を見つめたりすることで、素敵な発見があることでしょう。読み手が楽しんでいるとお子さんもその雰囲気を感じて、気持ちが乗ってくることが多いものです。
読み手が楽しんでいるのであれば、たとえお子さんの反応がなくても結構です。お子さんの背中に読み聞かせするという気持ちで続けてみましょう。もし、読み手が楽しくなかったら、そのときは中断して、もっと楽しめる別の絵本に移行してみるのも良いでしょうね。     Yume

<読み聞かせ智恵袋 NO.28>
 2008.5.3
『継続が一番』

   前回は「読み手が楽しむ」ということをお伝えしました。その一番の意味は、「継続のため」ということにあります。継続していると、何かの発見があるものです。まずご自身が読みなれてきたという読み手の変化に気づきます。お子さんの変化が直ぐに分からなくても、読みなれるということで十分です。習慣ほど、貴重なものはありませんから。
   「子どもの背中に読み聞かせ」ということもお伝えしましたが、それは習慣のための一つの方法です。だって、最初からお子さんが読み聞かせを耳を澄まして全部聞いてくれるということの方が稀ですから。読みなれるということの後を追うように、聞きなれてくるのが普通の場面ですから。   Yume

<読み聞かせ智恵袋 NO.29>
 2008.8.3
『読み聞かせが義務になってはいけない?』

   ここの「子育てサークル」や「読み聞かせでわが子を本好きにした親御さん」の中には、最初は自分への義務として、一日の延べ冊数や時間を決めて読み聞かせした方も多くいらっしゃいます。「味気ない義務になってはいけない」というのも一理ありますが、読み聞かせの多さはそのような理屈を超えていく不思議な強さがあります。読み聞かせをたくさんしているうちに、読み聞かせの良い面が育っていくというのが本当のところでしょう。量が質を凌駕するとはこのことです。ただ気をつけたいことは、お子さんに義務を課さないようにということです。言葉のチェックをしたり、強制をしたりはしないこと。普通はしませんけどね。  Yume


<読み聞かせ智恵袋 NO.30>
 2008.10.25
『最初は義務感もあったけれど』

  “子育てサークル”に参加された保護者のご感想としてお聞きすることが多いのは、読み聞かせが楽しくなったということです。8月からご参加の1歳1ヶ月のお子さんは、9月のサークルでは、会場にある文庫の本棚から絵本をどんどん引っ張り出して遊んでいました。何冊が読み聞かせしたところ、「くだもの」を食い入るように観ていました。
   お母さんのお話ですと、この一月は「一日に(のべ)10冊も20冊も読み聞かせするようになりました。何回も同じ絵本を読まされ、決まったように同じ場面でとまります。3日間くらい同じ絵本のブームが続いて、次のブームに移るようです」ということでした。この一ヶ月で読み聞かせが生活にすっかり溶け込んできたご様子です。
   また、「おもちゃより絵本を手にすることが増えた」ともおっしゃっています。「言葉を話そうとしたり、指差して何か言ったり、随分変わってきました。最初は義務感で読み聞かせしていましたが、今は親も楽しくて仕方がありません」と、この一ヶ月の様々な変化を嬉しそうにお話されました。最初は義務でも何でも、とにかく読み聞かせを始めてみることです。そのうちに、自然体で読み聞かせをしている自分に気づくことになるでしょう。そんな不思議な力が読み聞かせにはあります。   Yume

<読み聞かせ智恵袋 NO.31>
 2008.9.1
『読み聞かせ会』

   たまには読み聞かせ会の様子でも。先週は2箇所で行いました。0歳の幼児さんから6年生まで一緒です。2箇所、それぞれ10冊以上読みました。「やさいのおなか」「ぼくだんごむし」「へんしんトンネル」「だめよ、デイビッド」「さかさのこもりくん」「タンタンのハンカチ」など、お笑いの絵本、クイズ絵本、ことば遊びの絵本、科学読み物、友情や愛情の絵本・・・色んなジャンルの絵本です。0歳児の乳児さんもじっと見つめていました。最後に生徒さんに「今日のお気に入りの1冊」を挙手してもらったところ、「わんわんわん 捨て犬たちの物語」が一位、「タンタンのハンカチ」が二位。この2冊に集中して票が集まりました。「わんわんわん」は絵が少ないお話ですが、心に響くものがあります。「タンタンのハンカチ」はどちらかと言うと幼児さんが喜びそうな赤いハンカチの話です。同時に大人にも、赤の色の展開の素敵さは魅力的に感じられる絵本です。笑ったり、喜んだり、しんみりしたり、ふーーんとうなったり、がんばれ!と心の中で応援したり、同情したり。読み聞かせで子どもたちの表情の変化を満喫しました。
   ついでに前回の子育てサークルの話も。つたえ歩きを始めたばかりという0歳11ヶ月の幼児さんは、どんどん自分で絵本のページをめくっていました。ページをめくるのを楽しんでいるのでした。一番のお気に入りは「おつきさまこんばんは」です。「いないいないばあ」も好きなようです。顔の絵本は乳児さんには入りやすいですね。生まれてからずーーと、みんなから「可愛いね、ばあ」って顔を見つめられてきたわけですからね。そして、お互いに眼と眼を見つめあうわけですから。一般的に乳児さんが顔の絵本を好む理由はこのあたりにありそうです。読み聞かせ、知れば知るほど面白いものです。


<読み聞かせ智恵袋 NO.32>
 2008.9.29

『読み聞かせの楽しみ』


    “子育てサークル”に参加された保護者のご感想としてお聞きすることが多いのは、読み聞かせが楽しくなったということです。8月からご参加の1歳1ヶ月のお子さんは、9月のサークルでは、会場にある文庫の本棚から絵本をどんどん引っ張り出して遊んでいました。何冊が読み聞かせしたところ、「くだもの」を食い入るように観ていました。
   お母さんのお話ですと、この一月は「一日に(のべ)10冊も20冊も読み聞かせするようになりました。何回も同じ絵本を読まされ、決まったように同じ場面でとまります。3日間くらい同じ絵本のブームが続いて、次のブームに移るようです」ということでした。この一ヶ月で読み聞かせが生活にすっかり溶け込んできたご様子です。
   また、「おもちゃより絵本を手にすることが増えた」ともおっしゃっています。「言葉を話そうとしたり、指差して何か言ったり、随分変わってきました。最初は義務感で読み聞かせしていましたが、今は親も楽しくて仕方がありません」と、この一ヶ月の様々な変化を嬉しそうにお話されました。
   読み聞かせを楽しんで、「お話を聴くのが好き」「絵本が好き」というように育ったお子さんは、何より語彙が豊かになります。幼児期の楽しいひと時に絵本が介在することで、語彙が5000語、1万語、2万語と増えていくことは想像に難くありません。この時期に語彙の数が増えるということには大きな意味があります。言葉はそれぞれの言葉が使われるシーンと結びつきます。一語一語は意味が単独で存在するのではなくて、言葉同士も複雑なネットワークを結びます。読み聞かせを楽しむことによって、イメージする力や想像力、豊かな感受性や言葉の用法の獲得、思考を発展させる力、そんな色々な力が育つのですから、こんなに良いことはありません。
   上の例のお母さんのように、最初は義務でも何でも、とにかく読み聞かせを始めてみることです。そのうちに、自然体で読み聞かせをしている自分に気づくことになるでしょう。そんな不思議な力が読み聞かせにはあります。


<読み聞かせ智恵袋 NO.33>
 2008.11.18
『母親がじーんとする絵本』

    先日の読み聞かせ会で、絵本「ちょっとだけ」(瀧村有子作、鈴木永子絵/福音館書店)を読んだところ、お母さん方から「じーんとしました」というご感想をいただきました。内容をちょっとだけ、ご紹介します。
    あかちゃんが生まれて、なっちゃんはお姉さんになりました。お母さんは赤ちゃんの世話で忙しいので、なっちゃんは色んなことを自分一人でします。お母さんに手をつないでもらうこともちょっと我慢して、お母さんのスカートをちょっとだけ掴みます。牛乳も自分でコップに注ぎました。ちょっとだけなら出来ました。ブランコ遊びもも、パジャマを着るのも、ちょっとだけなけなら自分でできました。でも、寝るときには「ちょっとだけだっこして」とお母さんにお願いしました。するとお母さんからは「ちょっとじゃなくて、たくさんだっこしたいんですけど」という思いがけない嬉しい返事が。そしてお母さんにしっかり抱きしめてもらいました・・・というお話です。
    この絵本についての、絵本ナビというサイトの読者レビューをちょっとだけご紹介しますと、「二人目を妊娠して、娘のことを考えて絵本を探していたところ出会いました。読んでいる途中で号泣してしまいました。」「6歳の子が『ママ、この絵本の女の子の気持ち、分かる。私と同じだ。』と言いました。」「なっちゃんのママのように優しく受け止めてあげられるお母さんでいたい・・・優しく抱っこする場面で涙がこぼれました。娘に、というよりも、自分のための絵本です。」「二人目が出来てもこの絵本を読んで優しい気持ちでいられるようになりたいと思った作品でした。感動して泣けます!」という感想でいっぱいです。あかちゃんが生まれてお姉さん、お兄さんになったお子さんとそのお母さんに贈る絵本です。「ねえだっこして」(金の星社)「どんなにきみがすきだか あててごらん」(評論社)と併せて親子にお薦めの絵本です。
   注:「絵本ナビ」は、絵本を紹介するインターネットのサイトです。


<読み聞かせ智恵袋 NO.34>
 2009.6.15
『子どもがきれいと言った絵本』
 
    おおはくちょうのそら     
        絵本の原画には、水彩、油彩、パステル、切り絵、刺繍、版画、色鉛筆、ほんと色々あります。絵本を読み聞かせするとき、子どもたちに尋ねたり説明したりすると、子どもたちも絵のタッチに興味を示してくれます。
    先日の読み聞かせ会でも新発見がありました。対象は20名ほどの幼児〜低学年です。楽しい絵本、おふざけの絵本、可愛い絵本など10冊ほど読み聞かせした後で、いつものように「今日のお気に入りの絵本」に挙手してもらいました。今回は手島圭三郎の版画の絵本「おおはくちょうのそら」に過半数の子が挙手しました。渋い!ですね。・・・事前に「版画で描かれた」という説明をしたから気を引いたのでしょうか。

     確かに、読み聞かせの途中で「わあ、きれい!」という子どもたちの感動の声がしました。それは死んだおおはくちょうの子どもの姿が空一面に広がったシーンでした。版画の光と家族の哀愁が一体となった美しさを感じたのでしょうか。きっと純粋に感動したのでしょう。・・・北海道をこよなく愛し、北海道の自然をテーマに版画を彫り続けた手島圭三郎さんの一冊でした。


<読み聞かせ智恵袋 NO.35>
 2009.7.13
『大人が感動するなら子どもだって』
 
   絵本「つみきのいえ」     
    
    「つみきのいえ」(平田研也作、加藤久仁生絵)、読みましたか?と2児(年中、0歳)のパパから声をかけられました。以前に「ちょっとだけ」をプレゼントして以来、時々お子様方の読み聞かせの様子を紹介してくれるウィンドサーファーです。ご家族で休日の日に出かけると、本屋さんで過ごす時間が長いそうです。
    「つみきのいえ」、そうそう、アカデミー賞アニメ部門を始め、世界中の映画祭で20の賞を獲得したので先生方もお聞きになったことでしょう。2児のパパさんも、「深くてストレートで、大人が感動する絵本です。絵本ってスゴイなあ」って語ってくれました。
    ストーリーは・・・「あるおじいさんが、水が増え続けるところで上に家を積み上げ、水が増えてはさらに家を積み上げて、ひとりで暮らしていました。あるとき落とした大工道具を探しに海に潜りました。そこで色々なものを見つめます。人生を回想するように。」というものです。
    人生を描いた絵本、大人が感動するという評判ですが、大人が感じるものは実は子どもたちもそれぞれに受け止めているようです。子どもの声を聞きました。「おじいさんのお話で涙がでそうだった(小3)」「また、よんで(4歳)」「おじいちゃんに電話しよう(5歳)」などなどです。パパ、ママ、お子さん、それぞれが受け止めています。


<読み聞かせ智恵袋 NO.36>
 2009.8.10
『0歳8ヶ月の読み聞かせ』

     
   0歳8ヶ月の子に何を読み聞かせするか、お母さんのご質問がありました。本のリストは「ブックスタート用絵本一覧表(NPO法人が出している)」、「絵本ナビ」のHP、「くもんのすいせん図書一覧表」を参考にしました。「絵本ナビ」では、0〜1歳のレビューで人気のもの、「くもんのすいせん図書一覧表」では「8ヶ月だから、5Aというランクの絵本」という具合に。上記の絵本のリストを元に、お子さんが「離乳食で“くだもの”を食べているなら、『くだもの』を」、「哺乳瓶やりんごやネコを知っているなら『のせてくださーい』も良いかも」という具合に、その子の様子に併せて絵本を数冊選びました。その数冊の中から「最初に3冊選んで、一週間読み聞かせしてください。次の週には一冊だけ入れ替え、その次の週にはまた一冊入れ替えてください。きっとお気に入りが見つかると思いますよ」とお伝えしました。
   すると1週間後、「うちの子が絵本を見ていました」とお母さんの歓喜の声が届きました。「3冊のうちでは、これが一番好きみたい」というお母さんの感想付でした。絵本選びの観点の一つを保護者にお伝えて、お母さんご自身がお子さんと一緒に絵本を試してみることで絵本への関心が一気に高まりました。「3冊をもって一週間ごとに1冊入れ替えて読み聞かせする方法」は多くの方に紹介していますが、皆さんから好評ですよ。


<読み聞かせ智恵袋 NO.37>
 2009.12.3
『義務で読み聞かせ』

  読み聞かせは義務では駄目?   
  
   以前にもあった例ですし、よくある誤解ですので、何度でも書くことにします。
   初めての子育てで、「読み聞かせが良い」って聞いたものですから、親の仕事と思って読み聞かせに取り組んだ母親がいました。さて、この親子どうなったと思いますか。そのお母様からお聞きした話をご紹介します。
   最近この子(1歳1ヶ月のお子さん)、本棚から絵本をどんどん引っ張り出して遊ぶのですよ。特に「くだもの」と「おつきさまこんばんは」は食い入るように見ます。この一ヶ月は一日に(のべ)10冊も20冊も読み聞かせしています。何回も同じ絵本を読まされ、決まったように同じ場面でとまります。絵を指差して何か言ったりして、随分変わってきました。最初、私(母親)は読まなくちゃって半分は義務感だったのですけど、今は子どもを見ていると、楽しくて仕方がありません。

   最初は義務感でも、子どもの様子を報告する場(サークル)があったので、失敗談でも聞いてもらおうと軽く始めたのが良かったと思います。自分の癒しになればと読み聞かせを数日続けているうちに、自然体で読み聞かせをしている自分がいたのですね。不思議な力が読み聞かせにはあります。・・・・・と、良いお話をお聞きしました。


<読み聞かせ智恵袋 NO.38>
 2009.12.18
『季節絵本の出番が多い季節』

  
   「まどから ☆ おくりもの」「ねずみくんのクリスマス」「クリスマスイブのおはなし」「サンタさんありがとう」「急行北極号」「アンパンマンのサンタクロース」etc。クリスマス絵本、12月24日に向けてラストスパートです。
   季節絵本の効用は、絵本の中身が周囲にたくさんあるということです。クリスマス絵本の言葉や音楽や風景が身の回りに溢れています。この時期にクリスマス絵本を読むと、言葉や絵を体感できます。臨場感ってものです。
   雰囲気だけではありません。クリスマス関連のモノがたくさんありますので、同じ言葉が色んな場面で使われます。一つの言葉が色んな風に使われることを体感すること、これこそ言葉の意味の獲得の本質です。冬の絵本、クリスマス絵本、お正月絵本、・・・季節絵本や生活絵本、全てのご家庭で、是非是非、楽しんで欲しいと願います


 <読み聞かせ智恵袋 NO.39>
 2010.7.6
『親の絵本?それとも子どもの絵本?』

    
    「おこだでませんように」

     明日は七夕。短冊に子どもたちはどんな願いを書くのでしょう。絵本「おこだでませんように」(くすのきしげのり作、石井聖岳絵)の主人公は、一所懸命に『おこだでませんように』(=おこられませんように)と書きました。そんな積もりはないのに、いつも先生やお母さんを怒らせてしまっている一年生。何故怒られてしまうのか分からない。これからは、おこられないように!と星に願いを書きました。
    この絵本の読者レビューの多くは、「子どもがこんなに思っているなんて・・」「親が考えさせられました」「思わず涙がでました」というもの。他方、この絵本への子どもの感想の多くは「ボクみたいな子だなあ、(主人公に)頑張れ!」「ぼくもお母さんに迷惑かけないようにします」というもの。子どもなりに感じているのですね。
    
    ところで「ちょっとだけ」「小さいあなたへ」「積み木の家」「ラブ ユー フォー エバー」、この「おこだでませんように」などのように、タイトルを聞いただけで涙ぐまれる親御さんがいるような、大人の心にジーンと来る絵本がたくさんあります。読者レビューには上記の絵本に似て、異口同音に「感動しました」「多くの大人に読んで欲しい」「私の宝物です」というようなことが書かれています。
    多くの大人が感動するこれらの絵本を子ども達に読んでみました。子どもレビューはというと、「ちょっとだけ」では「お母さんは(私が)大好きなんだなあ」、「ちいさいあなたへ」は「私もお母さんになれるかなあ」、「積み木の家」では「おばあちゃんに会いたくなった」等々という声が上がりました。子どもは意外に?深く何かを感じ取っていると思わせるような表情を見せてくれました。共感もあれば感動の増幅ということもあるでしょう。
     いずれにしても、大人の絵本、子どもの絵本ということを越えた素敵な絵本がたくさんあるということです。

<読み聞かせ智恵袋 NO.40>
 2011.8.22
『英語絵本は?』

  英語の絵本と日本語の絵本、幼児にとってはどちらも変わりなく楽しめるようです。「はらぺこあおむし」はどちらも人気で、「ぎゅー」は日本語が人気、「くまさん、くまさん、なにみてる」は英語版が人気のようです。
  英語絵本の読み聞かせから、英語の読書に移行したお子さんもいます。海外生活の経験などなく、読書として英語の本に親しんだわけですが、たくさんの本を読んだことで、日本語の読書よりも英語の方が面白いというようになりました。このお子さんの場合は、日本語の読書もそこそこできています。
  結局、「すきこそモノの上手なれ」ということで、幼児〜小学生で読書を楽しむ子であったら、英語も日本語も自然に高い読書レベルに育っていくのが自然だということです。