堀内昭義金融審議会金融分科会第二部会長インタビュー

アクセスFSA 第5号から

「…アメリカの場合は、リレーションシップバンキングの外側に、それと競合する金融の仕組みがあるわけです。例えば、小規模企業とか或いは十分に高い信用格付を得ていない企業といえども、彼らが望めばジャンクボンド・マーケットなど資本市場で資金を調達する可能性があります。そのような競争は、金融サービスを提供する銀行・金融機関にとって、非常に大きなプレッシャーになります。日本の場合には、これまで地域金融の場合において、競争するような仕組みがなかなか準備されなかった面があったと思います。そのような状況が、杜撰な融資選択や不合理なもたれ合いを容認する状況を作ってきたと思います。今後は、銀行・金融機関の情報開示の徹底や、より厳しい競争条件を地域金融にも作る必要があります。」

堀内氏は、金融ビッグバン推進、規制緩和論の中心人物である。

「確かに今、金融システム全体が機能不全に近い状況にありますので、我々としては、できるだけ早くこの問題を解決したいという希望を持っております。そういう意味では金融審議会もそれに向けた努力をすべきだと思います。ただし、解決策を考える場合に日本経済全体のバランスや歴史的条件を現実的に考慮する必要があろうかと思います。例えばアメリカ、あるいはそれ以外の国々の経験は参考になりますが、しかしそこで成功した解決策が日本においても合理的な政策たりうるかを見極める必要があります。資本市場が非常によく発達しているような経済であるか、或いはそういう資本市場の機能を支えるようなインフラストラクチャーとしての情報開示の仕組みとか、格付機能とか、監査制度とかが整っており、人々もインフラストラクチャーの機能に信頼を寄せているなど、金融システムの持っている基本的な条件の違いによって、不良債権問題によって露呈されている金融危機の解決策というものもまた違ってくると思うのです。日本の状況、金融システムの状況というものとマクロ経済全体の状況というものを、できるだけ客観的に判断して、解決策を模索していくべきではないかと思います。」

堀内氏は、日本の歴史的条件を考慮するとしているが、いまさら言うまでもない。日本の金融システムを破壊した金融ビッグバン推進者として、反省が見られない。