私が、初めて生のLESLIEと会うことのできた、記念すべき日の記録です。

ここに載せている写真は、私が普通の簡単カメラで撮ったものです。
そのわりには、きれいにとれました。
VIP席みたいなところにいたせいか、カメラは取り上げられませんでした。

張國榮熱・情演唱會REPORT
 

 2000年8月2日(水)、運命の日。タ食を簡単に済ませ、10ドルコインを握り締め、112番のバスに乗り込みました。いよいよ、本物のLESLIEに逢えると思うと、胸が苦しくなってきます。翌日のこともあるので(自分たちだけでもう一回行くから)、サンディさんにバスの乗り方、下りる合図の仕方など、しっかり習いながら行きました。
 飛行機の中で、(LESLIEの写真は見ないように)と言われていたので、新聞は見ないようにしてきたのだけど、陸橋を渡り、ホンハム體育館の前に出ると、ポスターや生写真を売っている店がいくつもありました。こっそり横目で見ると、なんかロン毛のような… でも我慢して、ブラウンの入り口捜し。これが大変でした。最初入ろうとしたところでは止められて、(あっちだよ)と教えられ、その方向にずっと行って尋ねたら、また戻るほうを教えられました。なんか二階と言っている様な気もしたので、階段を上がってみようとしたら、またこれも止められ、結局はじめ入った入り口まで戻りそうになったので、そこにいる係の人に尋ねたら、そこがブラウンの入り口。ものすご〜くわかりにくかったですよ。
 
 中に入ると、やっぱり体育館。普通の床に、おりたたみのようなつながった椅子が並べて置いてありました。私たちは、ABなので、何と! 本当に! 、前から二番目です。それもど真ん中。  (スゴイ!スゴスギル!・・・・)舞台が結構高くて、アンプとかいろいろ置いてあります。まわりを見回すと、結構男の人がいて、男二人のそれっぽい人たちもチラホラ。「さすが、LESLIEのコンサートやね一」と、となりのフーミンさんと感心して話しました。上のほうは、まだまだ空いています。(ガラガラやったらどうしよう)と心配したけど、だんだんとうまっていき、ほっと一安心。みんなのんびりしているんですね。 私たちの目の前には、何やら怪しい薄い布が、円筒型に下がっています。きっとこの中からLESLIEがでてくるのでしょう。
 
 8時半を過ぎ、やっと会場が暗くなり、もうそれだけでキャー!  結構長いアナウンスがあって、やっとコンサートのスタート。 音楽が始まると、上のほうにぼんやりと LESLIEの姿が見えました! 顔はわかりません。(早く見たい)という私たちをじらすように、じっと動きません。そしてついに、一曲目のイントロが流れました。『夢死酔生』です。音は、ガンガン響いています。

 結局、一曲目はずっと幕の中で、じっと立ったままで歌っていたLESLIE。そのLESLIEが、二曲目の『寂寞有害』で、リズミカルに出てきたときの衝撃!
  ひええ〜〜〜〜〜!  そして、ひっくり返って大笑いしてしまった。 (何なんだ、これは? あの、おばちやんみたいな頭! おまけに、なんと!、おはしみたいなのが二本ささってる!)        もう、大受けです。ワッハッハッ…  思いっきり手をたたいて笑っちゃいました。LESLIEのほうは受けてうれしいのか、とっても楽しそうに歌っています。白いスーツで、両肩に羽根なんかついちゃって、結構かっこいいのに、顔が黒くて、髭もなんか生えててちらっと見える黒い胸も筋肉ついてるみたいで、とっても男っぽいのに、頭だけがおばちやんなんです。
 私は、頭のおはしが、妙に気に入って、だんだんと(これっていいかも…)という気になってきたから不思議です。ひょっとしたら、『大英雄」を愛するファン心理と同じかもしれませんね。だいぶやせてしまっていると聞いていたけれど、すっきりして、背も高く見えて、Verygood!          三曲目の『不要愛他』で上着を脱いで、筋肉がついてムキムキになった腕や背中が見えると、さらに不思議な感じになったけど、こんなLESLIE初めてですよね。
 これまでのLESLIEは、色が白くて、ぽちやっとして、さわると表面が羽二重餅みたいに柔らかそうな感じだったのに、今回のLESLIEはまったく違います。腰の辺は細くなっているのに、腕や、胸、背中は堅そうで、何か塗ってあるのでしょうか? ピカピカ光っています。三月のコンサートの時とは、全く別人のようです。こんなに短期間で、こんなにも体つきって変えられるものなんですね。LESLIEはやっぱりスゴイ!

 曲が終わり、『愛慕』のイントロで、こちらに背中を向けてゆっくりとおはしをひきぬくと 髪が一気にほどけ、おばちやん頭が急にSEXY女性に変身です。思い入れたっぷりに歌い上げながら、髪をゆらしたり、後ろにかきあげたり。キラーウルフのヤッホンの時もロン毛だったけど、イメージが全然違います。男性的な体に、かっこいい振り付け。そして、その中にふと現れる女性的な美しいしぐさ。会場にいる人たちはみんな、LESLIEの魔法で、金縛り状態になっていたのではないでしょうか?
 そうして、おしゃべりタイム。『多謝、イ尓地。…・・(廣東語)……」(わからない) でも、表情たっぷりに早口で、何か言うたび、会場がドッとわいています。この時ばかりは、香港の人が、うらやましくなりました。(字幕があれば何とかわかるのですけどね一。せめて、英語で言ってくれるとだいぶわかると思うんだけど。)
 「Are you ready?」で、そのまま自分で曲名を紹介して、『風繼續吹』を歌ってくれました。右の階段を上がっていってお客さんに挨拶し、今度は左の階段を上がっていって挨拶し、サービスしながら気持ち良さそうに歌ってくれました。そして、退場。
 
 (今度はどんな衣装かな?)と期待しながら二分ほど待っていたら、何か懐かしいイントロが始まり、『儂本多情』です。この曲は甘い甘い声の時の曲だから、その頃の雰囲気で、甘〜く甘〜く歌ってくれました。衣装は半袖で、白に大きな金のスパンコールがいっぱいつけてあって、胸の所は丸くレース編みのような模様になっています。手首から肘にかけては、いっぱいごつい腕輪がつけてあったので、(三月の時みたいに、いくつか投げてくれんかな一)と期待しましたけど、特製なのでしょうね、投げてはくれませんでした。腰には太いベルト、黒のズボンにはでっかいボタンが両側に三個ずつついています。そして、髪は後ろで一つに束ねてあるので、なんかポカホンタスのような感じ。インデイアンの女の子の様な風情が、漂っています。でも、腕は、あくまで男っぽくって、本当に不思議な雰囲気です。ピッタリした服だけどお腹が出っ張っていないので、安心して見ていられます。
 また、おしゃべりタイムがあった後、『怪イ尓過イ分美麗』。後ろのゴムを外して、髪をまた、バラッと広げて歌います。昔の女子高生みたいな髪型が本当によく似合うんですね。おでこが広いから、アグネス・チャンみたいです。
 
 それから、アップテンポの曲のメドレー。『側面』は知っているので大きな声で、一緒に歌いましたよ。途中で、いきなりぴたっと止まり、しばらくして急に別の曲が姶まりました。その曲は、最後、「ちょんど一ん」で終わったのだけど、曲名がわかりません。(あとで、『放蕩』とわかった) 三曲歌った後で、今度はマイナーの切ない曲を歌ってくれました。とてもとても美しい曲。一番と二番の間に録音での長い語り。その間LESLIEはしやがんで真剣な顔で、じっとしていました。本当に悲しそうな曲でした。二番からは、半音上がって、切なさも増して、しっかりと歌い上げてくれました。「ミドシラーミドシラーミソーファミファー、レシラソーレシラソーファファーミ#レミー」
(これも、あとで『イ尓在何地』とわかりました)
 
 このあとでLESLIEが引っ込み、ビデオ鑑賞です。
@欲望の翼…あの時計を見るシーン。A白髪魔女榑…ブリジット・リンの髪が、白くなる所B鎗王…銃を組み立て、いきなり人を撃つところ。C家有喜喜事…家出した兄嫁にはっぱをかけるところ。D星月童話…別れのシーン。E風月…お盆を運んでいる所。F倩女幽魂…お寺に入る所。G紅色戀人…診察を受けている所。Hルージュ…無理心中の所。I戀戦沖縄…手帳を盗み出すところ。J覇王別姫…最後の自殺の所。

 そして、『追』のイントロが姶まったので、(今度は、金枝玉葉だね)と思ったら、着替えを済ませたLESLIEが、舞台の奥のほうの高いところで歌い姶めました。(なんか、へん!)            よ〜く見ると、スカートをはいてます。またまた、(え〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!)でした。大好きな歌だけど、気持ちは、LESLIEのスカート姿の方に行ってしまってましたよ。次の英語の曲はとってもかわいくて、LESLIEは少女みたいにキュートでした。上は、黒のブラウス。黒のネクタイをしているのだけど、あの太い腕が、まったくわかりません。とっても細く、華奢に見えます。仕種も、とっても可愛くて、スカートはいてるのをちょっと照れながら、それでもとってもうれしそうにしながら歌っています。スカートは、白のプリーツスカートで、前掛けのような飾りがついています。どうもスリットが入っているようで、LESLIEがいたずらっぽくスカートを揺すると、ちらっと足が見えました。足は、裸足で、毛が剃ってあって、ぴかぴか光っています。ひざうえの丈なので、ちょっとO脚なのが見えて、これがまた可愛くてとってもいいです。ただ、頭がまたおばちゃん頭で、うしろに髭があって、大きめの簪が挿してあるのが、変わってます。毛先を、右のほうへはねて、羽飾りみたいにしてあるのだけど、それが、見ているうちに、何だかだんだんと似合っているように見えてくるところがすごい。 (曲は『American pie』だと教えてもらった)

 今回のおしゃべりは、と〜ってもうれしそうで、こっちも何か、うれしくなってしまいました。客席からもどんどん声がかかっています。この掛け合いがわかったら、もっと楽しいんでしょうけどね。LESLIEは、もうじき44歳のおじさんなのに、なんでこんなにかわいい表情ができるのでしょうか。本当にチャーミングで、おかしいけど、どんどんひきこまれてしまいました。お喋りのあと、ギターの人が二人と、ボーカルの人が三人出てきました。(全部、男です) そして、五人と、次々にからみながら、楽しそうに『春夏秋冬』を歌い、またおしゃべりしてから、『這世年来』を、CDよりup tempoで楽しく歌いました。曲の終わりでは、ギターと同じメロデイーをいたずらっぽく一緒に歌ったりしていました。
 このあと、五人は戻り、LESLIE用の椅子が持ってこられ、そのちょっと高い椅子によいしょと座ったら、あらら、太ももが丸見え。会場は大喜び!私も、大喜び! さすがLESLIE! やってくれます。みんなカメラを向けて、シャッターチャンス(?)をねらいました。それを知ってるLESLIEは、うれしそうにじらしながら、足を組み直したり、スカートの裾をめくったり…
 
 香港の人は、保守的だといろんな本に書いてあったけど、会場にいる人たちはみんな喜んでいるみたいだったけどなあ。日本からはるばるやってきたファンは、まちがいなく、こんなにサービスしてくれたLESLIEに、大きな拍手を送っていたと思います。
 さて、その後で、椅子を片づけ、『路過蜻蜒』を歌い始めました。この曲は、三月のコンサートで音が合わなくて、やり直したのにまたうまくいかなかったという、嫌な思い出の残る曲です。だから、何か不安で、一生懸命祈りながら聞きました。一回歌い出して止まり、また歌い出そうとしたら客席からの「I love you!」というかけ声にふっと力が抜け、また止まりました。そして、またもやイントロがなって、歌い出したら、とってもステキです。好きなのに、(僕のことは行きずりの蜻蛉とでも思ってて…)と語りかける切ない歌。LESLIEは最後まで全く狂わず、歌い終えてくれました。そして、ジョークで、ほ一っとした様子をしてみせていました。ただ、観客が、三拍子の曲なのに、宴会みたいな二拍子の手拍子を入れるのが、とっても奇妙でなじめませんでした。香港では、三拍子の曲に触れる機会があまりないのかもしれませんね。

 それから、LESLIEは引っ込んだのだけど、何かず一っとしゃべりっぱなしで、そのままバンドの紹介になりました。(録音かな?)と思ったけど、けっこう気合いが入ってるし、一人一人がやってくれる短いパフオーマンスともばっちり合っているので、着替えながら、マイク持ってしゃべっているのでしょう。

 そうして、その後で出てきたLESLIEは、まあ、なんてカッコイイんでしょう。さっきまでの少女(おばちゃん)は跡形もなく消え去り、突然、ビジュアル系のバンドの人みたいになっての登場です。髪は垂らしているだけなのに、胸が苦しくなるくらい、男っぽくて、凄味のある美しさです。表情もきりりとして、背も伸びたみたいに見えました。衣装は、金色のスーツで、中には、薄茶色のような色の、やわらかそうなボタンなしのシャツ。細い腰には、太い茶色の皮ベルトが締めてあって、バックルが横に来ていました。なんてことない、わりと普通の格好なのに、どうしてこんなにかっこよく見えるのでしょうか?
そうして始まったのは、LESLIEの大ヒット曲、『無心睡眠』。梯子車のはしごがつながったような足場がどんどん上がっていき、その下から、全身(顔まで)同じ模様のダンサーたちがいっぱい出てきてすごかったです。一番が終わると、マイクスタンドをくるくる回すパフォーマンス。97年のコンサートを思い出しました。それからまた下りてきて、今度は、ラテンの有名な曲。(ミミミミミレファシーシドレ、レレレレレドミラーラシド…)何でしたっけ?次が、蘇永康の『情熱砂漠』(サンデイさんに教えてもらった。私はLESLIEのしかわからないので…)。けっこう、いい曲でしたよ。

 その次に、舞台中が真赤に染まって、いよいよ『大熱』。 待ってました! 7月28日にCDを買ってから、音とりをして、楽譜に書いて、歌詞を書いて、訳して、繰り返し繰り返し聞いてがんばって覚えてきた曲だから、はりきっていっしょに歌いました。曲の途中で、今度は小さな台に乗って、体をゆらすと、下から風が吹き上がり、長い髪も、金色のスーツも、ゆらゆらと夢のように乱れます。(これも、97年のコンサートを思い出しますね。)くね〜っと横に反らした格好も、両腕を横に広げた格好も、すべてパーフェクトな美しさで「すばらしい」の一言につきます。そして、最後に、いきなりの爆発! 火薬独特の匂いが漂う中、LESLIEは、かっこよく去っていきました。私たちは、口々に、「今のかっこよかったね一。」とか「すげ一」とか興奮しっぱなし。

 すると、今度は、「ア〜〜〜〜〜、ア〜〜〜〜〜〜」という、何やら怪しげな歌声が……。まんなかのゲートが開き、これまた非常に妖しい雰囲気のダンサーたちがゆっくりと出てきます。そして、ベツドが出てきて、その上には女性ダンサーが何人も、からまって乗っかっているようです。そうして、まず一本の腕が伸び、くねくねしはじめました。それから、次々と腕が伸びてきて、一つ一つが別の生き物のように、うごめき始めたのです。(この演出はとってもいいなあ)と思いながら見ていると、こんどはきれいな脚がにょきん、にょきんと生えて、同じようにくねくねしはじめ、そして、ついに『紅』のイントロにうつっていきました。(そういえば、あのきれいな脚には、あの時と同じデザインの紅いハイヒールが…)

 LESLIEは、今度は上下とも黒。髪は両側に、妖しく垂らしています。そして、手にはどうもビデオカメラを持っていて、踊っているダンサーたちを映しているようでした。歌が始まると、だんだんとしたへ下りてきて、ビデオの映像が上の大きなモニターに映りはじめました。時々、ジジッと映像が乱れ、ちょうど『色情男女』でLESLIEが監督をして撮ったと言うシーンのように、妖しく美しい映像になっていましたよ。 よく見ると、おでこに何か模様が描いてあり、両手首と腕の所には、大きな腕輪がはまっていました。下のズボンはエナメルのようなつるつるのもの、上着はシースルーで、點(乳首)が透けて見えるようになっています。97年の時とは全く違う趣向だけど、今回のもとてもいいと思いました。

 続いて、いきなり舞台のバックが、無数の真赤なバラの花の映像に変わり、『枕頭』の始まりです。LESLIEは、マイクを口の所につけているので、全身を使って、妖しく、淫らに、そして美しく、女性ダンサーたちとからみながら歌ってくれました。でも、LESLIEから迫っているときよりも後ろから手を回されて、胸やからだを愛撫されているときの方が、はるかにはるかに妖艶で、艶いて、美しく、SEXYで、(やっぱりLESLIEは、こうでなくっちゃ)と、再認識しました。
 
 そして、曲のラストで、ダンサーたちが羽根をまいたかと思うと、突然、上のほうから、たくさんの白い羽根が、あとからあとから、ふわふわと舞い降りてきたではありませんか!もう、思わず声を上げ、そのあとはため息です。本当に、本当に、夢のようなひとときでした。私たちは、落ちてきた白い羽根をどんどんかきあつめて、袋に入れました。今日の、一番の思い出の品ですからね。
 そのあとの語りの内容が、本当に知りたかった。静かな語りでは、LESLIEのいろいろな思いが語られていると思うから、特に、わかりたいと思いました。

 そうして歌い姶めた『左右手』。いっもCDで聴いているのより、ちょっと速めの様な気がする。でも、心を込めて歌ってくれているのでGood!です。去年大ヒットした曲だから、拍手も一段と大きなものでした。

 そしてまた、おしゃべりがあった後、やっと出ました、『我』! 今回の演唱倉の主題曲とかいてあったので、それこそ、飛行機の中でもずっとMDを聴きながら練習して、ほぼ完壁に歌えるぞとはりきっていたら、な、なんと、國語! ガー一一一一一一ン!  字幕は、両方のモニターに出ていたけれど、せっかく廣東語で覚えてきたのに…。(ポウトウユンローイ)のローイの発音とか、(ヘンヘイソイ、スィンシディクツァンゴー)のリズムとか、がんばって練習してきたのに、なんででしょうね。ここにいるほとんどの人が、廣東語の方が、わかると思うのに、どうして國語で歌うのでしょう?
考えた理由、
その@、歌詞があまりにもすごいので、ちょっと遠慮して、國語にした。
そのA、國語圏でも広く売れるようにした。
このどちらかか、または、両方なのではないでしょうかね。だって、『我』の歌詞を訳したら、ひっくり返りそうになったもの。(う一ん、絶対に他の人には歌えない歌だよね一。これ)と、妙に、またLESLIEを尊敬してしまった…。國語で聴く『我』は、耳に優しく、そして力強く、自信たっぷりに、私たちの胸にドーンと響いてくるものでした。いいです、この曲。

 そして、今日の25曲目は、『陪イ尓倒数』。これも、ヤマを掛けていた曲なので、ばっちり歌えました。(この曲と同じ題名のCDは、本当にいい曲だらけ。オススメです。)一番が終わり、カウントダウンの所でLESLIEは一旦引っ込み、出てきたときには、赤のガウンを着ていて、「魔教教主」LOOK。「さあ、いっしょにカウントダウンをしよう。生も死もどちらでもいい。 どうせ、永遠の生はないのだから、抱き合って数えよう」と言う歌で、なんとなく終わりの雰囲気になりました。ダンサーたちと手をつなぎ、右や左のほうにも移動して、何度もお辞儀しています。(え一一っ?おわり?)まだ、終わらないでほしい。

 LESLIEが引っ込み、ライトも消えてしまったけれど、ここであきらめてはいけません。(絶対にまた出てきてくれる)と信じて、拍手をしながら、叫び続けました。会場もだんだん声がそろってきて、帰ろうとした人たちも戻ってきました。ヒュー、ヒュー、という口笛、「LESLIE!」と言う叫び声、そして、「アンコール!アンコール!アンコール!アンコール!…」
 会場のみんなの心が一つにそろった頃、ついに、LESLIEが出てきてくれました。 出てきたLESLIEは、ぴたっとしたタンクトップに何か裾のほうがやけにきれいなジーンズ。おへそが見えてて、お水を持って、うれしそうに叫んでくれました。そして、ダンスタイムに突入!(立つていいよ)の合図があったから、もう、待ってましたと立ち上がり、うれしさいっぱいで踊りはじめました。むかしディスコに通っていたのはこの日のため?しかし、香港の人たちは、動きが地味ですね一。立たない人もいます。若い人もみんなあんまりリズムに乗ってない。私たち日本人団体は、もうギンギンに乗りまくりなのにね。(ねえ、LESLIE見てみて!)と心の中で叫びながら、ぴょんぴょん跳んだり、手拍子入れたり、ツイストしたり、合の手入れたり、興奮しまくりでした。
 曲のほうは、『H.O』『少女心事』『第一次』『不覇的風』『MONICA』『STANDUP』『TWIST&SHOUT』『STANDUP』と続いていきます。(全部知ってるし、いっしょだったら歌えるぞ一!やった一っ!)もう、終わったときには、汗びっしょり。最高の気分。投げキッスをしてくれたので、つい、私も、両手で投げキッスをしてしまった。(失礼やったかいな?)「多謝、イ尓口地。多謝!」LESLIE様は、満足した様子で去っていきました。

 でも、ここであきらめてはいけない。(がんぱるんだ、香港の朋友たち!) 励ましながら、またも、「アンコール!アンコール!」の絶叫。しばらくすると、ドラムの人がリズムを作ってくれたので、(こりゃ、出てくるな)と期待して、さらに大きな声でアンコール!

 そうしたら本当に、また出てきてくれました。うれしいです。今度は、髪をうしろで一つに束ねています。そして、ぐっとまじめな顔になって、何を歌おうかと考えてから、何か話して、『I HONESTY IOVE YOU』の静かなイントロが流れはじめ、みんな座って聴き姶めました。この曲は、ささやくようなLESLIEの声が、心にしみてくるステキな曲です。(I love you)のところでは、場内から悲鳴とため息。(I love you,too!)の声も……思わず、切なくなって、椅子にずるずるとうまってしまいたくなるほどです。そして、引っ込むかと思ったら、観客の求めに応じて、もう一曲、歌ってくれました。
 
 曲は、『我』。今目、二回目です。さっきよりも、もっともっと心を込めて、力強く歌ってくれました。やっぱり國語だったのだけど、そんな不満は吹き飛んでしまうほど、すばらしい熱唱でした。LESLIEは、本当によく声が出ています。こんなに歌ってくれていいのでしょうか? まだまだ何日も続くのに、最後まで気を抜かず、かえって、一番の気合いでもって歌ってくれたんです。会場にいる全ての人の心に、これまで一生懸命に生きてきた、LESLlEの思いが、しっかりと伝えられたのではないでしょうか? 会場中、心が一つになったような、すばらしい時間でした。曲が終わると、大きな大きな拍手のなかで、LESLIEは、「多謝。多謝、イ尓でい。アンコールthank you!」と言って、去っていきました。

 その後は、もう会場の電気がついたので、あきらめて、もう一度、周りに落ちている白い羽を集めてどんどん袋に入れました。そして、それから会場を出ると、生写真付きポスターや、うちわ、Tシャツなどいろいろ売っています。私たち(フーミン・ユーミン)は明日もまた来るので、そういうのを買うのはやめて、パス乗り場の方へ歩きはじめましたが、キーホルダーが見えたので、「ごめん、ちょっと買ってくる」と言って、一個15ドル(210円位)のキーホルダーを二個買いました。その夜は、それだけ。

 それから、サンディさんの「こんなことは、ないのよ。はじめて!」という話を聞きながらワクワク、うきうき、どきどきしながら帰りました。だって、まだ終わったわけじゃない。明日もまた、同じ席でLESLIEに逢えるんですものね。本当に、二日分、チケットを買っていてよかったです。それと、私たちのすぐ前の席にいた男二人のカツプルは、なんと今日のコンサートの主催者、tom.comの社長親子だったのだそうです。びっくりしました。道理で、サンデイさんのほうにLESLIEが話しかけているように見えたわけですね。この二人は、アンコールの途中で帰ろうとしていたけれど、お客の反応がすごいので、また戻ってきていました。日本のファンの熱烈さが伝わって、日本公演が決まるとうれしいのですけど。

 ホテルに戻ってからも、興奮して寝つかれず、小銭を作る為に買った5ドルの蘋果日報の2面に渡る記事をずっと訳しながら読んだり、LESLIEの衣装の絵日記を書いたりして、3時を過ぎてから、やっと寝ました。




<2000年8月3日 二日目>
 二日目は、もう入り口もわかっているから余裕です。先に、お店をまわり、写真集、Tシャツ、ポスターなどを買い込みました。おまけにくれるポスターのほうがでっかいというのが、何か不思議なのだけど、うれしかったです。60ドル(840円)で、40cm×30cmのポスターと、生写真が1O枚、そして、78cm×51pのおまけのポスターがついてくるのですから、おとくだと思います。

 さて、前日と違うところだけ書くとすると、まず、10曲目の『側面』の次の曲での動き。昨日は、社長親子がいたので、ちょっと上品だったのかも知れない。今日は、バリバリ乗りまくりで、いきなりの腰振りパフォーマンスが出ました。リズムに合わせて、腰を前後につきだすように動かすので、びっくりでした。

 それから・スカートで坐ったときのサービス。きのうは、まだかわいく、かぱっと開いていたけど、今日はそれこそ、がぱ一っという開き方で、すごかった。思わず、「うわっ」と叫んでしまいました。

 そして、そのあとが、びっくり。バンドの紹介の時、昨日はどこかに隠れていて、しゃべっていたのだけど、今日はなんと! シルエットで見せてくれるんです。すごい! 一枚脱ぐごとに悲鳴が上がり、特に、スカートを脱いで、横向きになったときは、会場中からものすごい悲鳴が聞こえましたよ。

 まわりをたくさんの人に取り囲まれ、脱がせてもらったり、着せてもらったりしている間中、LESLIEは、マイクを持って、喋り続け。スカートを脱いだときも 「アーッハッハァ」と自信たっぷりの楽しそうな笑い声が聞こえていました。だから、せっかくのバンド紹介なのに、誰も見てなかつたのではないでしょうか。一人一人のパフォーマンスもほんのちょっとだったしね。

 あと、違っていたのは、アンコールの曲。昨日なかった『倩女幽魂』を、アカペラで歌ってくれたんです。「唱イ尓地 la」と言って、こちらにマイクを向けてくれたので、必死で歌いました。(だって、昨日叫びすぎて、声が枯れてしまっていたんですよね。)

 今回の演唱會の一番の目玉は、やっぱり、何といっても、LESLIEのひきしまった体だと思います。これまでのLESLIEには全くなかった、色の黒さ、弾けるような筋肉。なんか、ボディビルの女の人みたいです。そして、それに加えて、突然のロング・ヘアー、つるつるに毛を剃って油を塗ったような光った肌。そして、スカート!

 全く、男っぽさと、女の色気、少女の可愛さ、すかっとしたかっこよさ、怖いほどの妖しさ、そして、少年の純粋さ。何でもありのコンサートでした。こんなすごい人と、同じ時代に生きて、実際に、間近で見ることができて、本当に幸せだと思います。こんなチャンスをくださったサンディさん、本当にありがとう。今度、日本での公演があるときは、また絶対に行きたいと思います。香港に来て、本当に良かった。
 
 (この演唱會には、サンデイさんに誘われたから、行くことができたのです。)

2000.08.1O YUMIN


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