ハロウィン期間限定で拍手にて公開SS。全5話。
まずは和先生と双子のお話。



とりっく、おあ、とりーと。
おかしくれなきゃ、いたずらするぞ!




「なごせんせー」
「なごせんせー」

今日は子ども達が楽しみにしていたハロウィンの日。
高遠幼稚園では、ご近所の皆さんを交えてちょっとした仮装大会のような賑やかさになっています。

「可愛い黒猫さんたち、こんばんわ」

小分けされたお菓子を籠に入れて待っていた和先生は、真っ先に自分の元へとやってきたお揃いの黒のエプロンドレスを着た園児…ではなく黒猫さん達に気付き、にこりと微笑んでから招くようにしゃがみ込みました。

「とりっく、おあ、とりーと」
「とりっく、おあ、とりーと」

すると二匹の黒猫さんたちは、それぞれ左右に分かれて和先生の腕に抱きついて、そして声を揃えてお決まりのセリフを口にします。

「はい、お菓子をどうぞ。悪戯はしないでね」
「えー」
「えー」

しかし、黒猫さんたちはお菓子を差し出されても喜ぶどころか不満そう。

「…お菓子をあげたのに、なんで嫌な顔?」

可愛い園児達のため、料理上手な事務員の日織さんを中心にせっせと作った手作りお菓子なのに…とがっかりする和先生でしたが。

「なごせんせー、うちらおかしがいやなんとちがうよ?」
「うん、ちがうよ」
「え?」

和先生がしょんぼりと肩を落とす姿に、黒猫さんたちは声をハモらせるように勘違いを訂正します。

「おかしはありがとー。でも、いたずら【も】させて」
「いたずら【も】させて」
「は…?」

お菓子を持ったまま固まっている和先生の手を握り、そう言ってにっこり微笑むと、黒猫さん達はまたしても和先生の腕にしがみつきました。

「ちょ…あやめちゃんたち、まさか最初からそのつもり…うわああ離してー!」

黒猫さん達がぐいぐいと引っ張るものですから、和先生が身の危険を感じた時には既に遅く。




「お待ちしてましたよ、お二人さん。上手いこと和先生を捕獲できましたね」




いつも絶やさぬ笑みを更に強力にしたような…つまり何かを企んでいそうな顔で待つ、着流しに白い割烹着が眩しい日織さんの前へと連れて来られていました。





とりっく、おあ、とりーと。
おかしくれなきゃ、いたずらするぞ!


ハロウィンではお馴染のこんな台詞も、峰塚さんちの双子の場合はちょっと訂正いたしまして。



とりっく、あんど、とりーと。
おかしくれても、いたずらするぞ!



…さてはて、和先生はどうなることやら。

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