◆切り花を長く楽しむために

買ってきた花や、プレゼントされた花は、まず、水揚げすることが大切です。
家に届くまでに少々時間がたってますので、 “お疲れさま”といった気持ちを込めて、活ける前に、切り口を新しくして、花を清潔な水に入れておきましょう。 この時、大半の花は、水の中で茎を切ることで、再び元気を取り戻してくれます。これが基本です。 ただし、植物の中には、これでだけでは、なかなか水が揚がりにくいものもあります。

ここでは自宅でできる水揚げの方法と日ごろのお手入れをご紹介します。

ちょっとした心づかいで、花の寿命はのびるもの。美しさを保ち、長く楽しんで下さい。

水揚げ方法

■大半の花に有効な、基本の水切り方法
水の中で茎を2〜5cmくらい、斜めに切って、水から上げずに30分から1 時間くらい休ませてあげます。この時、前もって、水につかる部分の葉を 取っておきます。葉は水を汚したり、花を腐らせる成分を分泌させるもの がありますので、くれぐれも葉を水に浸さないようにします。大体の切花 は、これだけでOKです。

*水切りだけでよいもの カーネーション・ユリ・フリージア・アイリス・アネモネ・スイー トピー・ ポピー・矢車菊・スターチス・デルフィニウム・グロリオーサ・カラー・アスターなど

■茎が固いものや、細い枝ものには、手折り方法
キクやリンドウなどの茎が固いもの、コデマリやユキヤナギなどの細い枝物は、茎の根元から5cmくらいのところを手で折って、水につけます。できれば、水の中で折ると、もっと効果的です。

■花がたくさんついているもの、葉がすぐ乾燥してしまうものは、熱湯揚げ方法
切り口から5cmくらいを、20〜60秒ほど熱湯につけ、すぐに水に移します。熱湯につける時間は、茎の太さや強さによって調整します。 花がたくさん付いているカスミソウやストック、葉が乾燥しやすい、ヒマワリ、マーガレットなどは、この方法をとるとよいでしょう。

■強力なショック療法、焼く
切り口から2〜5cmくらいをガス火などで炭化するまで焼き、すぐに水 につけます。この時、花や葉に熱気があたらないように、ぬらした新聞紙 などで、根元以外はガードします。アザミ、シャクヤク、アスチルベ、バラなど 。

■茎の固い枝物は、砕く・割を入れる
コデマリ、テッセン、アカシア、シュウメイギクなどは、根元から5cmくらいを木槌などで、砕いて水につけます。ただし、砕きすぎて切り口を つぶさないように気をつけて。砕くのは、吸水面積を広くすることが目的 です。 また、茎が固い枝物は、ナイフやハサミで、切り口に縦横十文字の切り 込みをいれてから、水につけるという方法もあります。下から5cmくらい の皮をナイフで削っておくと、さらに水が揚がりやすくなります。

■萎れかけた花には
花を逆さまにもって、切り口の方から水をかけます。そのあと新聞に包み水揚げします。

■花別の水揚げ方法(花屋さんでよく見かける花の水揚げ方法です。)

                         
バラ水切り・砕く・焼く シュウメイギク水切り・熱湯揚げ・焼く トルコギキョウ水切り・手折り
チューリップ水切り・熱湯揚げ コスモス水切り・熱湯揚げ グラジオラス水切り・熱湯揚げ
コスモス水切り・熱湯揚げ カスミソウ熱湯揚げ・焼く マーガレット熱湯揚げ
キク水切り・手折り ナデシコ水切り・熱湯揚げ アルストロメリア水切り・熱湯揚げ
ブルースター熱湯揚げ リンドウ水切り・手折り ケイトウ水切り・熱湯揚げ
お手入れ方法

■花瓶の水は毎日とりかえる
花は生き物ですから、新鮮な水が何よりのごちそうです。また、茎から出される有機物によって、花が枯れていくスピードが早まります。こまめに水を取り替えてあげましょう。花瓶の水はたっぷりと入れます。もちろん、水につかる葉は取り除いて。 *注意 ガーベラ、アイリス、グラジオラスは花の性質から水を少なめにします。

■切り戻しをする
  花に元気がなくなりかけてきたら、茎を少し切り直します。(これを切り戻しといいます)茎がぬるぬるしてきたら、洗ってあげます。

■できるだけ涼しい場所に
  花はできるだけ涼しい場所に飾ります。ただし、涼しいからといって、 エアコンの風が当たる場所はいけません。花を傷めてしまいます。その他、直射日光の当たるところやテレビやガスレンジなど周辺の温度が変化しやすいところも避けた方がよいでしょう。

■ちょっとひと工夫
●フロストシュガーを入れる
花に砂糖をあげるとよい、ということを聞いたことはありませんか。砂糖は花にとっても栄養になりますので、ひとつまみほど花瓶に加えるとよいでしょう。ただし、普通の砂糖は吸収できませんので、必ずフロストシュガーを使って下さい。
●酢またはアルコールを混ぜる・十円玉 を入れる
酢やアルコールには殺菌効果がありますので、水の腐りを遅めてくれます。また、十円玉 を入れておくと、水中の有機物質が十円玉に付着して同様の効果が得られます。
●液体石鹸を数滴入れる
液体石鹸には、界面活性剤といって、水の粘り気を弱くして、植物が水を吸い上げる力を強める働きがあります。

■花の延命剤でラクラク長持ち
  市販されている「花の延命剤」は、その名の通り花が長持ちさせるための成分が入っています。延命剤を使うと水を取り替える必要はありません。忙しくて水の交換を忘れてしまいそうな方は、延命剤を利用すると便利です。