山口の伝説
その他


北向き地蔵様
〜宇部市〜

  宇部市西岐波上片倉に、北向き地蔵が立っているが、今からおよそ百五十年ほど前、

このあたりで武士たちが乗馬の練習をしていた。

ふしぎなことに、乗馬の練習をしない夜でも、馬のひづめの音がして、

付近の村人たちは眠れずに困っていた。

  それを聞いた殿様が、馬場のまわりを調べさせたところ、

そこからむかしの武士の墓がつぎつぎと出てきた。

そこで、たましいをなぐさめれうため、そこに地蔵をたて、供養(くよう)をした。

それ以来、ひづめの音は聞こえなくなったという。

おわり


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陶ヶ岳の観音様
〜山口市〜

  山口市南部の陶、鋳銭司、名田島のさかいに、陶ヶ岳という山がある。

この山には、切り立った岩場があって、今では山口県山岳会の岩登りの練習地として有名である。

その大岩の東北の「がわに大きなほらあながあって、そこの観音様のお堂がある。

  むかしむかし、ある村人が、この山からふしぎな光が出ているのを見つけ、村中が大さわぎになった。

そこで、こわいもの知らずの若者がその光の出場所をさがしに山に登った。

あるほらあなに入ってみると、そこに一体の観音様があり、その両眼が金でできていて、それから光が出ていた。

村人たちは、そこのお堂を建て、観音様をだいじにおまつりした。

  ある晩、ぬす人がほらあなに入り、観音様の片ほうの目をえぐり取ってにげようとした。

すると、観音様が残った片目をしずかにあけて、

「そんなに貧乏してこまっているのなら、両眼をやるから取っていけ。」

と言われた。

さすがのぬす人も、おどろきあわてて、にげてしまったということである。

  このなさけ深い観音様の話がつたわると、「陶ヶ岳の観音様」といって、村人たちはいっそうだいじにしたという。

おわり


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