はじめに

この医療体術、健康体操は、大正5年に、香川県坂出市出身の治療術の天才・中井房五郎氏により、創案され、当時の実業家十文字大元氏によって推進普及され、最盛時はその人口350万人と言われました。ラジオ体操が普及される以前の国民体操でもあったわけです。

(社)自彊術普及会会長・医学博士 近藤 芳郎 実技指導 幸世

自彊術より

日本最初の健康体操 自彊術 その神髄と医学的効用 「改訂新版」 朝日ソノラマ

著者と自彊術 医者と自彊術

医学的効用 自彊術の医学

構造と特徴 他の運動との違い

注意点 必ず守ること

会員の声 何故続けるのか

抜粋

1,著者と自彊術。

  私は昭和44年、53歳の時糖尿病になりました。医者というものは、患者を診療するときは、自分の医療歴に基づいて、ある時は気軽に、ある時は、ものものしく、診断投薬します。ところが自分が病気になると、大変な物です。

 糖尿病はインシュリンの欠乏による疾患で、メカニズムはかなり複雑で、治療法は確立しておりません。血糖を下げる薬はいろいろありますが、これは血糖値をコントロールしているだけです。根本的な治療は昔ながらの、適度な運動と、適切な食事療法につきると言うことです。

 当時の私の体重は78k、身長163pですから20kの肥りすぎです。標準体重の58kに戻って、血糖値も食前100ミリ以下になり、治癒しました。食事療法は教科書通り、カロリー食品置換法を実行しましたが、無類のアルコール好きで、毎日、ビールにウイスキーですから、虫のいい話で、医者の不養生に輪をかけたような話です。

 そこで運動療法と言うことで、ハードな運動も考えました。ゴルフもマラソンも、縄跳びなども。マラソンは2〜3日でダウン。1日2Kの速歩も毎日続きません。そこで巡り会ったのが、自彊術です。12年前から94翁、公家恒衛先生から手ほどきは受け手いたのですが、信用もせず、熱心では有りませんでした。でもこれしか頼る物がないので、毎朝10分、6ヶ月続け目的達成しました。

2,自彊術の医学的効用

 1、歴史的発展。中井房五郎氏の按摩、マッサージ整体術から発している。これは淵源をたどれば、中国医学の按きょう導引術にあるので、単なる健康体操でなく、治療術と言える。

2,全身性を持っていること。事に、筋力をあまり使わない。そのメカニズムを見るに、全身の240の可動関節が延べ一万数千回動くことになる。これはスポーツ医学の循環・神経反射等の生理学的効用より遙かに重大な意義を持っている。

3,特殊な深呼吸法。現在ではエアロビクスは保健運動の主流になっているが、東洋医学では5千年来。これが健康と長寿を保つ神仙の術とされてきた。

4,治療から出発したため、按摩、マッサージ、指圧の手技が、随所に取り入れられている。叩打法、しっぴ法、指圧。自分一人でやれる按摩と思って良い。

5,皮膚の鍛錬も加わっている。免疫力が増大できる。

6,精神統一的な心理作用で、ストレスの解消になる。

以上の医学的根拠に基づいて、次の疾患の治療、予防に応用できる。薬品、器材による副作用は全くない。またたとえ、一時的な苦痛は有っても、他力でなく、自力なので、自然的コントロールも可能である。

効果のある病気等

 @ 成人病 肥りすぎ・高血圧・動脈硬化症・心疾患・腎疾患・糖尿病・慢性肝炎・慢性胃腸病。

 A 更年期障害。自律神経失調症。心身症。

 B 精神・神経障害症 ノイローゼ・うつ病・不眠症・マネージャ病・膠原病

 C 整形外科的疾患 むち打ち症・神経症・リュウマチス・椎間板ヘルニア・肩こり・40肩・50腕・ぎっくり腰・脊柱湾曲    症・筋萎縮症

 D 脳出血・血栓症のリハビリ。寝たきり老人の自彊術。

 E 受験期少年の頭脳明晰法。

 F 勤労の疲労回復運動・職場体操。ゴルフ、競技スポーツのプレッシャー予防。

 G 家庭で行う健康体操。

 H 身体のプロポーションを良くする美容体操。

3,自彊術体操の構造と特長

   1,自彊術体操は31動から、成立しているが、この31動全体を持って一つの体操である。故にこの体操は順繰りに、準備運動ともなり、治療ともなる。互いに相関連して不可分の関係にある。一つの運動に効果があるからと言って、他の運動を行わないと、かえって悪くなることがある。あくまで一気にしなければならない。

  2,我々の身体は、足の爪から、頭のてっぺんまで、各部の機関が連絡して、全体をなしているので、全身をうごかせるようにできていて、決して、部分的な物では無い。

  3,自彊術は身体の一部にのみ集中し、俗に言う、力をためる物ではない。これが、労働とか、、他の運動競技、武術と違うところであって、血液が有る部分にのみ集中、鬱血したり、骨格筋肉を、不平均に、身体を、発達させる物ではない。

  4,自彊術は身体の動きうる極限まで持っていくために、前動作はずみをもっておこなう。

  5,人の身体には動かしうる限度がある。自彊術が、規定する限度まで動かしうるものは、完全な健康体である。出来ない人は、故障が有るためで、これが、健康のバロメーターになる。

  6,自彊術によって、会得した反射的な身体の動きは、自分の疾患を癒すばかりでなく、不慮の事故、又は敵に襲われたとき、思いもかけない効果を発揮して、致命的なけがを避けることが出来る。

  7,従来の体操運動は、多くは部分的で、単に、手とか足を動かすにとどまり、外部運動を主とした物で、外部から内部に効果を及ぼす物ばかりである。しかるに自彊術は”内臓”の運動を持って、外部に及ぼすことを重大視する。

 8,自彊術は第1,2,4,以外は号令発声を伴う。これは単に、咽・声帯の運動のみでなく、深呼吸をすることになり、腹の鍛錬に、著しい効果が合ある。

4,自彊術を行うときの注意。

  1,自彊術を行うときは必ず、排尿をする。

  2,着衣は、寒中でも、上半身、シャツ1枚。薄着。動きを自由にするため。

  3,食事後は行わない。した後も30分以上、お茶、水は避けること。

  4,風呂も1時間以上、血液循環鎮静後にすること。

  6,朝晩2回やれば、必ず健全になれる。

  7,出来ない体操は、無理をしない。苦痛を感じ無い程度にすること。、端座でも、寝ていても、出来る。

5,みんなの声 

                「二本松教室10周年記念誌」より

1,義父のように Eさん

 義父は今年90歳です。毎朝晩、肋骨に指を入れて体操する姿を見て、変な体操だと思っておりました。80歳のころも僕は疲れを知らないと言っておりました。私自身も血圧が上が、160あったのが、検診で120となり、改めて、そのすばらしさを、感じております。

 2,柔軟性を求めて Aさん

 日頃から体の調子が悪く、疲れが溜まる性格で、肩や腰が棒のようになる毎日でした。それを見かねた上司が、自彊術に誘って下さいました。初日に講師の先生の柔らかさに驚きました。1年半がすぎて、疲れも溜まらなくなりました。まだまだ身体は堅いのですが、以前の私とはずいぶん違うのを実感しております。

 3,身も心もリフレッシュ Fさん

 出会いは6年前の成人病検診の時でした。いらい実力はいまだに上達しませんが、恩恵はしっかり受けております。肩こり、が持病で、はり、マッサージに通っていましたが、現在は行っておりません。教室を通して友だちもでき、教室のある日は、先生を中心に、心身共にリフレッシュして帰る日々です。

 4,やれるとこまでやろう Hさん

 自彊術をやろうと決心しても、長続きはしないと思い、忙しくても5動までまでなら、何とか続けられると思い、寝る前に、布団の上で、必ずやってみることにしました。                                             肩のこりが取れたので、、「もうちょっと増やそう」と、13動、15動までやり、腰痛の時は29動をプラスしていました。始めて6年、風邪薬飲むことが無くなりました。又午前中は頭がボーとしていたのも無くなりました。以前より体力ついてきました。

 5,自彊術で、身体の回復を Aさん

 私は62歳の主婦です。短時間ですが、仕事にも出ており、風邪もひかないので、年の割には健康だと思っておりました。ところが法事で、久しぶりにあった子供達から、背中がずいぶん丸くなったねと言われました。スカート、ワンピースどの服着ても、裾が平らにならず、身体が、傾いていることに気付きました。すぐに病院に行きましたが、老化現象と言われて、何の手当もありません。入会2ヶ月ですが、朝の内は身体が真っ直ぐですが、午後は疲れるのか悪い姿勢に戻ってしまいます。でもまだ真っ直ぐになるときもあるのだから、手遅れでは無いと思い、これ以上曲がらないようにと頑張っています。