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化学物質過敏症とは(CSとは)

 化学物質過敏症は、身のまわりにある化学物質が原因で、体に様々な症状が出る病気です。原因となる化学物質は、自動車の排気ガス、タバコの煙、農薬、洗剤などをはじめ、多くの生活用品に及びます。

  症状は、全身にわたって現れます。私は、一般の人に症状を説明するのに、次のような例えを用います。

「風邪をひいて今にも寝込みそうな状態」と、「ひどい車酔いで、いても立ってもいられないような状態」をたし合わせたもの

◆ 風邪のような症状・・・頭痛、喉の痛み、だるさ、息苦しさ、咳、全身の関節の痛み、鼻水、めまい、ふらつき、頭がボンヤリする。
◆ 車酔いのような症状・・めまい、吐き気、むかつき、悪心(気持ち悪さ)、気が遠くなる感じ


 症状は慢性的なもので、何年にもわたって続きます。健康な人であれば、風邪や車酔いは治るものですが、化学物質過敏症患者の場合、それが切れ目なく続きます。

 日常的に続く慢性的な体調不良に悩まされる中で、特に有害で濃度の高い化学物質にさらされると、症状が悪化します。その物質を取り除けば、症状は軽くなります。このような症状の悪化や回復の波を繰り返していくうちに、患者は、原因となる化学物質を何としても避けたいと思うようになります。原因となる化学物質を取り除くことができれば、激烈な症状が改善するので、患者は原因物質から逃れることを強く望みます。そして、化学物質を避けることが、最も有効な対処法、治療法でもあります。

 しかし、原因となる化学物質は、日常生活でごく普通に使用されているものなので、それを避けるのは、難しいです。自分が使用するものだけではなく、家族や周囲の人が使用するものにも反応します。そのため、家庭生活が困難になったり、学校や仕事に行けなくなるケースが多いです。

 重症になると、住むところや、食べるもの、着るものが見つからなくなってしまう人もいます。住むところがない患者は、車の中で暮らしたり、野外にテントを張って暮らしている場合もあります。一般の人々から見て、常軌を逸したように見えるこのような生活ぶりも、化学物質による苦痛があまりにも大きいので、それから逃れるためにやむを得ずとっている処置なのです。

(CS=Chemical Sensitivity)


原因となる化学物質 (当サイトでのアンケート結果より)

香料(香水・芳香剤など)
農薬(殺虫剤・除草剤など)
タバコ
合成洗剤
排気ガス(自動車・ボイラーなど)
有機溶剤(塗料など)
野焼きの煙
蚊取り線香
新築の建材
防虫剤 など


症状 (当サイトでのアンケート結果より)

頭痛
倦怠感
呼吸困難
呼吸器の痛み
のどの腫れ・つまり
胸・心臓が痛い
めまい
動悸

思考力低下
背中の痛み
目の痛み
リンパ腺の腫れ
手足のしびれ など


定義
 「化学物質過敏症」は、1950年代にアメリカ人医師セロン・ランドルフが提唱した新しい疾病概念です。その後、医師・研究者たちが、様々な定義や名称を唱えてきました。 現在でも、統一された定義は決まっていません。その中で、最もマルガリータの実情に合っていると思う「コンセンサス1999」*1 の定義を、ここに引用します。

「化学物質過敏症」は、次の項目を満たす病気です。

1.化学物質に(繰り返し)曝された場合、症状が再現性をもって現れる
2.慢性的である
3.過去に経験した曝露や一般的には耐えられる曝露よりも低い濃度に対して反応を示す
4.原因物質を除去することによって、症状が改善または軽快する
5.関連性のない多種類の化学物質に対して反応が生じる
6.症状が多種類の器官にわたる


名称
 様々な呼び名があります。世界的に、最も一般的な呼び名は、「MCS(Multiple Chemical Sensivity)」、翻訳すると「多種化学物質過敏状態」です。日本では、北里研究所病院の医師たちが中心に、化学物質過敏症の研究をしています。北里病院では、ダラスの環境医学研究所の流れを汲んで研究しているため、呼び名もそれにならい、「CS(Chemical Sensivity) 」を採用しています。そのため日本では「CS」という呼び名が一般的になりました。このサイトでも、化学物質過敏症の呼称として、日本で一般に用いられている「CS」を使用しています。


*1:1999年夏のアトランタ会議にてアメリカの研究者たちが合意したもの

参考資料:
「室内空気質と健康影響」室内空気質健康影響研究会/編集;ぎょうせい/刊
デンマークEPAの報告書 多種化学物質過敏症、MCS」化学物質問題市民研究会
「多種化学物質過敏症:1999年合意事項(全文)」Co-Cure-Japan


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