プロローグ
〜Last Start〜
「タケイシ・ノリタカ」
海外を志す釣り人でインターネットをしたことがある人ならば、
もはやその名を知らぬものはいないと思う。
氏との出会いが俺をこうさせた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
3年前、高校3年の夏の夕暮れ
図書館の閉館時刻、
参考書を閉じた俺たちは、コンビニ前で毎日のようにスーパーカップ(主に豚キムチ)をすすっていた。
「あと半年、あと半年、開放!開放!」
と毎日のように叫んではみるものの
大学で何をしているのかイメージできなかった。
何をしていくのかもわかんなかった。
仲間内全員が“とりあえず医学部”を変更、考え直し、
まったくもって
「脅迫感あふれる手持ち無沙汰」
“終わり”を待ち望みながら“判決”を直視したくなかった。
そんな中、出会ったHPがあった。
世界怪魚釣行記
何度も、何度も、何度も読み返した“聖地”での冒険行。
ふっと霧が晴れた気がした。
「大学を出て何をするのか?ではなく、大学そのものを楽しみに行けばいい。」
そして思った。
「このメガネのおにいさん、誰よりもカッコイイ」
一身上の事件もあいまって、
平坦ではなかったけれど、
俺はもくもくと机に向かった。
添削プリントが帰ってくる。何度見直しても計算が合わない。
「なにが『質実剛健 自主自律』じゃボケ!!この受験少年院がぁあああ!!!バ○ドメFuckin!!」
「くされティ○ボ!適当すぎるんやぜT戸!人事や思ってシレっとT大とか言うなま、H野!MASAMI、助けて・・・」
と先生方に暴言を吐き、発狂しながらも
シグマだのインテグラルだのと格闘した。(今はその言葉の意味すら忘れた笑)
(しかしこのバ○ドメ教員の数学縛りをはじめ、様々な先生にイヂめられたことが後になって実を結んだ。今はすっごい感謝してます。T岡高校、楽しかったです。いまはありがとうといえそうです 笑)
投げ出しそうなときはこのHPをみて
熱くなり、釣竿をいじり、
「ウリャー!」
とノートパソコンをバタンと閉めて
またもくもくと机に向かった。
「国語?俺は日本人だから大丈夫だ!」
「ヒアリング?選択問題は俺の十八番だ!」(幽介風・笑)
根拠ない自信で突っ走った(笑)
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「前期試験が落っこちたら、後期試験で仙台に行く。そうすれば帰り道に秋田に寄れる」
そう思って俺はまたも青春18切符で富山を出、東京へ向かった。
前期試験の発表(不合格)を見て、
実はちょっとうれしかった(不謹慎だな 笑)
「これで武さんに会える♪」
東京から仙台へまたも青春18切符で向かう鈍行列車の中
(旅に出るため、この時点で節約を開始してたの。笑)
「シベリア鉄道乗換え、東北を目指します〜♪」
(GoingSteady銀河鉄道の夜)
と俺は無駄に上機嫌だった。
現在住んでる寮の空き部屋に1泊三百円で泊めてもらい、
何もなく、暖房の調子すらおかしい部屋で寝袋で寝た(笑)
すでに「受験すら“旅的”や〜」とウキウキしてた。
・・・後期の試験会場を誰よりも早く飛び出した俺は、秋田行きの高速バスに飛び乗った。
試験結果などどうでも良かったし、ぶっちゃけ数学が終わった時点で合格は確信していた。
(5完半/6問。バ○ドメ先生、ありがとう!あなたがいなかったら俺は1問も解けてない自信があります。笑)
その日の夜の秋田駅中央改札前、俺は初めて武さんに会った。
・・・こんな頭のおかしい人、初めて会った(笑)
ビール&赤ワイン、現在も変わらぬその組み合わせは
もう、最高に美味かった。
こんな美味い酒は初めてだった。
タイメンの頭に驚愕し、
パイクの牙に触れてゾクゾクした。
ワニの釣り方講座。サギやモズ(鳥)を釣る方法を検討・・・
すべてが違法の泥棒釣り、すべてが常識外れの草魚突き・・・その会話はすべてアホすぎた(笑)
目標となる人と出会えたことに、
おれはマジで感謝した。
はっきり目標ができた時、俺は必ずやり遂げる。
「いつか、俺もきっと・・・」
いや、“いつか”じゃない。
秋田と富山、この雪が解ける頃には必ず・・・。
そして俺の大学生活がはじまった。
初のマタギ遠征、初めて雷魚を釣った(釣らせてもらった)。
タイではシャドーとバラ相手に一緒に竿を出した。
草魚突きでの一大ムーブメント(笑)
2回目のマタギ、ラージの3桁釣り・・・
冬のスモール狩り・・・
そしてPNG遠征。
一緒にこの地にこれて、本当に良かった。
当たり前のように“闘神”を狩った武兄。
・・・少しは今までの恩返しができましたカ?
そしてしっかりマラリア入院事件・・・(笑)
つい最近も鯰祭りでお世話になったばかりだ。
この人の周りには、常にネタが溢れていた(笑)
どうしようもなく壊れていて、どうしようもなく最高なのだ(爆笑)
追いつけるかな?と思っても、そのまた一歩先を走ってる。
その背中を追っかけて、俺はここまで来れました。
そんな“金魚の糞”として楽しみまくってきた2年半。
ここで一つ報告しなければならない。
海外への釣行はこれからも続けるだろう。
“湿原の大魔神”を狩るまで、俺のパプアは終わらない。
ただ
“世界行脚釣行録”という名を冠した旅には、これでピリオドを打つ。
これは大学に入る前から決めていたこと…。
「3年夏までに5回、海外へ釣旅に出る」
仲の良い連中には、学ラン姿で話していた。
すべて「5回で一つ」、この“世界行脚釣行録”の完遂のために調製してきた。
単位の取り方も、将来への資格取得、そもそも大学選びでさえも・・・。
“終わり”を決めていた事で、毎日が最高に充実してた。(鬱に沈んでるときもあったが…)
「夢、理想だけでは食っていけない」
言いたい奴には言わせておけばいい。
「“一般的”な尺度でも、俺にツベコベ言わせはしない。」
「なぜこれだけの時間が確保できる?」
そんなもん、「やりたいこと」をシンプルに決め、見据え、
「その完遂のために“今するべきこと”は何か?」を常に考え、先手を打って動く。
10年後、20年後・・・そんな先などわからない。
“将来”、そんな言葉には“不安”としか思い浮かばない。
ただ、1か月後、半年後、そして5回の放浪の後・・・、
ちょっとだけ先の未来の「なりたい自分」を何度も何度も思い描いた。
「○×△が終わったら、みんなで美味い酒を飲もう!」
そんなシンプルな感じで、いつも「ちょっと先の幸せ」のために全力投球でやってきた。
周りに流され“なんとなく居心地がいい”では“なんとなく終わっちゃう”・・・そんな気がしたんだ。
・・・20歳の俺が言うのもなんだが、あと60年ってきっとそんなに長くない。
経済面にだけはトラブルがあったが、
最終手段、“奨学金という名の無利子借金(笑)”も1年の頃から実はこっそり蓄えてある。
悪いが、すべて二段仕込み(笑)
抜かりはない。
バイトで貯めれるだけ貯めて、俺は何が何でも出発するよ!
たかだかン万円という金より、何十日という時間を確保できる“今”という時間が大切だから。
「“今せんなんこと”やられか。」
(“今やるべきこと”をやりなさい。富山弁)
おかんにそう言われて18年間育ててもらった。
「何をやってもいいけど、“自分のやりたいこと”は自分の力でやり遂げなさい」とも。
はじめはさすがに心配し、旅に否定派だった両親も、
今はもう何も言わず、むしろ協力してくれる。(あきらめられた?笑)
「金で買えるものなんて安いもんや!」
そう言い切ったオヤジ。(金ないくせに 笑)
あんたらに毎週末連れて行ってもらった山菜取りやキノコ狩り。
野を愛でる心、自然の中で遊ぶということ。
そして、“ゼニをかけるだけがカッコイイ”という訳ではないってこと。
「体の中に貯金しなさい。」
水泳、剣道、習い事・・・。
それは異常に丈夫な体(笑)と、不屈の精神力と、クレバーな脳ミソとなって、
今の俺を支えています。
最後の舞台はユーラシア。
満を持して、最後に俺は武さんの土地に行く。
草原を馬と駆け、必ずや“鬼”を抱いてくる。
そして・・・
“世界行脚釣行録”が“世界行脚釣行録”である意味。
満を持して俺は挑んでくる。
“絹の道”を越え、この大陸に“大地震”を起こしてくるゼ!
「大学卒業後、何をする?何をして飯を食っていく?」
帰ってくる頃には友人たちも就活にうごきだす。
そろそろマジメに考える時期に来た。
スカして、笑って、バカやって…。
「夢」とかカッコイイ言葉は照れくさい。
「野望」・・・うん、俺にはこの言葉がぴったりだ(笑)
固まりつつあるイメージ。
「もう一つの卒業論文」
この旅で、きっとまとめ上げてくるよ!
俺たちクソガキを押さえ込む
「時間」と「ゼニ」
そんなもん、俺がぶっ壊してやる。
「いくつもの日々を超えて たどり着いた今がある
だからもう、迷わずに走り出せばいい。
栄光の架け橋へと・・・。」
(栄光の架け橋♪ゆず)
長かった旅もこれで終わる。
旅の末、クソガキは何を見、何を思う?
そしてこの狂気の放浪行の真の意味・・・。
「世界行脚釣行録」完結編
“21世紀版オーパ”
何かをやり遂げようという意志は、きっと何よりも強い。
釣りに絶対は無い。
だから“絶対”と言い放つんだ・・・。
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