〜出会い〜それはある雨の日。裕太は塾の帰りであった。
さっきまで晴れていたのがまるで嘘のような大雨だった。
「ちっ雨だょ。」その日の天気予報では晴れと言っていたのに・・・
と桜田裕太は思いながらカバンを頭にのせ走っていった。
「近道していくか。」そうつぶやき、裕太の家の近くにある小さな公園
の中を通っていこうとした。ふと小さな影が目に入った。
なんだろう?と少し思っって腕時計を見る。
時計の針は午後8時をさしていた。「ヤバッ」裕太はそのまま家に向かった。
家の前まで来たが、裕太はさっきの影が気になってしょうがなかった。
裕太は傘を持ってあの公園へ走ってもどっていった。
そこには、やっぱり小さな黒い影があった。裕太はおそるおそる近づいていった。
「犬??」裕太は言った。そこには、ずぶぬれになった小さな仔犬がいた。
裕太の方をじっと見つめている。ふと裕太は仔犬と目があった。
「捨てられたのか??」仔犬はじっと裕太を見つめていた。
「なんか言えよ」沈黙「・・・・・。具合が悪いのか?」仔犬はいつも以上に
息が上がっていた。そして‘‘ばたっ’’突然仔犬が倒れた。
裕太は急いでその仔犬を抱きかかえて帰っていった。
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次の日。裕太は仔犬を病院に連れていった。
「昨日の雨で軽い風邪をひいたんだな。」
といい医者は仔犬に注射をしようとした。
しかし、仔犬は注射を嫌がってなかなか注射を打つことが出来なかった。
すると裕太は仔犬の背中をなでて落ち着かせた。
なんとか注射をすませる「はい。すぐによくなるからなぁ。」
その言葉どうり、仔犬は2日後にはもうピンピンしていた。
「ワンちゃんよかったね!!」5歳年下の妹の那智がそういって、
仔犬の頭をなでた。「お兄ちゃん、お名前は??」
そういえばまだ名前をつけていなかった。
どうしようかと悩んで仔犬の顔をじっと見た。すると、ふと同じクラスの
成宮ちひろの顔が出てきた。裕太は顔を真っ赤にした。それは裕太
の好きな人であった。「ちひろ・・・。」思わず声に出してしまった。
「あんた顔赤いわよ」と2歳上の姉、麻智が近づいてきていった。
「そんなことなっ」裕太はあわてて顔を隠した。
「青春ねぇ〜」うふふっと笑いながら姉が「なっちぃ〜チヒロちゃんだってよ」と言った。
すると、「チヒロちゃん??かわいい♪でもなんか人の名前みたいだね。」
「ちがっ・・・。」裕太が言ったのと同時に「そぉだ!!お兄ちゃんチロちゃんっていうのはどぉ??」
那智が目を輝かせて言った。すかさず麻智が「いいわね。チロちゃんに決定☆文句ないわよね?裕太。」
とニコっと笑いかけられた裕太は、しぶしぶうなずき「チロおいで」といってチロを抱きかかえた。