ふと気付いたらさっきまでついていたはずのランプが消えてあたりは闇になっている。
外の雪明りも厚手のカーテンにはばまれて部屋の中に明るさをもたらすには至ってないのだった。
組み敷いているカミュの姿も見えず、やわらかい手ごたえが感じられるだけで俺たちは夜の闇の中にいた。

   それならそれでやりようがあるってものだ………

まだまだ遠慮がちだったカミュの反応をもっと引き出すには、こちらが働きかけを強めればいいだけの話なのだ。
「カミュ…」
「…あっ」
あまりに息も絶え絶えにあえぐので、さすがに可哀そうになりちょっと控え目にしていた俺だが容赦するのはもうやめだ。
弱いところを集中して責めていくとたちまち上がる悲鳴にも似た嬌声がこころよく俺の耳を打つ。
この闇の中なら俺の視線を気にすることもない。 自分を解放したらしいカミュが無意識のうちに乱れ始める有様をこの目で見られないのは残念だが、全身で感じるしなやかな身体の高揚は手に取るようにわかるのだ。
「どう? これで満足か?」
「あ………い、いや……そんなことやめて………ああ……ミロ…」
いやと言いながらすがってくる手が指が、さらなる刺激を求めているのはわかりきっている。
「いやというなら、もっと……ほら、こんなふうに………カミュ、カミュ………どうしてほしいか言ってみて…」
「ああ…だめ……だめだから…………ミロ…やめて……」
どんな表情をしているのか知りたくてたまらないが、灯りをつけたら元も子もない。 せめて声だけでも引き出したくて、俺はカミュをいつくしむ。
「いや…………いやだから……ああ、ミロ………もっと…もっと…」
望む言葉を耳にして歓びを得た俺がさらに甘い試練を与え続けると、あらぬことを口走りながらカミュが身を揉み込むようにすがりついてきた。

   いや、あらぬことじゃない、これがカミュの本心だ……
   もっと……もっと俺に聞かせて

俺の動きに拍車がかかったことを知っているのか知らぬのか、歓びの色を滲ませたカミュの甘い声が闇の中に熔けていった。