海の色に染まる ギリシャのワイン   抱かれるたび素肌 夕焼けになる

                                           高橋 真梨子        「 桃色吐息 」 より


カミュ、もう少し飲めるかな………?
飲みすぎるのは困るが、飲まなすぎるのもつまらないぜ

大丈夫だよ そのくらいの頬の赤さなら………
どうしても……だめ? 心配性だな

せっかくのエーゲ海の夕陽だ  
お前とゆっくり見ていたいから いいワインを選んできたんだぜ
それじゃ……しかたない  ちょっと待ってろよ

………どう?…うまく飲めた?
そう、上出来だ!
もっとこっちに来いよ  俺に寄りかかっていいからさ

ああ、そうだな  エーゲ海に沈む夕陽がきれいだ
知ってる?  お前は海で、俺は夕陽なんだってこと
お前は俺を包みこんでくれるし   俺は そのお前を染めてゆく
いい組み合わせじゃないか

もう夜になる   そろそろ部屋に戻るか……
ん? 足に力が入らないって?
俺が運んでやるから問題ないな
平気だよ 誰も見てないし……たぶん
………冗談だよ、冗談っ!誰もいない、本当だ、この俺が保障する!

安心したところで…………

ふふふ、一度やってみたかったんだよ、こういうキスを
照れるお前も可愛いぜ
えっ? 照れてないの? じゃあ、きっと夕陽の色が頬を染めたんだろう、真っ赤だぜ

ねえ、カミュ…………愛してる………本当に………


                          ⇒そのあと