湖沼の季節変化 ホーム

 裏磐梯の湖沼は山上湖ですから、当然ながら平地の湖沼とは季節にズレがあります。関東平野部の感覚で裏磐梯を訪れるのは賢い釣り人のすることではありません。「プリスポーンのバスに期待して行ったら、水温が5℃だった。」なんてことがないように、釣行計画の参考にしてください。シーズンは例年5月中旬〜10月中旬です。

冬〜春春〜初夏初夏〜夏夏〜秋秋〜冬

【冬〜春】

 標高800mの高原にある裏磐梯の湖は例年1月上旬から4月上旬まで厚い氷に覆われます。このため、ごく一部の釣り人を除きバスを専門に狙う人はおらず、ワカサギの氷穴釣りを楽しむ人がほとんどです。

 4月20日頃なると氷も溶けますが水温は低く湖の周りの山々には残雪も見受けられます。この時期に釣っているのは桧原湖に通う上級者か実情を知らずに来てしまったビジターのどちらかです。トップ派の私の場合、4月中は釣りすらしません。また、服装にも注意が必要です。

冬〜春

【春〜初夏】

 桧原湖の氷がすっかり溶けて樹々も芽吹き始めるゴールデンウィークの頃から、多くの釣り人がスモールマウスバスを求めて裏磐梯に訪れるようになります。しかし実際には「桧原湖はゴールデンウィークから釣れ出す。」といった情報を鵜呑みしたがために、ボウズで帰るビジターの方が後を絶ちません。この時期は各河川から大量の雪解け水が入って水位が非常に高くなることに加え、ターンオーバーが起こるため水質が極端に悪くなりますから釣るのは非常に難しいのです。ですから、湖へ通い慣れ、かつ越冬場所と産卵場所の関係を把握している上級者以外は、湖の水位が下がり透明度も回復してくる5月中旬以降まで待ったほうが賢明です。気の早い釣り人は水温の上昇が早い桧原湖のイカリ潟へボートで入りますが、狭い場所ゆえに混雑は覚悟した方が良いでしょう。

 5月中旬以降には表面水温も10℃を越えてプリスポーン(産卵前)のバスが釣れ始めます。バスの棲息水深も日に日に浅くなるため、狙いを絞りやすくなります。ただし、天候によってはかなり寒く感じる日もあるので、服装には注意が必要です。そして5月下旬から待望のベストシーズンへ突入します!

春〜初夏

【初夏〜夏】

 5月下旬になると表面水温は15℃を越え、産卵のために浅場へ移動してきたバスがトップウォーターにも反応するようになります。ちょうどハルゼミも落ち始めるためバスも水面を強く意識するようになり、日中でもノイジープラグに良型がアタックして来ます。この頃は放水により水位が徐々に下がり、透明度も非常に高くなるためサイトフィッシング(ベッドフィッシングではありません)も楽しめますし、ウェーダーを用意すれば岸からでも十分釣りになります。1年のうちで最も釣りやすく、1日1人で50匹という話を聞くのもこの時期です。特にトップウォーターで釣りたい方は、この時期を逃してはいけません。例年6月の第1週末が人出のピークとなりますが、大物にこだわらないならば、この釣りやすい状態は表面水温が20℃程度になる梅雨の終わりまで続きます。

 6月下旬になると水深2〜4m付近に藻場が形成され始めます。藻は何種類かありますが、どれも産卵後の魚には格好の休憩場所となるため、7月上旬までは良いポイントと言えます。梅雨明け直前まではいろいろな場所に魚が散っている傾向にあります。

初夏〜夏

【夏〜秋】

 梅雨が明け夏休みが始まると、裏磐梯にも強い陽射しが照りつけるようになります。この頃からワカサギは岸を離れ、代わってオイカワやウグイが姿を現します。
 表面水温の上昇と水位の低下に伴い湖水の透明度は落ち、表面水温は25℃を越えます。この水温と強い直射日光はスモールマウスバスには酷であり、多くの魚は浅場から深場へと移動します(梅雨時期のように浅場でトップウォーターを楽しめるのは朝夕の限られた時間になってしまいます)。一般に水深の浅い沼などではナイトフィッシングに実績がありますが、裏磐梯の湖ではそれほどでもありません。一旦深場へと移動したバスは、そこに餌がある限り、わざわざ浅場へ移動してくる理由がないのでしょう。しかし、中には岸沿いを回遊して落下昆虫を狙うタイプもおり、これらはトップウォーターの格好のターゲットとなります。
 9月には水温は25℃を下回り、湖の水位も平水時より1mほど下がって岸からも釣りやすい状態になります。岸釣り派の方にはこの時期が良いでしょう。しかし、皮肉なことに水位の減少は多くの魚を深場へと移動させてしまい、バスもスクールを作り始めます。ただし、ワカサギの当歳魚が深場の表層を回遊することもあり、運が良ければこれらを追うバスのスーパーボイルに出会えるでしょう。

 この時期は「バスはどこにいるのか?」よりも「ワカサギはどこにいるのか?」と考えたほうがヒットに結び付きます。よって狙い目はワンドの奥よりも本湖。ワカサギの居場所さえ分かればトップで爆釣する可能性は高く、特にスモールマウスバスの場合は1年のうちで最も強烈なファイトをしてくれます。

夏〜秋

【秋〜冬】

 10月には表面水温が20℃を下回り、朝夕や風がある日はかなり寒く感じます。しかし、釣り人の数がぐっと減るため意中のポイントに入れるということに加え、湖面に映る紅葉もきれいなので、防寒対策さえしっかりしていれば山上湖の秋を満喫しながら釣りを楽しむことができます。ただし、ターンオーバーが起こると魚の行動が大きく変化するので、この時期は情報収集が欠かせません。天候が穏やかで表面水温が15℃程度あればトップウォーターで釣れる可能性があるものの、この時期は魚探を使ってワカサギの群れに付いた魚を狙う方法が一般的で、岸から遠く離れた場所で浮かぶボート釣りの人を多く見ることができます。水温が同じでも初夏とは魚の行動が違うので注意が必要です。よって、いつでも岸沿いしか釣らないタイプの釣り人には難しい季節と言えるでしょう。

 秋は釣れる場所と釣れない場所(魚がいる場所といない場所)がハッキリ分かれますから、魚探を持っていない方には難しい季節と言えます。できれば魚の行動を把握できる上級者の方に同行してもらいましょう。なお、11月〜結氷までの期間は、初心者の方はやめたほうが賢明です。

秋〜冬

 シーズン中の水温の推移は右図のとおりですが、水温の上昇期は下降期に比べ変動幅が大きいことに着目してください。つまり、この時期はカレンダーだけで状況判断するのは危険だということです。釣り場に着いたら、まず水温測定することをおすすめします。バスの行動が読みやすい水温15℃以上の期間に釣るのが良いでしょう。

グラフ

 なお、桧原湖における水位の変化はおおむね右図のとおりです。バスの産卵期は水位の高い時期にあたるので、ボート釣りが有利です。

グラフ

 

福島県では2001年6月1日よりブラックバスとブルーギルの移植が
禁止になりました。違反すると懲役2ヶ月以内または罰金10万円

裏磐梯バスフィッシング情報 〜桧原湖とスモールマウスバス〜