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2006/02/28 <21> ▼暗い世の中を明るくしてくれた水俣市長選と女子フィギアの金メダル▼
陰惨で異常、あるいは馬鹿馬鹿しい事件(民主党による偽メールのドタバタ劇はその最たるもの!)が後を絶たず、そうでなくても暗い世の中が続いていた中で、まさに金色に輝く明るい事例が2件生まれた。水俣市長選挙における市民の選択と、メダル・ゼロのオリンピックに終わるかと思われた終盤で、「金」を取った女子フィギアの荒川静香選手の滑りだ。
ここでは水俣市長選挙に触れたい。

新市長に当選した宮本勝彬さんはすでに2006年2月22日に正式就任し、早くも公約通り3月1日付で産業廃棄物最終処分場建設阻止の方策を検討する「対策チーム」を発足させると明言(『熊本日日新聞』)、積極的に動き始めたようだ。

さて、投票日に戻ろう。
2月5日に行われ、即日開示され、当選した新市長は全国で11市にのぼった(『朝日新聞』など)。このうち立候補者が1人だけだったため無投票で当選したのが5市で、あとは複数の候補者があり、当然投票が行われた。
まず投票率が気になった。順不同で並べると、岩手県花巻市が70.56%、茨城県高萩市が64.33%、長崎県松浦市が83.93%、熊本県水俣市が79.36%、宮崎県都城市が70.41%、鹿児島県鹿屋市が49.78%……であった。これらの投票率は大都市に比べると総じて高いが、松浦市の84%弱、水俣市の80%弱は驚異的と言っても過言ではないだろう。そして、水俣市の場合、“産廃は不要”という選択を市民はした。当選した宮本勝彬さんは高校の先生から市の教育長に抜擢された人で、11181票を獲得したということは総投票数の58.5%をゲットしたことになる。
だが、反対派の新市長が誕生したからと言って、即、産業廃棄物最終処分場計画が撤回されることにはならないだろう。今後、業者側はおそらく損害賠償請求やら土地の買い上げなどを市につきつけてくることが予想される。熊本県のアセスメントも予断を許さない。
それだけに市民側も2月26日、昨年11月に結成した「水俣に産廃はいらない! 市民連合」を発展的に解消し、名称を「水俣に産廃はいらない! みんなの会」に改め、市民連合の坂本龍虹さんが新会長に就任、さらに水道水のユーザーである芦北郡津奈木町と天草郡御所浦町にも反対運動に加わるよう働きかけることを決めた―と『熊本日日新聞』(2月27日付)は報じている。

約100人の聴衆は講師や語り部の話に熱心に耳を傾けた
が……
  =2006年2月18日、東京・丸の内の東京商工会議所で

ところで、水俣といえば今年は「水俣病公式確認50年」の節目の年。「水俣病は50年どころじゃなか。もっと前から起こっていた。いまさら50年なんて」(日吉フミ子さん)という痛烈なご意見もあるが、その走りのイベントとでも言うべき「水俣病経験を次世代に伝えるセミナー」なるものが環境省の主催2月18日にで開かれた。100人あまりの人たちが集まったが、「次世代に伝える」にしてはいささか聴衆の平均年齢は高く、かつ、語り部として参加した患者(水俣、新潟)のプライバシーのために写真は撮るな、録音は控えろなどのしばりが入り、じゃあどうやって次世代に伝えるの? と言いたくなる、環境省の相も変らぬ“硬さ”が気になった。

ついでに「気になったこと」をもう一つ。
116人もの選手(なんと役員はもっと多い!)が参加した冬季オリンピック。メダルが金1個のみというのはいかにも寂しい。投資効率やら強化方針に口を出すつもりはないが、子供たちの学力でも低下し、社会の安全という点でも劣化が目立ち、スポーツ面でも2流国になり、その上環境破壊も進み、一体、我がニッポンはどうなってしまうんだろう? ―と憂える人は多いことだろう。

でも、これって決して他人事ではないわけで、本当に、我々一人ひとりがしっかり考え、取り組まなければならない。水俣の産廃問題で、市民がどう闘っていくかを見守るとともに、離れていても出来ることがあればすべきだろう。

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