2006/07/25更新

規模の大小を問わず、良質な環境NPOの活動ぶりを紹介したり、時には関わる人たちの
人となりをスケッチします。

=我が国初の「公害と環境資料館 エコミューズ」=

開館4ヵ月で来館者300名超える

タイなどアジアの関係者との交流も実現


「(財)公害地域再生センター」という正式名称より「あおぞら財団」という愛称の方がつとに知れわたっているが、その「あおぞら財団」が06年3月18日、設立10周年の記念事業として「西淀川・公害と環境資料館 エコミューズ」を開設。いま、この種の資料保存の重要性が叫ばれている中で画期的な試みだ。オープンして4ヵ月がたったが、スタッフ研究員の林美帆さんに最近の状況を尋ねたら、以下のような寄稿をしてくれた。


「“ちょっと寄ってみようか”という開かれた資料館目指します」
寄稿:林美帆さん(西淀川・公害と環境資料館スタッフ)

書棚にぎっしり置かれたダン
ボール箱の中は貴重な資料
の宝の山だ
=06年3月18日
アジアの3人のグラフィック・
デザイナー(左から韓国・K.
T.パクさん、日本・木村泰
子さん、香港・S.ウォンさん)
によりユニークなポスターが
デザインされた

資料館オープン前の1週間は、新聞記者さんの取材が毎日つづき、写真も連日撮影されるという光栄な(?)日々が続き、その結果、多くの新聞に資料館オープンが大々的に取り上げられ、西淀川・公害と環境資料館(愛称「エコ・ミューズ」)の名が広く知られることとなりました。

オープンをきっかけに企業の新人研修や、中学校の社会科授業の受け入れなど、資料館訪問の要望が多く寄せられています。その中でも新聞記事を見て、「ここに資料館があるなんて、全然知らなかった」と訪問してくださる方もいらっしゃいます。オープンして4ヵ月ですが、来館者は300名を越えました。

3月18日のオープン記念シンポジウムで多くの方から意見が出された、東南アジアでの公害へ教訓となるようにという目的を果たすべく、タイの公害被害者支援をしている方の訪問もありました。
また、アジアとの交流ということでは、違う側面からのアプローチがありました。大阪市立近代美術館の目に留まり、アジアのグラフィック・デザイナーがポスターを作るという企画の対象として選ばれ、3人のグラフィック・デザイナーの方々がエコミューズのポスターを作ってくださったことです。

いま、私たちスタッフは、資料館は広く開かれた窓口として、西淀川のこと・環境のこと、相談だけでなくて、ちょっとあおぞら財団に行ってみようかなと思ってもらえるような場所を目指したいと思っています。どうぞ、お気軽においでください。

オープン1ヵ月前後の間に紹介された実績は以下の通りです。

2006年3月17日 読売新聞 (夕刊)
2006年3月18日 産経新聞 (朝刊)
2006年3月18日 大阪日日新聞(朝刊
2006年3月19日 毎日新聞 (朝刊)
2006年3月19日 産経新聞 (朝刊)
2006年3月19日 読売新聞 (朝刊)
2006年3月20日 朝日新聞 (朝刊)
2006年3月21日 大阪日日新聞(朝刊)
2006年3月24日 大阪日日新聞(朝刊)
2006年4月10日 ライブタウン
2006年4月25日 京都新聞 (朝刊)
左=淀川勤労者厚生協会新人研修=06年4月4日
中=サロンにしよどの見学受入=06年4月22日
右=タイからのお客様=06年5月25日

≪メ  モ≫
「あおぞら財団」=(財)公害地域再生センター
1978(昭和53)年、西淀川公害患者と家族の会の112人が阪神工業地帯の主要企業10社と国および阪神高速道路公団を相手取って健康被害に対する損害賠償と環境基準を超える汚染物質の排出差し止めを求めて提訴したのを皮切りに、1992(平成4)年の第4次訴訟までに726人が原告となり、ついに95(平成7)年3月2日、17年にわたった裁判闘争の結果、被告企業9社との間で和解が成立し、両者が西淀川地区再生のために協力しあうことで合意、和解金(39億9000万円)の一部を基金に、患者と家族の会は「公害経験を活かし、地域の活動に根拠を持ちながら地球規模の活動が出来る、社会的に認められた組織として、公害で疲弊した地域の再生を支援する公益法人設立の道」を選択、環境庁所管の財団法人として設立されたのが正式名称「財団法人 公害地域再生センター」、愛称「あおぞら財団」。

以後、(1)公害地域の再生のための地域づくりに係る調査研究と活動の実践 (2)公害経験や公害地域再生等地域づくり活動に関する情報発信・交流事業 (3)環境学習・環境保健活動等支援事業 (4)その他法人の目的を達成するために必要な事業―などを中核に活動を展開。

そして、設立10周年の記念事業の一つとして「環境問題資料の保存やネットワーク化」を目的に、「西淀川・公害と環境資料館」(愛称「エコミューズ」)をオープンさせた。

≪アクセス≫

〒555−0013 大阪市西淀川区千舟1−1−1 あおぞらビル4階

TEL 06−6475−8885/FAX 06−6478−5885

E-mail webmaster@aozora.or.jp /ホームページ  http://www.aozora.or.jp

 *「エコミューズ」の開館は月曜日〜金曜日の10:00〜17:00(土日・祝日は休館)。

 


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