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Home>言葉の窓                                    Last Up Date 050503





 子供が言葉の意味を獲得するのは、どんな場面でしょうか?

 そもそも言葉の意味を獲得するとはどういうことでしょうか?

 このコーナーでは、子供が意味を掴んだと思われる数々のシーンを描くことにします。
はじめに・・・「言葉ゲーム」040908
 
 「一つのことばには、たくさんの意味を持たせることができる」とアリスは考え深げに言った。
 「おれは一つのことばにそんなにたくさんの仕事をさせるときは、いつだって特別手当をはらうことにしている」とハンプティ・ダンプティは言った。
 「まあ」と言ってあっけにとられ、アリスはひとことも言えなかった。

 「問題は」アリスが言った。「ことばにそんなに色んな意味を持たせられるのかってこと。」
 「問題は」ハンプティ・ダンプティが言った。「どっちが主人かってことだな。それだけさ。」
        ルイス・キャロル『鏡の国のアリス』1872年


 「鏡の国」では、言葉の特殊な使い方によってファンタジーの世界が生まれます。例えば、言葉が一つの意味だけに限定して使用されることで、その世界は夢の世界になってしまいます。アリスは、「この世界ではお花さんは眠っているものよ」と教えられます。なぜかというと、花がいるところは「flower bed」(花壇)ですが、直訳すると「お花のベッド」となります。「お花さんはいつも(ベッドにいるので)寝ているんだ」という面白い世界になるという具合です。
 
 さて、先日、年中のお子さんにお母さんがこういっているのを聞きました。「もう少しで、ご飯にしようね」と。よくある会話ですね。この「もう少し」の意味を年中の子は「あと数分くらい」という感覚で受け取っていたことが分かりました。そして自分が「もう少しで5歳になるんだ」ということも言ってました。この子はこの時の「もう少し」の意味を「あと数日」という感覚でとらえていたということも私にはわかりました。更に言うと、「もう少し、食べたい」という会話もするということをお母さんからお聞きしました。この時の「もう少し」は、量が「もう少し多い」という意味として使っているのでした。
 子供たちは、色々な言葉が様々なシチュエーションで使われるという経験を通して、言葉の意味、言葉の輪郭をつかんでいるのでしょう。いえ、言葉の意味やその輪郭をつかむというより、最初は、言葉が発せられる場面とそのときの言葉の使い方を見よう見真似で身につけているということでしょう。
 まだ発する言葉をもたないとき、音素を聞き分けること、雑音から音を聞き分けること、自分に向けられた音声を聞くこと、自分が発する音や声を聞き分けること、モノを観ること、動作を見出すこと、人と肌を触れ合うこと、手を握ること、相手の表情を見ること、自分と相手の交信を感じること、欲求が満たされること等々、本当に色々な状況の中で、言葉の使い方を身につけていこうとする幼児さんの姿があります。
 そして、ある場面である言葉が使われる。その場面が繰り返されて、その場面に発せられる言葉を耳にする。ある場面や言葉がいつも同じとは限らないのに、場面と言葉を結びつける幼児がいます。あたかもゲームのルールを、ゲームに参加しているうちに見出していくように。
 そう、言葉の意味の獲得とは、混沌とした言葉ゲームのなかで、言葉の使われ方を身につけていくということなのでしょう。
 このコーナーでは、その不思議な言葉獲得のゲームを楽しくすることにスポットを当てることにします。



       「言葉ゲーム」に参加し始める幼児 050503

 生後半年くらいの乳児さんが「あぶ、あぶ」「あーあー」と言っているのを聞いて、「『ママ』って言ったわ」と喜んだ経験は皆さんがもっていらっしゃることでしょう。『ママ、こっち向いて』と『ママ』を呼んだようでもあるし、『ママですね』と名指しされたようでもあるし、『お腹がすいた』ということを伝えているようでもあるし・・・どんな意味が込められているのでしょうか。ただ単に『mama』とお母さんの言葉を真似したのかも知れませんね。『ママ』と言うと、「お母さんが喜んでくれて抱いてもらえるから」かもしれません。いずれにしてもその言葉を言っている時やその後に続くお子さんとママのやり取りが、そのときの『ママ』という発声の意味となりますよね。乳児さんの場合、『ママ』と発声すると大抵はお母さんが笑顔になるので、その言葉を繰り返すことが多いようです。もちろん、『ママというから、笑顔を見せてよ、お母さん』ということを乳児さんが意図しているのではありませんけどね。

 一つの言葉が発せられる際の諸相を整理してみましょう。『ママ』がお母さんの笑顔を喚起するための発声である場合、『ママ』が空腹などの要求の表明である場合、「ママ抱いて」という意思表示である場合、単に寂しいから『ママ』を呼ぶ場合。「そうそう、これらのどれかに該当するわ」と思われることはありませんか。『ママ』とその言葉が使われる場面にある一定の関係ができたと感じることはありませんか?『ママ』を使った「言葉ゲーム」をしているような。きっとそれが最初の「言葉ゲーム」への参加です。同時に「一語発話」と言われるものです。
 
 そしてここで注目したいのは、『ママ』が使われる場面が次第に変化するということです。これはきっと皆さんも経験して感じていらっしゃることではないでしょうか。乳児さんの成長による生の形に合わせて、乳児さんは一つの言葉を便利に多様に使うようになるのです。同じ『ママ』でも違う「言葉ゲーム」をするようになるのです。

 とは言っても、言葉が爆発的に増える命名行為、つまり「これはママですね」というような指示や命名の「言葉ゲーム」を積極的に行うのは、もっと先のことですけどね。一人歩きができるようになり、離れたところのものに関心を持って「指差し」を行うようになってからのことです。

 次は命名行為という言葉ゲームについて紹介しましょう。



命名行為の5要素
 1.指さし=指示対象の共有
 2.名づけ=モノことば
 3.ゲーム性=正しい名前を言うというルール(間違ったら訂正される)
 4.正解・不正解の理解(言い換えられたときの理解)
 5.4の前提として、まねる力

Since  2004. 6. 17   管理人Yumeoibito